抄録
1. 水稲ごま葉枯病菌の生産する炭水化物分解酵素として, α-, β-amylase, invertase ならびに maltase の4酵素の活性を, 細胞内酵素と細胞外酵素に分けて測定し, 培地の組成との関係を調べた。
2. α- および β-amylase は菌体内酵素よりも菌体外酵素の方が活性が大であつたが, これとは逆に invertase は菌体内酵素の活性の方が大であつた。
3. これらの酵素は, それぞれの酵素に対応する炭水化物を添加した培地で多量に生産されるので, 一種の適応酵素であると考えられる。
4. これらの酵素の生産には, 合成培地に添加する炭水化物の中では maltose が最も適しているようである。
5. これらの酵素の活性は, 菌体生長量や培養ろ液のpHの変化量とは必ずしも平行しない。