日本植物病理学会報
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37 巻 , 2 号
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  • 都丸 敬一, 宇田川 晃
    1971 年 37 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)の普通系,軽症系,黄斑系,黄色微斑系,マメ科系およびえそ系の6系統およびトマトアスパーミーウイルス(TAV)(井上ら,1968)およびキク微斑ウイルス(CMMV)(栃原,1970)を用い,感染葉のフェノール処理液の感染力を対照のりん酸緩衝液磨砕汁と比較した。その結果,いずれもフェノール処理液では対照より高い感染力を示し,定量用の検定植物をかえてもこの性質は変わらなかった。タバコにCMV普通系を接種したのち,4日から27日まで経時的に検定した頂葉のフェノール処理液の感染力はつねに対照より高かった。以上の結果から,このフェノール処理液が高い感染力を示す性質は,CMV群ウイルスの診断,同定の一手段として用いうるものと考えられる。またTAVおよびCMMVがCMVと同様にフェノール処理液で高い感染力を示すことは,TAV群ウイルスとCMV群ウイルスとの類縁関係を示す一つの新しい性質といえるであろう。
  • A.M. DAS, D.N. SRIVASTVA
    1971 年 37 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    根の伸長を指標として,Helminthosporium sativumの培養ろ液がコムギ苗に及ぼす刺激的,保護的効果を検討した。種子を本菌のジャガイモ煎汁培養ろ液,または本菌を培養した土壌・トウモロコシ粉培地の浸出液の50-500培希釈液中に24時間浸漬したのち,水中で発芽させると,根長は明らかに対照区よりもすぐれていた。
    種子を培養ろ液の100-500倍希釈液中に浸漬したのち,病土に播種して発育させた場合にも,根の伸長は明らかに良好であったが,100倍希釈液処理がもっとも良好で,対照区の40%増であった。これは,培養ろ液が病原菌の侵害から苗を保護したものと解釈される。
  • 山本 昌木, 大塚 範夫
    1971 年 37 巻 2 号 p. 84-90
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 疫病に対し抵抗性のジャガイモ種間雑種1506-(b) 9(抵抗性因子R1 R4をもつ)の葉柄中肋に罹病性品種農林1号(罹病性因子rをもつ)からフェノール法で抽出したDNAフラクションを塗付したもの,および農林1号に種間雑種1506-(b) 9のDNAフラクションを塗付したもの,にそれぞれ疫病菌(Race 0)の遊走子を接種すると,過敏型・罹病型両型の病斑が混在するのが認められた。
    2. これらのフラクションをRNaseで処理し,またさらにSepharose 6Bで精製したDNAを塗付したものも,同様に両型の病斑型の混在が認められた。
    3. 種間雑種1506-(b) 9および農林1号から抽出したDNAフラクション溶液中のジャガイモ疫病菌(Race 0)の胞子の発芽は,DNAの濃度の高いほど抑制された。
    4. これらのフラクションをRNaseで処理し,またSepharose 6Bで精製したDNA溶液中での,疫病菌(Race 0)の胞子の発芽率は対照区と大差がなく,発芽阻止は認められなかった。
    5. 種間雑種1506-(b) 9の台木に農林1号,および農林1号の台木に種間雑種1506-(b) 9や96-56を接木したものに,それぞれ疫病菌(Race 0)の遊走子を接種したものでは,接穂に過敏型・罹病型両型の病斑があらわれた。
  • 植松 勉, 脇本 哲
    1971 年 37 巻 2 号 p. 91-99
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    水田土壌から分離したBdellovibrio bacteriovorusの5株を用いて,各種の感受性細菌と非感受性細菌の生菌培地中,およびそれらを高圧滅菌して作った死菌培地中での増殖の有無および増殖様相について検討した。
    B. bacteriovorusの1分離株Bd-N6801は,感受性細菌中でよく増殖するが,これらを用いて調製した死菌培地中でも増殖し,また数種の非感受性細菌の死菌培地中でも増殖することを確認した。死菌培地中での増殖様相は感受性細菌の生菌でのそれと類似しているが,増殖がやや遅れる傾向がある。
    イネ白葉枯病菌の細胞構成成分を分画し,Bd-N6801の増殖に関与する成分について検討し,細胞質画分で増殖することを確認した。
    Bd-N6801は死菌培地上に淡黄色のコロニーを形成し,感受性細菌の死菌培地上ではコロニーの周縁に透明な溶菌帯を形成する。非感受性細菌の死菌培地上でもコロニーは形成されるが,溶菌帯は認められない。
    生菌培地上にできた溶菌斑と死菌培地上にできたコロニーからBd-N6801をとり,生菌培地と死菌培地を使って溶菌斑形成率とコロニー形成率とを比較した結果,その両者はほぼ一致した。しかも,コロニーから得たBd-N6801細胞の形態は溶菌斑から得たものの形態と同じであった。したがってすべてのBd-N6801の細胞は寄生的能力とともに腐生的に増殖する能力も兼ね備えているものと思われる。
    他のB. bacteriovorusの分離株,Bd-N6802, Bd-N6804, Bd-N6805,およびBd-N6806も死菌培地上にコロニーの形成を認めたが,溶菌斑形成率とコロニー形成率との関係は菌株によっていちじるしく異なった。
