1967 年 33 巻 4 号 p. 230-236
TMVにRNaseを加えると核酸を消化しないにもかかわらず感染力が低下し,構造的にはアルカリに対して強くなることが知られている。
本実験ではこの酵素によつてウイルスの吸着性に変動が生じたのか,また構造的にどのように変化したのかを電気泳動,イオン交換クロマトグラフィー,タバコ細胞片への吸着性およびアルカリに対する耐性によつて検討した。
ウイルスにRNaseを加えるとウイルスのアニオンクロマトグラフィー的性質には変化はないが,カチオンクロマトグラフィー的性質には差がある。また,細胞片に対する吸着量は燐酸を加えても増加しない。アルカリ(pH 10)に対しては非常に安定になるが,やはり少量の蛋白質の遊離を示す。