抄録
根の伸長を指標として,Helminthosporium sativumの培養ろ液がコムギ苗に及ぼす刺激的,保護的効果を検討した。種子を本菌のジャガイモ煎汁培養ろ液,または本菌を培養した土壌・トウモロコシ粉培地の浸出液の50-500培希釈液中に24時間浸漬したのち,水中で発芽させると,根長は明らかに対照区よりもすぐれていた。
種子を培養ろ液の100-500倍希釈液中に浸漬したのち,病土に播種して発育させた場合にも,根の伸長は明らかに良好であったが,100倍希釈液処理がもっとも良好で,対照区の40%増であった。これは,培養ろ液が病原菌の侵害から苗を保護したものと解釈される。