  • 薬師寺 国人, 若江 治
    1971 年 37 巻 2 号 p. 100-103
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    2-Amino-1, 3, 4-thiadiazoleはXanthomonas oryzaeをはじめいくつかの植物病原細菌に抗菌力を示し,その作用はニコチンアミドに対する拮抗によるものと推察された。またカンキツかいよう病,トマト青枯病に防除効果を示した。
  • 薬師寺 国人, 若江 治
    1971 年 37 巻 2 号 p. 104-107
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    2-Amino-1, 3, 4-thiadiazoleのイネ白葉枯病に対する防除作用特性を検討した。
    茎葉部への散布では速効的にすぐれた効果を示し,効力の持続性は短い傾向であった。
    また本化合物は田面水中への施用でもすぐれた効果が見られ,やや遅効的であるが長い持続性を伴うため茎葉部散布より高い効力が得られた。
  • 岩木 満朗, 小室 康雄
    1971 年 37 巻 2 号 p. 108-116
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    軽いモザイク症状を示しているスイセン(大杯)から汁液接種により分離されたウイルスについて諸性質を調べ,同定した。
    (1) 15科46種の植物に汁液接種したところ,13科36種の植物に感染が認められた。感染が認められた植物はアカザ,ヒユ,ツルナ,ナデシコ,アブラナ,マメ,スミレ,セリ,ナス,ゴマ,ウリ,キク,ヒガンバナ科などのもので,感染がまったく認められなかったのはユリ科とイネ科であった。C. amaranticolor,インゲン,タバコ,ペチュニア,キュウリなどに特徴ある病徴を生じ,これらは判別植物として用いうる。
    (2) モモアカアブラムシによる伝搬は認められず,ダイズにおける高率な種子伝染と線虫(X. americanum)による土壌伝染が認められた。
    (3) 耐熱性は55-65°C,耐希釈性は500-5,000倍,耐保存性は7-14日(20°C)であった。
    (4) 部分純化した標品について電顕観察したところ径25-30mμの球状粒子が認められた。
    (5) 部分純化したウイルスを用いて作製した抗血清は沈降反応混合法で64倍の力価を示した。本ウイルスは寒天ゲル拡散法でtomato black ring virus, arabis mosaic virus, tobacco ringspot virusの抗血清とは反応せず,tomato ringspot virusとだけ特異的に反応した。なお,Dr. Harrisonの試験によればstrawberry latent ringspot virusとは反応しないという。
    (6) 以上の諸結果から,本ウイルスはtomato ringspot virusと同定され,和名をトマト輪点ウイルスとした。本ウイルスを接種したスイセンの実生がなんら病徴を示さなかったので,原株の軽いモザイク症状と本ウイルスとの関係は明らかにできなかった。
    (7) X. americanumによる伝搬試験の結果は以下のようであった。すなわち,病株周辺土壌に健全ペチュニアを植え付けたところ,5株中3株に感染が認められた。また病株スイセン周辺で採取した土壌に本ウイルスを接種したペチュニアを植え付け2-3週間後にその土壌から集めたX. americanum 1-50頭を用いてペチュニアとキュウリに伝搬試験したところ,ペチュニアでは11株中6株,キュウリでは4株中4株に感染が認められた。一方X. americanumを除いた残渣を入れた対照区には発病がみられなかった。
  • 加藤 寿郎, 山口 昭
    1971 年 37 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    オオムギ斑葉モザイクウイルス(BSMV)に感染したオオムギ(品種・横綱)の粗汁液(15,000×g, 30分上清)をポリアクリルアミドゲルを支持体とする電気泳動にかけると,健全対照には見られない2群のバンド(SA 1, SA 2)が得られた。これらのバンドに含まれる物質は,105,000×gの遠心によっても沈でんしない。また,これらの物質は,葉緑体中のfraction Iたんぱくよりも易動度が小さく,SA 1, SA 2ともBSMV抗血清と反応する。BSMVたんぱくの電気泳動によって,SA 1およびSA 2に相当するバンドが得られる。SA 1をとり出して再び電気泳動するとSA 2が分離してくる。したがって,ウイルス感染によって生じたこれらの可溶性抗原は,ウイルスたんぱくが種々の程度に凝集したものと考えられる。
    感染が進むとfraction Iたんぱくは減少する。接種した第1葉では,えそ斑点が現われる接種後3日めに可溶性抗原が検出されるが,感染が進むにつれて減少し,接種後8日には認められなくなる。これに反して,第2葉では,葉基部にmosaicが見えはじめる接種後4, 5日めにはじめて可溶性抗原およびウイルスが検出され,その後感染の進行にともなって両者とも増加する。ウイルス合成における可溶性抗原の意義については結論が得られなかったが,第1葉と第2葉での可溶性抗原の消長の違いは,両者での病徴の型およびウイルス含量の差と関係があるものと思われる。
  • V.K. GUPTA, S.P. RAYCHAUDHURI
