日本植物病理学会報
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タバコ巻葉病ウイルスの接種,純化および血清反応
桐山 清
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1972 年 38 巻 4 号 p. 323-332

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抄録
1. わが国で発生するタバコ巻葉病は,病微のはげしさが異なるが,温室で接木実験の結果,その差はウイルスの系統の差異ではなく,環境条件の差によるものと思われる。
2. LCV寄主として,N. knightiana, N. pauciflora, N. bigeloviiなど16種の野生種が新しく追加された。
3. キレート化合物の添加,病葉のフェノール抽出物のタバコ葉への注射などの機械的接種試験結果はすべて陰性であった。
4. タバコ(Bright Yellow)の罹病葉からブタノール処理後,高速遠心を行なってウイルスを純化した。この試料は超遠心分析で単一のピークを示し,260mμで最高,238mμで最低の紫外線吸収曲線を示した。逆染色した試料の電顕観察により直径約30mμの球状粒子が認められた。
5. この純化試料をウサギに注射し,力価64∼128倍の抗血清を得た。この抗血清はLCVと特異的に反応する抗体を含むことが,同種および異種抗原との沈降反応,寒天ゲル拡散法および吸収試験で確かめられた。汁液接種に成功していないウイルスの血清反応の利用度は,きわめて大きいと思われる。
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