1963 年 28 巻 1 号 p. 17-23
1. P. digitatum およびP. italicum に侵害された柑果皮組織内には強い polygalacturonase (PG) 作用が見出され, 初期の罹病組織には多量の d-galacturon 酸が遊離することが観察された。
2. 両病原菌は果皮抽出成分あるいはそれに glucose を加用して培地とした場合には遊離酸を生成しないが, pectin を添加したときには遊離酸として d-galacturon 酸を生成した。
3. d-Galacturon 酸は他の酸と同様に柑果皮組織に対して軟化作用 (maceration) を示し, pectin 分解酵素とともに組織の病変に重要な役割を果たしているものと想像される。
4. d-Galacturon 酸は未熟果に対しては発病を助長する作用があり, 他の酸と同様に果皮組織の抵抗力を破壊するものと考えられる。