1963 年 28 巻 1 号 p. 24-30
茘支江 (抵抗性) および愛知旭 (罹病性) にいもち病菌 (P2菌) を葉鞘接種し, 寄主細胞並びに侵入菌糸の生死を経時的に観察した。また上記品種に病原力の異なる菌株 (P2菌および53-33菌) を接種した場合の寄主細胞の生死, 寄主組織のTTC還元作用, nadi 試薬による呈色反応, phloroglucine-HCl による呈色反応の変動を調べた。
茘支江でも愛知旭でも接種後12時間目には侵入がみられたが, この時期までは両品種とも被侵入細胞は生きていた。接種後18時間目以降茘支江では被侵入細胞はほとんど死んだが, 愛知旭では菌糸がある程度伸長しても細胞は生きており, 被侵入細胞の死は遅延した。隣接細胞の死は接種後24時間目までは茘支江に多かつたが, 44時間目には愛知旭で多かつた。
茘支江では被侵入細胞内での菌糸の死は寄主細胞の死よりやや遅れるようにみられた。
茘支江でも病原力の強い53-33菌を接種すると寄主細胞の死は遅延し, 寄主組織のTTC還元作用, nadi 試薬および phloroglucine-HCl による呈色反応は罹病性品種におけるそれらの反応と類似した。また愛知旭に同菌を接種した場合, 被侵入細胞の死, 隣接細胞の死はP2菌を接種した場合よりも更に遅延した。