    1971 年 37 巻 2 号 p. 124-127
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A. arabicaの葉の汁液はジャガイモYウイルスの感染をin vitroで阻害する。汁液をうすめると阻害はいちじるしく減るが,汁液をデシケーター内でかわかしても(8日後に試験),またpHを4.0-10.0の範囲で変えても,阻害作用は減らない。阻害物質は耐熱性で,透析可能である。A. arabicaから抽出した粗製タンニンは同様な阻害作用を示した。純品を用いて試験した結果,クェルセチン,没食子酸に比べてカテコールが高い阻害作用を示した。汁液中のおもな阻害物質はカテコールと考えられる。
  • 佐藤 守, 高橋 幸吉, 脇本 哲
    1971 年 37 巻 2 号 p. 128-135
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    群馬,神奈川,東京および愛知の4都県からクワ縮葉細菌病病原細菌10菌株および同ファージ4株を分離した。
    病原細菌の細菌学的性質はSmithの記載とほぼ一致し,Pseudomonas mori (Boyer et Lambert) Stevensと同定した。従来未調査であった18種の炭水化物分解能は各菌株とも大部分の炭水化物について共通の結果を得たが,ラムノースおよびキシロースについては菌株間に差異を認めた。菌株S6807を抗原として作製した抗血清は,P. mori 10菌株に強い凝集反応を示したほか,P. tabaci, P. cichorii, P. striafaciens, P. phaseolicolaの各植物病原細菌に対しても反応した。
    ファージはP. moriに対する寄生性,溶菌斑の形態から2群に分けられ,それぞれMP1, MP1hと命名した。両ファージともP. mori以外の供試したすべての細菌,すなわちPseudomonas属細菌18種,Xanthomonas属細菌8種,Erwinia属細菌2種,Corynebacterium属細菌1種,Bacillus属細菌3種,Escherichia属細菌1種に対してはまったく寄生性を示さず,種特異的であった。不活性化温度48°C,溶菌斑形成適温20-24°Cであった。形態は直径約55mμの多角体であり,きわめて短い尾部をもつようである。
  • 石家 達爾, 松野 瑞彦
    1971 年 37 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    クワ萎縮病の虫媒伝染機構を解明する目的で,本病の媒介昆虫の一つであるヒシモンヨコバイ(Hishimonus sellatus Uhler)について病原獲得に関する実験を行ない次の結果をえた。
    1. 無毒虫が罹病クワ苗を吸汁する場合,病原獲得に要する最短期間は3時間であり,吸汁期間が長くなるほど伝染率は高まる傾向を示した。
    2. 先端部だけに病徴がみられる罹病クワ苗では,その下部からでも,それが木化さえしていなければヒシモンヨコバイは病原を獲得することができた。また,罹病クワの外観健全にみえる新梢からも低率ながら病原は獲得された。
    3. 無毒虫は,鉢植えの罹病クワ苗からだけでなく,シャーレ内に入れた罹病クワ新梢片からでも病原を獲得することができ,その獲得率は鉢植えの場合と大差なかった。
    4. ヒシモンヨコバイの発育段階と病原獲得率との関係では,若虫においては令が進むにしたがって伝染率は高まったが,成虫では3令若虫よりは高いが5令若虫よりは低い結果を示した。
    5. ヒシモンヨコバイの雌雄別の病原獲得率には一定の関係はみとめられなかった。
    6. 罹病クワ苗吸汁時における明・暗によって病原獲得率は明らかな差はみとめられなかった。
  • 石家 達爾, 松野 瑞彦
    1971 年 37 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 1971/03/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    保毒ヒシモンヨコバイによるクワ萎縮病病原の接種実験により次の結果をえた。
    1. 移しかえ接種により,ヒシモンヨコバイ体内における病原の潜伏期間のあることが確認され,その期間は虫の個体によって差があるが,最短13-28日,最長42-55日であった。
    2. 保毒ヒシモンヨコバイの接種吸汁期間の最短は3時間であったが,3日以上の接種によって伝染率が急増する傾向がみられた。虫体内潜伏期間のあけた保毒ヒシモンヨコバイはかならずしも連続的な伝染をするとは限らず,断続的な伝染をする個体が多い。
    3. 虫の病原保持期間は比較的長く,本実験の範囲内では60日以上保持した個体もあり,おそらく,虫のへい死まで保持されるものと思われる。
    4. 接種後発病までの期間,すなわち,クワにおける病原潜伏期間は最短6-13日(おそらく13日に近いと思われる),最長82-87日で,個体間に差があるが,接種吸汁期間とは関係がなかった。
    5. ヒシモンヨコバイにおける本病原の経卵伝染については,2ヵ年にわたり保毒,無毒の各組合わせによってえられた,合計260の次世代虫の保毒検定を行なったが,いずれも保毒は確認できず,経卵伝染はしないものと考えられた。
  • 1971 年 37 巻 2 号 p. 147
    発行日: 1971年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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