1970 年 36 巻 4 号 p. 207-213
土壌構造と微生物の関係について,とくに土壌粒団中における軟腐病細菌の分布を中心に,洗浄-音波法を利用して解析した。その結果,葉圏土壌をし別してえた,各分画中の軟腐病細菌数はほぼ一致していたが,その他の微生物では,粒径が小さくなるにしたがって,菌数は増す傾向がみられた。また音波処理により,これらの土壌分画中の微生物の菌数は増大したけれども,軟腐病細菌数はむしろ減少した。粒径2.00-0.84mmの粒団46コのうち,29コの粒団から軟腐病細菌が検出され,その菌数は12から1,600の範囲であった。ハクサイの根圏ならびに葉圏の両土壌において,軟腐病細菌の90%以上の細胞は土壌粒団の外部に存在していることが明らかになった。ハクサイの根圏効果は軟腐病細菌も含め,細菌フローラについては土壌粒団の内部よりも外部の方が顕著であった。