日本植物病理学会報
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イネごま葉枯病菌菌糸およびいもち病菌菌糸の微細構造
堀野 修赤井 重恭
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1968 年 34 巻 1 号 p. 36-39

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抄録
本論文ではイネごま枯病菌菌糸およびいもち病菌菌糸の微細構造を電子顕微鏡で観察し,両菌糸の比較を行なつた。
1. ごま葉枯病菌菌糸の細胞壁は分生胞子と同様に3層からなり,厚さは平均,0.80μである。細胞内には平均,4個の核を(1.50×1.00μ)有し,さらに滑面内細胞質網状体,楕円体のミトコンドリア(0.76×0.51μ),隔膜形成に関係すると思われるperipheral bodyなどが認められる。ミトコンドリアのクリステはその外膜に平行に配列している場合が多い。
2. いもち病菌菌糸の細胞壁は外層,内層の2層からなり,その厚さは平均,0.34μである。本菌菌糸細胞は1個の核(2.48×1.98μ)および種々の細胞質顆粒を含有する。ミトコンドリアは楕円体で,そのクリステは外膜に対し垂直に分布するものが多く,滑面内細胞質網状体には複雑によじれ合つた膜構造がみられる。また,脂肪粒(径1.50μ)は菌糸先端部近くに多数存在する。
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