日本植物病理学会報
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44 巻 , 5 号
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  • 内記 隆, 加納 正和
    1978 年 44 巻 5 号 p. 543-553
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 岐阜県高山市を中心とする冷涼地帯のハウス栽培ホウレンソウの土壌病害の発生実態とそれに関与する病原菌につき,月別,土壌や作歴を異にする地域別およびホウレンソウの生育時期別に調査した。
    2. 発病株率,ハウス当り発生面積ともに栽培初期の5月と末期の10月に少なく,6∼9月の夏ホウレンソウで高い値を示した。
    3. 低温期の5月にはPythium spp.による立枯病の発生が僅かに目立ち,高温期の6∼8月は2∼4葉期のRhizoctonia立枯病の被害が最も大きく,ついで生育中期以降はF. oxysporum f. sp. spinaciaeによる萎ちょう病とR. solaniによる株腐病が増加した。R. solaniはホウレンソウの全生育期間中根部を侵し,それによるRhizoctonia立枯病,株腐病は当地域の夏ホウレンソウ栽培においてF. oxysporum f. sp. spinaciaeによる萎ちょう病とともに最も重要な病害である。その他低温期にはPythium spp.による子葉期の立枯病が重要である。
    4. その他,ホウレンソウに対し病原性を示すものはAphanomyces sp., F. solani, 2核のRhizoctonia sp.であるが,それらの分離率は極めて少ない。
    5. 黄褐色の軽埴土壌,連作年数の多い土壌,水田跡地より畑地土壌,標高の低い地帯で概して発病が多い傾向にあった。またこれらの地域からはF. oxysporumが多く分離された。一方Rhizoctonia立枯病と株腐病,Pythium spp.による立枯病は病原菌の分離率から一部黒ボク土壌を含む灰∼黒色の埴壌土,水田跡地のハウスで発生し易い傾向にあった。
  • 内記 隆, 加納 正和
    1978 年 44 巻 5 号 p. 554-560
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    岐阜県高山市を中心とする冷涼地帯の簡易ハウス栽培ホウレンソウの立枯症状,株腐症状株から分離されるRhizoctonia solani Kühnの消長ならびに菌糸融合群(AG)について検討した。栽培初期の5月には分離率が低く,6月より増加し,栽培末期の10月にも高い分離率を示した。ホウレンソウの生育時期毎に比較すると子葉期と本葉2∼4葉期に多く分離され,生育時期が進むにつれて減少の傾向にあった。また調査期間中何れの生育時期においてもAG-4が最も多く,ついでAG-2, type-2が多く分離された。AG-2, type-2はホウレンソウの生育時期が進むにつれ多く分離される傾向にある。その他AG-1, AG-2, type-1, AG-5が僅かに分離された。またにれら分離率は作歴,土壌により異なる。軽埴土地帯よりも埴壌土および壌土地帯,畑作地帯よりも水田跡地のハウス栽培ホウレンソウから多く分離された。埴壌土地帯,水田跡地のハウス栽培ではAG-2, type-2の分離率が増加した。さらに露地栽培ホウレンソウではハウス栽培のそれと比較し分離率は低く,AG-4の他AG-1が分離されたにすぎない。
  • 植松 勉, 長尾 記明, 脇本 哲
    1978 年 44 巻 5 号 p. 561-569
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌N5874とBdellovibrio細菌BdN6801における宿主-寄生者関係の微細構造を常法に従って超薄切片を作成し,電顕観察した。
