日本植物病理学会報
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イネ白葉枯病の病態生理に関する研究
II. 感染葉におけるperoxidase活性の変動
阿久津 美恵渡辺 実
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1978 年 44 巻 4 号 p. 499-503

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抄録

導管細菌病であるイネ白葉枯病について,親和性および不親和性感染葉におけるperoxidase活性の量的ならびに質的差異を明らかにすることを目的として実験を行った。
1. 黄玉群品種の農林27号に親和性のN5824SR菌(II群菌)と不親和性のN5810SR菌(I群菌)とを針束接種し,経時的に本酵素活性を比色定量法により測定するとともに,細菌の増殖経過をも検討した。
2. 親和性感染葉では感染初期から病徴出現期,病斑拡大期へと活性がかなり増大し,接種時の1.6∼1.8倍となった。不親和性感染葉では徐々にわずかな増加を続け,接種時の1.2∼1.4倍までの増大であった。また,対照の蒸留水付傷葉および無処理健全葉においても,14日後までに1.1倍の活性増加が認められた。なお,葉位の異なる健全葉について比較した場合,展葉後の日数を経て老熟化した下位葉ほど活性が高かった。
3. クロロフィル含量の減少と酵素活性の増大は親和性感染葉において大であり,クロロフィル量と酵素活性との間には相関係数-0.783の負の相関が明らかに認められた。
4. 本酵素のアイソザイムをポリアクリルアミドゲル・ディスク電気泳動で調べた結果,同一葉位の親和性・不親和性感染葉および健全葉のいずれからも同種の8本の染色帯を検出したが,これら染色帯の染色程度は親和性感染葉が最も強く,次いで不親和性感染葉,健全葉の順であった。この染色程度の差異は,とくにRf0.13, 0.38, 0.40の3本の染色帯において明らかであり,また,葉位の異なる健全葉を比較した場合にも,これら3本のアイソザイムは下位葉ほど濃く染色された。
5. 以上の結果から,本酵素活性は感受性の感染葉において明らかに増加し,抵抗性の発現には関与していないようであり,また,本酵素は健全・感染葉の間に質的な差異を認めないことから,親和性感染葉においては組織の老化促進に伴って活性が増加するものと推定された。

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