日本植物病理学会報
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33 巻 , 4 号
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  • 角名 郁郎
    1967 年 33 巻 4 号 p. 207-215
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    β-acylphenylhydrazine誘導体のうちいもち病に対してもつとも防除効果のある1-(3,4-dichloro-phenyl)-2-acetylhydrazine (I)を供試し,いもち病菌呼吸酵素系に対する阻害作用について検討した。
    Iは10-3Mの濃度でグルタミン酸,フマール酸,コハク酸およびグルコースを基質とした場合,呼吸増加に阻害作用を示した。一方,胞子の呼吸に対しては阻害作用を示さなかつた。
    電子伝達系におけるIの阻害作用点はSC因子にあつて,この結果は小沢らの報告したフェニルヒドラジン類の阻害形式と一致している。
    コハク酸酸化酵素系とくにコハク酸・チトクロームc還元酵素ならびにグルタミン酸脱炭酸酵素に対する阻害様式から,Iはいもち病菌の菌体内でヒドラジン化合物に分解して強い阻害を示すものと推定した。
    また,Iはペントース回路において,トランスケトラーゼの作用をやや阻害するようであつた。
  • 酒井 隆太郎, 富山 宏平, 石坂 信之, 佐藤 章夫
    1967 年 33 巻 4 号 p. 216-222
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    疫病菌不親和性レースの感染を受けたジャガイモ塊茎(R1遺伝子品種リシリ)の切断面に疫病菌を接種し,その隣接組織における全フェノール,o-ジフェノール,クロロゲン酸,コーヒー酸,チロシン,クラーソン・リグニンの各々の含量の定量分析を行なつた。その結果,感染部より約10∼15細胞層にわたつてフェノール代謝が促進されていることが示された。感染後初期(24時間)には全フェノールおよび残余フェノール(全フェノールよりo-ジフェノールおよびチロシン含量を差し引いたもの)の含量は無感染のものにくらべて著しく増加した。その後(48時間後)接種胞子濃度が低い場合には同様にそれらフェノールの濃度は無感染に較べて高いが,接種胞子量が濃い場合には全フェノール,o-ジフェノール,クロロゲン酸,コーヒー酸の量は無感染組織に較べて少なくなる(無切断無接種組織に較べればその含量は高い)。D-glucose-14Cからのクロロゲン酸およびコーヒー酸への放射能のとり込みは,しかしながら,濃厚感染隣接組織で低下していない。この事実は濃厚感染隣接組織でのフェノールの代謝回転は低下していないことを示すと考えられる。
    クラーソン・リグニン(リグニンおよびメラニン様褐変物質を含む)が接種胞子濃度が濃くなるにつれて増加する事実は,感染部(褐変を示す)隣接組織でのフェノール代謝が感染細胞の褐変およびリグニン化に関係をもつことを示唆する。
    以上の事実は,従来しばしばいわれていた「抵抗性病斑隣接組織ではクロロゲン酸の含量が無感染組織に較べて低いのでクロロゲン酸は抵抗性に関与すると見做すことはできない」という見解と矛盾し,クロロゲン酸を含むフェノール代謝が抵抗性と密接な関係をもつことを示す。
  • 松野 守男
    1967 年 33 巻 4 号 p. 223-229
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    秋田産新米の健全米よりErwinia属1菌種,Pseudomonas属2菌種の細菌を分離した。Erwinia属の1菌種はErwinia herbicola (Düggeli 1904) nov. comd. Dye (1964)と同定し,他の2菌種は飯塚・駒形のPseudomonasフルオレッセント・グループに属していた。
    Erwinia herbicolaは周べん毛,最高発育温度,糖よりガスの生成,でん粉含有のペプトン有機培地で酸を生成する以外は飯塚・駒形のP. trifoliiの記載に一致した。フルオレット・グループ2菌のうち1菌種は3本の極べん毛,2-ケトグルコン酸化性以外はP. straminea Iizuka et Komagataの記載と一致した。他の乳白色の菌はP. schuylkilliensisと考えられ,微量の硫化水素発生,サルチル酸の資化性以外は飯塚・駒形の記載と一致した。なお3菌種とも新米粒に病原性が認められなかつた。
  • 谷口 武
    1967 年 33 巻 4 号 p. 230-236
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    TMVにRNaseを加えると核酸を消化しないにもかかわらず感染力が低下し,構造的にはアルカリに対して強くなることが知られている。
    本実験ではこの酵素によつてウイルスの吸着性に変動が生じたのか,また構造的にどのように変化したのかを電気泳動,イオン交換クロマトグラフィー,タバコ細胞片への吸着性およびアルカリに対する耐性によつて検討した。