    X. oryzae細胞の核様物質や細胞内容物は,Bdellovibrio細菌の吸着時から侵入初期において変質,崩壊し,顆粒状になってまばらに分布し,X. oryzae細胞全体が球状に膨らんだ。そして,宿主細胞壁に侵入孔が形成され,BdN6801は比較的なめらかに侵入した。宿主細菌の細胞質膜はほぼ完全なままで残り,Bdellovibrio細菌はその細胞壁と細胞質膜との間に侵入し,細胞質膜に隣接してらせん状に生長し,侵入時の数倍の長さに達した。このBdellovibrio細菌の生長にともなって宿主細菌の細胞質は徐々に消失し,最後に宿主細菌細胞は完全にゴースト化した。らせん状に生長したBdellovibrio細菌はゴースト化した宿主細胞壁の崩壊前に数個体に分裂した。
    イネ白葉枯病菌N5874とBdN6802との組合せにおいても寄生の大部分の過程はBdN6801の場合と同様であったが,吸着の際Bdellovibrio細菌の頭部に膨らみがみられ,侵入初期においてその頭部にメソゾームが観察されることが多く,また宿主の細胞壁が硬く侵入孔の大きさが不十分のためかBdellovibrio細菌はくびれながら侵入した。
  • 佐々木 真津生, 四方 英四郎
    1978 年 44 巻 5 号 p. 570-577
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 本病原の罹病キュウリ粗汁液における安定性は耐希釈性が10-3∼10-4,耐熱性は84C以上,耐保存性は20Cで12∼24時間,4Cで3日以上であった。
    2. 本病原の感染性は,113,000×g, 2時間の遠心分離で沈渣より上清に高かった。
    3. 本病原は0.005Mより0.05∼0.5M K2HPO4-TGA緩衝液で罹病キュウリからよりよく抽出された。
    4. 本病原はフェノール・エタノール処理に耐性で,核酸抽出法で抽出された。
    5. 罹病キュウリより核酸抽出法で抽出した部分純化試料の感染性はRNase処理で消失し,DNase処理は影響しなかった。また,清澄化液の感染性はRNase処理でほとんど低下しなかった。
    6. 部分純化試料を5-20%蔗糖密度勾配で遠心分離した結果,紫外部吸収曲線は健全キュウリ核酸試料と同じパターンであった。しかし,接種試験の結果,6-9Sの部分に高い感染性が認められた。
    7. 以上の結果から本病原は低分子リボ核酸の病原体,すなわちウイロイドと考える。
  • 岩木 満朗, 中野 昭信, 家村 浩海, 栃原 比呂志
    1978 年 44 巻 5 号 p. 578-584
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    和歌山県西牟屡郡白浜町のレタスに発生している虎斑症は病徴・伝搬様式などからlettuce big vein virusに起因する病害と同じか近縁な病害と同定した。
    レタスにおける病徴は葉脈周辺が退緑し,退緑部と緑色部の境が明瞭で,葉脈が肥大したように見える。病葉を常法に従って数種検定植物に汁液接種したが反応は見られなかった。また,モモアカアブラムシによっても伝搬されなかった。さらにdip法および超薄切片法により電顕観察したが,ウイルス様粒了は検出されなかった。
    発病地の土壌にレタス苗を植えつけたところ,高率に発病し,病土を熱消毒すると,その土壌伝染性は消失したが,3週間風乾しても土壌伝染性は保持されていた。病株の葉と根を消毒した土に混入し,レタス苗を植えつけたところ,根を入れた区でのみ発病し,病株の根にはすべてOlpidium菌と思われる休眠胞子や遊走子のうが観察された。この菌は休眠胞子や遊走子のうおよび遊走子の形態からOlpidium sp.と判断した。また病株の根から放出された遊走子により高率に伝染した。さらに本病は病株の茎頂を接ぐことにより容易に伝染したが,この病株の根にはOlpidium sp.は検出できず,またこの根からは土壌伝染しなかった。レタスの品種間には感受性に差異が認められなかった。10科30種の植物を同じ病土に1年間3回栽培しても土壌伝染性は消失しなかった。本病は種子伝染しなかった。
  • 小島 誠, 周 廷光, 四方 英四郎
    1978 年 44 巻 5 号 p. 585-590
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ葉巻ウイルスの診断に免疫電顕法を応用し,実験的に満足すべき結果を得た。
