日本植物病理学会報
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イネ黄化萎縮病菌によるインドール酢酸産生について
赤井 重恭守中 正
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1962 年 27 巻 5 号 p. 239-244

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抄録

イネ黄化萎縮病菌 (Sclerophthora macrospora) は合成培地上でインドール酢酸 (IAA) を産生する。すなわち培養ろ液からエーテルで抽出した試料の諸性質を Salkowski 呈色反応, paper-chromatography, Avena straight growth test, 紫外部吸収などによつてIAA純品と比較検討して, IAAを含むことを確認した。培養ろ液中に産生されるIAAの量は, Richards 変法培地に10日間培養で0.017mg/100ml, 0.01% L-tryptophan 加用同培地で0.672mg/100ml, 0.1% L-tryptophan 加用同培地で約3.04mg/100mlである。IAAの前駆物質である tryptophan を加用しない合成培地でも少量ながらIAAを産生していることは, 本菌が無機態窒素からIAAを代謝産生する全酵素系を持つものと考えられる。

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