日本植物病理学会報
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トマト疫病菌の寄生性分化に関する研究
第1報 トマト型, 中間型およびジャガイモ型の分化
岸 国平
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1962 年 27 巻 4 号 p. 172-179

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抄録
1. 供試したジャガイモ疫病菌27菌株とトマト疫病菌41菌株とは, トマトの罹病性品種 Ponderosa に対する病原性の強さから, 病原性のきわめて強いトマト型, 病原性の弱いジャガイモ型およびこれらの中間の病原性を示す中間型の3型に分けられた。
2. ジャガイモ疫病菌27菌株中にはジャガイモ型が17菌株 (60%), 中間型が5菌株 (18.5%), トマト型が4菌株 (14.8%) 含まれ, トマト疫病菌41菌株中にはジャガイモ型は全くなく, 中間型が8菌株 (19.5%), トマト型が28菌株 (68.3%) であつた。
3. 静岡県静岡市および清水市興津周辺において3カ年にわたり罹病ジャガイモ葉より疫病菌を集め, 3型の分離ひん度を調べた結果, 1959年には51菌株すべてジャガイモ型, 1960年には30菌株中, 中間型が4菌株他がジャガイモ型, 1961年には152菌株中トマト型が5菌株, 中間型が6菌株, 残りがジャガイモ型であつた。
4. ジャガイモ型および中間型菌を Ponderosa 上で連続通過せしめた結果, ジャガイモ型菌は4代目までに衰滅し不成功に終わつたが, 中間型菌は10回の通過によりトマト型へ転化させることができた。
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