    そのひとつの方法は,罹病ジャガイモ塊茎からの幼植物の汁液を清澄化し,それに希釈抗PLRV血清を加え,冷室で一晩反応させる。
    反応液の1滴を電顕用支持膜(glow discharge処理したもの)にとり,UA染色後,電顕観察すると,PLRV粒子は特異的なウイルス凝集塊(clumping)として容易に検出された。
    もうひとつの方法は,予め抗PLRV血清〔もしくはIgG (PLRVより作成した免疫グロブリンG,immunogloblin G,これについては,日植病報,44, 28-34を参照のこと)で被覆した支持膜に罹病葉からの清澄化液を1滴とり,15分間室温で反応させたのち,水洗し,再び抗血清(IgG)を1滴加える。この方法では,ウイルス粒子が抗体により支持膜に付着し,さらに2度目の抗体処理により,未反応の粒子表面は抗体で装飾(decoration)されるため, haloを呈し,直径も増大するので,個々の粒子の検出が容易であった。これらの方法は簡便かつ短時間で行なうことができ,それによるウイルス検出頻度も高いことから,本ウイルスの診断法として実用に供し得るものと考えられる。
  • 国永 史朗, 横沢 菱三, 生越 明
    1978 年 44 巻 5 号 p. 591-598
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    北海道内の未耕地土壌よりR. solaniを分離し,菌糸融合により類別し,各融合群の菌叢の性状,イネ,ダイコン,レタス,サトウダイコン,トマト,インゲンに対する病原性を検討した。
    1. 未耕地土壌からの分離株は,既存融合群のAG-1, AG-2-1, AG-2-2, AG-5と,新しい融合群AG-6, AG-BI (Bridging Isolates)とに類別された。
    2. 全分離菌株に対する各融合群の分離率は,AG-1: 3.0%, AG-2-1: 1.9%, AG-2-2: 9.7%, AG-5: 8.5%, AG-6: 71.1%, AG-BI: 5.8%で,AG-6が未耕地に優占する群であることが示された。
    3. AG-6は相互に菌糸融合を行ない,既存融合群とは菌糸融合を行なわず,また病原性はほとんど認められなかった。菌叢は淡褐色∼黒褐色となり,灰褐色∼褐色の菌核を形成するものと,しないものがあり変異に富む。
    4. AG-BIは相互に菌糸融合を行ない,既存融合群のAG-2-1, AG-2-2, AG-3とAG-6にまたがって菌糸融合を行なった。病原性はほとんど認められなかった。既存融合群のAG-2-1, AG-2-2, AG-3の菌叢と類似する。
    5. 病原性はAG-1は多犯性で強く,AG-5はトマトに強い病原性を示したが,AG-2-1, AG-2-2は微弱であった。
    6. 菌叢はAG-1, AG-5は畑土壌分離株の同群と類似の性状が認められたが,AG-2-1, AG-2-2は畑土壌分離株の典型的なものと異なっていた。
    7. AG-BIの菌糸融合行動および菌叢性状より,AG-2-1, AG-2-2, AG-3, AG-6, AG-BIの5融合群間の近縁性が示唆された。
  • 西村 範夫, 冨山 宏平, 道家 紀志
    1978 年 44 巻 5 号 p. 599-605
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    塊茎デイスク(リシリ品種)の両面にジャガイモ疫病菌のrace 0またはrace 1を接種した。一定時間後に3H-ロイシンを吸収させた。接種による吸収量の低下は前報と同じ傾向を示した。酸不溶性分画への取り込み率はrace 0接種で約40%, race 1接種で約10%増加した。この結果は,感染による塊茎デイスクの吸収量の低下が侵入を受けた細胞の代謝活性の低下によるのではなく,原形質膜の取り込み能の変化によることを示唆した。また,遊走子磨砕物中に3H-ロイシンの吸収量を低下させる成分があった。さらに20,000×g上清および沈澱分画処理により吸収量は低下した。上清分画は透析により活性を失った。酸不溶性分画への取り込み率はほとんど変化を受けなかった。いずれもrace 0とrace 1間の差はみられなかった。これらの結果は,沈澱分画の成分が接種後まだ貫入していない時期にみられた吸収低下の要因の一つであることを示す。
