日本植物病理学会報
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非特異的エステラーゼのザイモグラムによるRhizoctonia solani Kühnの類別
松山 宣明諸見里 善一生越 明脇本 哲
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1978 年 44 巻 5 号 p. 652-658

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抄録
Rhizoctonia solaniは形態,病原性,生理生態的性質をそれぞれ異にする菌群を含み,その分類には議論が多い。これら菌群間の類縁関係を調べるために各菌糸融合群から合計48菌株を選び,その有用性が認められているザイモグラム比較を行った。イネ紋枯病菌,ハマスゲ葉腐病菌,サトウキビ虎斑病菌(AG-1, sasakii type, IA)はいずれも特徴的ザイモグラムZym-1を示した。しかし同じ菌糸融合群AG-1に属する英国トゲナシアカシアその他から分離の菌株(AG-1, web-blight type, IB)はZym-1と全く異なる種々のザイモグラムを示した。イグサ紋枯病菌,イネ褐色紋枯病菌,サトウダイコン葉柄からの数菌株(AG-2-2, rush type, III B)はいずれもZym-1に比較的類似したZym-2-2Aを示した。しかし同じくAG-2-2に属するサトウダイコン葉身,根部から分離の数菌株(AG-2-2, root rot type, IV)はZym-2-2Bを示した。AG-2-1に属する菌株はザイモグラムの中,下部に特徴を有するZym-2-1を示し,他と極めて異なっていた。AG-3に属するジャガイモからの分離株(AG-3, potato type, IV)はいずれも特徴あるZym-3を示した。融合群AG-4, 5群に属する菌株はそれぞれ2種類のザイモグラムを示したが,ジャガイモからの分離株によるZym-5AはZym-3に類似していた。ザイモグラム型は菌糸融合群と大略一致したが,生態型とより密接に相関する場合も認められた。これらの結果にもとづき各菌群の分類学的位置についても論議を加えた。
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