日本植物病理学会報
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イネ科植物ならびにミヨウガから分離したいもち病菌の産生する菌体外イソ酵素の比較
松山 宣明加藤 肇山口 富夫
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1977 年 43 巻 4 号 p. 419-425

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抄録
イネ科植物(16)ならびにミヨウガより分離したいもち病菌56株を酵母エキス加用合成培地中で振とう培養し,ろ液中に分泌されたペルオキシダーゼおよび非特異的エステラーゼのイソ酵素をポリアクリルアミドゲル薄層電気泳動法で比較した。ペルオキシダーゼのイソ酵素泳動像は4つに群別された。キビ,ヌカキビ,Oryza sativa f. fatua菌の場合は,Ef 0.65∼1.00の上部のみに,エゾノサヤヌカグサ,メヒシバ菌の場合はEf 0.01∼0.64の下部のみに泳動像があり2群に分別された。イネ,ネズミムギ,オニウシノケグサ,シナダレスズメガヤ,シコクビエ,オヒシバ,Eleusine africana,ハルガヤ,クサヨシ,エノコログサ菌は上下両部に類似の泳動像をもち,細部で差異が認められた。ミヨウガ菌は上下両部に泳動像があったが全体が下方にずれ,マコモ菌の場合は泳動像の一部が陰極側に検出され,両者は他の菌種と特異的な差を示した。エステラーゼによっても,マコモ菌,ミヨウガ菌,キビ菌のイソ酵素泳動像は他の菌種に比して特異的な差があった。これらイソ酵素泳動像は菌種間の遺伝的特性を把握するのに利用できそうである。
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