日本植物病理学会報
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灰色かび病菌Botrytis cinereaにおける菌核形成の2つの発育型について
鈴木 義久尾田 義治
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1978 年 44 巻 4 号 p. 493-498

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抄録

灰色かび病菌Botrytis cinereaにおける菌核の原基形成および発育を誘導する環境要因を検討するとともに,菌核原基における形態的発育変化を観察した。その結果,次の二つの異なる菌核の発育型が見いだされた。
Terminal型の菌核形成は,栄養菌糸の先端を一定期間以上カバーガラスでマウンティングすることによって誘導された。一方,Lateral型の菌核形成は,一時的に高温で処理することによって,高温処理開始時の菌叢先端近傍に誘導された。
このように,灰色かび病菌B. cinereaの菌核形成については,これまで,Terminal型の菌核のみを形成するものとされていたが,菌核形成に対する環境要因の解析によって,Lateral型の菌核をも形成し得ることが明らかになった。

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