日本植物病理学会報
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イネ白葉枯病菌培養液中に見出されたイネ苗幼根生育抑制物質,フェニール酢酸について
江川 宏吉井 和弘上山 昭則
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1968 年 34 巻 1 号 p. 46-50

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抄録
イネ白葉枯病菌Xanthomonas oryzae (Uyeda et Ishiyama) Dowson(農業技術研究所保存株H-5809)を脇本氏培地に培養した培養液中にイネ幼根生育抑制物質の存在することが明らかになつた。
この物質を単離するため菌培養液をエーテルで抽出し,それをさらに酸性部に分け,水蒸気蒸溜してその残渣をSilica Gel Column-chromatographyによつて抑制物質を精製し,菌培養液10lから約50mgの結晶を単離し得た。この抑制物質のm.p.は76.5℃で,フェニール酢酸の赤外線吸収スペクトルと同一であつた。またフェニール酢酸との混融試験を試みたが融点降下をしめさなかつた。したがつてこの単離された抑制物質はフェニール酢酸であることが確認された。
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