日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
水稲のごま葉枯病に対する感受性におよぼす種々の栄養要素の影響について
田中 寛康赤井 重恭
著者情報
ジャーナル フリー

1963 年 28 巻 3 号 p. 144-152

詳細
抄録
1. 種々の栄養条件で生育させた水稲のごま葉枯病に対する感受性を調べ, これと水稲の生育状態, 葉の成分含量, 呼吸作用ならびに光合成作用などとの関係を調べた。
2. 感受性をあらわすものとして単位葉長当たりの全病斑数と病斑拡大率とを求めた。病斑拡大率は呼吸量と並行し, 水稲の生育やP-R比 (光合成作用の強さ/呼吸作用の強さ) とは逆の関係を有するが, 全病斑数はこのような関係を示さない。このことから考えて感受性には病斑拡大率の方が全病斑数より密接な関係を有するものと考える。一方, 葉の種々の無機成分や炭水化物含量はこれら両者との間に何ら明瞭な関係を示さなかつた。
3. 本病に対する感受性は, 窒素, カリあるいはマンガンの過剰区 (+N, +K, +Mn) ならびにヨーソあるいは亜鉛の添加区 (+I, +Zn) では小であり, リン過剰区 (+P), 窒素, カリあるいはマグネシウムの欠乏区 (-N, -K, -Mg) ならびにカドミウムあるいはコバルトの添加区 (+Cd, +Co) などで大である。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top