日本植物病理学会報
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わが国のタバコから分離されたタバコ茎えそウイルスの系統
都丸 敬一高浪 洋一宇田川 晃
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1970 年 36 巻 4 号 p. 275-282

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抄録

神奈川,千葉,茨城および兵庫県下のタバコから分離されたタバコ茎えそウイルスの8分離株について,寄主範囲,血清反応,電子顕微鏡および蔗糖密度勾配遠心によるウイルス粒子の長さの分布等を比較検討した。その結果,これらの分離株は2系統群に分けられた。第1群にはHSN, IH株,第2群にはMD-1, TH, UD, CH-2, CH-3, MH株などが含まれる。第1群はアスターに全身的なえそを生じ,第2群は黄色輪紋を生ずる。寒天拡散法およびmicro-droplet precipitin testによる血清反応では,両系統は共通抗原を有するが,一部異種抗原を持つと考えられた。ウイルス粒子は第1群では180-190mμ, 70-80mμの長および短粒子からなり,第2群では長粒子は第1群と同じであるが,40-60mμの短粒子を持つ点に特色がある。供試した野生種を含むタバコ属植物20種13品種には免疫性を有するものは見出されなかった。ニチニチソウ(Vinca rosea)はこれらの系統の保存寄主として適当である。

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