    ウイルスにRNaseを加えるとウイルスのアニオンクロマトグラフィー的性質には変化はないが,カチオンクロマトグラフィー的性質には差がある。また,細胞片に対する吸着量は燐酸を加えても増加しない。アルカリ(pH 10)に対しては非常に安定になるが,やはり少量の蛋白質の遊離を示す。
  • 岩木 満朗
    1967 年 33 巻 4 号 p. 237-243
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) 静岡農試から送付されたアマリリスのモザイク症状株の1試料について伝染方法,寄主範囲,ウイルス粒子,物理的性質などを調べたところ,その病原ウイルスは従来わが国で報告されているCMVとは異なることが明らかとなつた。すなわち,本ウイルスの伝搬は汁液接種により簡単に起るが,モモアカアブラムシによる伝搬は認められなかつた。7科14種の植物に汁液接種したところ,アマリリス,タカサゴユリに全身的モザイクを,アマランテカラ,センニチコウの接種葉に局部病斑を生じ,その他の植物には感染しなかつた。実生のアマリリスに接種するとその葉にモザイクを生じ,その病徴は斑の輪郭がやや不規則な凹凸状になる傾向の強いものであつた。ウイルス粒子の形態はdip法で電顕観察したところ,ひも状であり,その長さは多くのものが600∼800mμに分布していた。汁液中ウイルスの耐熱性は65∼70°C,耐希釈性100∼1000倍,耐老化性は1∼2日(20°C定温)であつた。以上の点を総合して,このウイルスはオランダのBrantsらが報告したHippeastrum mosaic virusに同一または近縁なウイルスであると同定し,和名をアマリリス・モザイク・ウイルスとした。
    (2) ビニールハウス,ガラス室,露地でモザイクを示している23株を静岡市(静岡農試),富士宮市,立川市(東京都農試)で採集し,それについてウイルスの分離試験を行なつた。その結果供試23株すべてからHMVが分離され,HMVと重複してCMVの分離されたものは8株であつた。病株の病徴は2つの型に分けられるが,葉にモザイクを生じ,その斑の輪郭がやや不規則な凹凸状になる傾向の強い病徴のみを示すものはCMVを含まずHMV単独感染株であつた。
    (3) アマリリスから分離されたCMVはトマト,ジャガイモ,グルチノザ,センニチコウ,ペチュニアなどの植物に対する病原性および病徴がCMVの普通系と異なり,特異な系統と思われた。このCMVをアマリリスの実生苗に接種したところ,その葉に濃淡の斑がほうきのはき目のように葉脈に平行に現われる病徴が見られた。これら病徴の型は圃場におけるアマリリスの病徴からその含まれるウイルスの種類を推定する1つの基準になるかも知れないが,今のところまだ十分の結論を得ていない。
  • 吉井 甫, 佐古 宣道
    1967 年 33 巻 4 号 p. 244-252
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アカザ搾汁液〔単なる搾汁である生汁(CS)と,その遠沈上澄より冷アセトン可溶性部分を除き,水透析したもの(ChIS)の両者を使用した〕のウイルス感染阻止作用を,ダイコンモザイクウイルス(DMV)とその壊死斑寄主であるタバコ(ホワイトバーレー種)を主として用いて調べた。
    (1) アカザ搾汁液を60°Cに10分間加熱しても,感染阻止作用に変化はなく,100°Cに10分間加熱するとその作用は失われる。
    (2) アカザ搾汁液はそれを取り出したアカザではその感染阻止作用は低い。
    (3) アカザ搾汁液をタバコの葉裏にすり付けるとき,葉表に阻止作用は現われない。
    (4) ChISは約100倍の希釈までは阻止作用は顕著であるが,それより希薄になるとその作用はいちじるしく落ちる。
    (5) ウイルスすり付け接種以後における,アカザ搾汁液のすり付けでは,30分後までのすり付けは明らかな阻止作用を示す。
    (6) DMVのモモアカアブラムシによるタバコへの接種では,その接種以前にアカザ搾汁液が葉上に存しても,あるいはこれがすり付けられていても,ウイルスの感染には何の影響も認められない。
    (7) モモアカアブラムシの15∼20秒という短時間の吸汁によるDMVの接種の場合,アブラムシ接種直後にアカザ搾汁液のすり付けをしてもウイルスの感染には何の影響も認められない。
    以上によりつぎのとおり結論した。従来,この種の阻止物質によるウイルス感染阻止の機構については,このものは寄主の側に作用し,それによつて寄主細胞のレセプターとウイルスとの間に形成されるべき複合体の成生が阻止されると説くのが普通であるが,本論文ではこれに加えて,“不和合性の感染阻止物質に対する植物の細胞質の過敏感反応”なる作業仮説を提唱した。すなわち,感染阻止物質と接触した不和合性の細胞質は過敏感反応を起し,そのためにその細胞質表面はウイルスを吸着する能力を喪失するというのである。
    ごく短時間の吸汁のときは,DMV保毒のモモアカアブラムシの口針の先端は多くは表皮細胞縫合部の中間にまで達し,ここでプラズモデスマータにDMVを伝達する。これに対しすり付け接種では,多くはDMVはエクトデスマータに伝達される。接種方法の違いによつて感染の場がこのように異なることが,一方ではアカザ搾汁液のすり付けで感染が阻止され,他方では何らの影響をも受けない結果になるとのべた。
