日本植物病理学会報
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いもち病抵抗性の遺伝
1. 戦捷×H-79およびイモチシラズ×H-79における抵抗性の遺伝
後藤 岩三郎
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1970 年 36 巻 5 号 p. 304-312

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抄録
イネの抵抗力と病原菌の侵害力との差によって,いもち病抵抗反応は連続的に変動する。著者はgene-for-gene仮説をよりどころとしながら,植物の病害抵抗性を量的に理解することを試みた。
戦捷×H-79に次のことを仮定する。1)菌系,研53-33, H-1およびH-2に対する抵抗性は不完全優性遺伝子Rb1, Rb2およびRb3に支配される。2)各遺伝子は各菌系にそれぞれ数値で示される抵抗効果を持つ。3)同一菌系に対する抵抗効果は単純に加算的である。これによって27遺伝子型に推定抵抗指数が求められる(第4表)。F2の観察分離比に適合するように,遺伝子型のRおよびSが,指数にしたがって判別される。Rb1la+との組換値は5観察例のいずれにおいても9-10%でよく一致する。これは上記仮定の合理性を証明するものである。
イモチシラズ×H-79のNaga 87に対する抵抗性はRb4Rb5との累積的抵抗作用に支配される。主要効果を持つRb4laと連鎖関係にあり,その組換値は23%である。Rb4, Rb5はH-1, H-2に対して抵抗効果を持たないよに見うけられた。
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