日本植物病理学会報
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皮部付傷によるクワ又枯病の病斑形成阻止作用と温度の影響
白田 昭高橋 幸吉
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1978 年 44 巻 2 号 p. 190-196

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抄録

1. クワ又枯病菌をクワ切枝に付傷接種すると2.5∼15Cで病斑の形成がみられた。病斑形成最適温度は10Cと低く,本菌のPDA上での菌糸生育最適温度の20Cでは病斑形成はみられなかった。
2. 菌接種枝を10Cに保つと,病斑の大きさ(√長さ×巾)は時間とともに直線的に増加し,Y=2.7X-4.3式で示された。
3. 菌接種枝を25Cに12∼24時間保つと,その後10Cに移しても病斑は形成されなかった。
4. 付傷後5Cに2日または20∼25Cに1日保った枝は,病斑形成を著しく阻害し,その影響は付傷部から2∼5mm以内にみられた。
5. 枝の菌糸生育阻止作用は,枝を-60C 60分または60C 10分温湯処理で完全に消失した。
6. 菌接種後高温に保つことによって得られる病斑形成阻止作用は,蛋白合成阻害剤BcS処理によって著しく減少した。
7. 付傷によって病斑形成阻止作用が獲得され始める時間は,20Cでは4時間,5Cでは12時間であった。

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