  • 田浜 康夫
    1967 年 33 巻 4 号 p. 253-258
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    菊池系(Kikuchi mild strain)の桑樹萎縮病地帯である熊本県菊池市において本実験を実施した。5月下旬に枝条を1m残し上部を伐切収穫する1m株上げ収穫法は冬期伐切と同程度に萎縮病の病徴発現に対する抑制効果がみとめられた。これに立脚して,経済的防除対策を確立するため,冬期伐切,1m株上げ,1m株上げ,そして冬期伐切にかえる3年毎の輪収式の桑樹萎縮病地帯の年間条桑収穫法を考案実施した結果,その顕著な効果を認めた。
  • 土居 養二, 寺中 理明, 与良 清, 明日山 秀文
    1967 年 33 巻 4 号 p. 259-266
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. クワ萎縮病の罹病新梢の茎葉を電子顕微鏡観察したところ,既知の植物ウイルス粒子様のものは見出されなかつたが,篩管,ときに篩部柔細胞内に,大小(80∼800mμ)多数の球∼不斉楕円形のMycoplasma様あるいはPLT様の粒子が見出された。これらは2層の限界膜(約8mμ)に包まれ,細胞壁はなく,小形(100∼250mμ)の粒子は概ね球形でribosome様顆粒(径約13mμ)で充たされ,ときに核質様の繊維状領域を示すものもあり,大形(300mμ以上)の粒子は中心が空虚で僅かに核質様の繊維が認められ,顆粒は周辺に偏在する。大小粒子が篩管内に混在する点からみて,小形粒子が生長して大形粒子となるらしく,またときに大形粒子が一部くびれて小形粒子ができるごとき像,小形粒子が大形粒子の内部に数個生じ大形粒子が崩解するような像も認められた。健全植物にはこのような粒子は見出されない。なお,テトラサイクリンで萎縮病から回復したクワ茎葉からはこの粒子は見出されなくなつた。
    2. ジャガイモてんぐ巣病の罹病茎葉篩部にも大形粒子がやや多いが,同類の大小粒子が見出された。異常肥大した篩部柔細胞の細胞質には大形粒子が充満する例がしばしば認められた。
    3. Aster yellows感染で叢生萎黄症状を示したペチュニア茎葉篩管部にも前2者と同類の大小粒子が見出された。
    4. 典型的なてんぐ巣症状を示すキリの側生枝茎葉の篩管内にもクワ萎縮病と同類の大小粒子が見出された。症状の著しい場合は多くの粒子が見出される傾向がある。
    5. 4種の“叢生萎黄”グループに属する植物病で茎葉篩部に共通して見出された同類の粒子は植物寄生では未報告であるが,それらの形状,構造,所在様式などから,Mycoplasmaに近い寄生微生物であるとの結論に達したので,さらにそれらの病原的意義について若干の考察を行なつた。
  • 石家 達爾, 土居 養二, 与良 清, 明日山 秀文
    1967 年 33 巻 4 号 p. 267-275
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) 萎縮病罹病クワの組織内にMycoplasmaまたはPLT群に類似の微生物が見出されたとの知見に基ずき,クワ萎縮病の病徴発現に対する抗生物質の影響を試験した。
    (2) クロルテトラサイクリンとテトラサイクリンとは本病の発病抑制に明らかな効果を示したが,カナマイシンの効果は認められなかつた。
    (3) 効果の程度は薬液施用方法によつて差があり,根部浸漬がもつとも有効で,茎葉散布がこれに次いだが,土壌への灌注では効果は全く認められなかつた。また茎葉散布と土壌灌注との併用処理の効果は,茎葉散布と同程度であつた。
    (4) テトラサイクリンの根部浸漬処理では10ppm液で処理後3日ごろから,また10ppm液では7日ごろから効果が現われ始めた。
    (5) 2∼3日おきのテトラサイクリン茎葉散布では,10ppm液による効果は明らかでなかつたが,10ppm液では処理開始の10日後ごろから効果が示された。
    (6) 薬剤施用により一旦病徴のみられなくなつたものでも,処理を止めるとある期間後にふたたび発病する傾向がある。再発までに要する期間は,病苗の病徴程度,苗の大きさ,育苗条件等によつて異なる。
    (7) 以上の結果から,クワ萎縮病の病原はテトラサイクリン系抗生物質に対して感受性であろうと考えられる。
  • 西原 夏樹
    1967 年 33 巻 4 号 p. 276-279
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 33 巻 4 号 p. 279
    発行日: 1967年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 33 巻 4 号 p. 280-286
    発行日: 1967/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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