  • 勝屋 敬三, 柿島 真, 佐藤 昭二
    1978 年 44 巻 5 号 p. 606-611
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンバク冠さび病菌race 367の一菌系およびコムギ赤さび病菌race 45の一菌系の夏胞子を用い,人工培地上で培養を行なった。
    供試菌の夏胞子は,aseptic leaf culture法により,無菌的に多量に得ることができた。
    両菌の夏胞子をそれぞれ人工培地上に高密度で接種したところ,両菌は良好に発芽し,菌糸を伸長させて生育を続け,約1∼2週間後には気中菌糸の豊富な白色のコロニーを形成した。約1.5∼2ヶ月後に至ると,コロニーの一部は白色から暗褐色に変化した。この変色分を観察すると,子座が形成され,子座の一部には夏胞子および冬胞子様の器官を観察することができた。培地上に形成されたコムギ赤さび病菌の冬胞子様器官は,寄主植物上の冬胞子と形態的に類似していたが,培地上に形成されたエンバク冠さび病菌の冬胞子様器官は,寄主植物上の冬胞子と形態的に異り,冬胞子の先端にエンバク冠さび病菌の特徴である角状突起が観察されなかった。このことから,さび病菌を人工培地上で培養したばあい,形成される胞子は,寄主植物上の胞子と形態的に異なる可能性があることが示唆された。
  • 我孫子 和雄
    1978 年 44 巻 5 号 p. 612-618
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ウリ類,ナス,ゴボウおよびフキに寄生するS. fuligineaの相互の関係を明らかにするため,形態観察および接種試験を行い,次の結果を得た。
    1. メロン,キュウリ,セイヨウカボチヤ,ユウガオにそれぞれ寄生する菌は,ほぼ同じ寄主範囲を示した。すなわち,S. fuligineaの寄主とされている19種の植物に接種したところ,メロン,キュウリ,セイヨウカボチャ,ユウガオの他に,ヒマワリ,コスモス,ヒャクニチソウ,ホウセンカなどに発病がみられた。
    2. スイカに寄生する菌は,メロンなどに寄生する菌とほぼ類似した寄主範囲を示したが,スイカに激しく発病したところが,メロンなどの菌とは異なっていた。
    3. ナス,ゴボウおよびフキにそれぞれ寄生する菌は,それぞれの原寄主のみに激しい発病が認められた。
    4. 形態観察の結果,ナスに寄生する菌の分生胞子の長径は,メロンなどの菌に比べて若干長い傾向がみられたが,その他の植物に寄生する菌の間には顕著な差異は認められなかった。
    5. 以上の結果から,供試したS. fuligineaは寄生性の差異によって,(1) メロン,キュウリ,セイヨウカボチヤ,ユウガオなどのウリ類(スイカ,トウガンを除く)に寄生する系統,(2) スイカに寄生する系統,(3) ナスに寄生する系統,(4) ゴボウに寄生する系統,(5) フキに寄生する系統の5系統に類別することができた。
  • 匠原 監一郎, 井上 忠男
    1978 年 44 巻 5 号 p. 619-625
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)の検出,診断のための簡便な血清学的手法として,抗血清寒天スライド法(SRD法)と簡易二重拡散法(SDD法)を案出した。
    両方法はともにスライドグラス上での寒天ゲル内拡散法を修正したものであり,抗原用の槽を作るかわりに寒天(SRD法では抗血清を混合した)上に〓紙片を置き,その上に24%NaCl液で磨砕した植物組織をのせて抗原を拡散させた。また,SDD法は抗血清を〓紙片に含ませて寒天上の抗原用〓紙に並置する方法である。
    試料をNaCl処理することにより,CMV抗原の拡散速度と血清反応は,無処理試料に比べて早く,かつ明瞭となり,1夜後にはササゲによる生物検定と同程度以上の精度でウイルス検出結果の最終判定が可能であった。また,供試したCMVの5分離株はいずれも同様に検出された。
    各種植物からのCMV検出に両方法を適用することができたが,SRD法では数種の主要野菜を除き,植物の種類によっては非特異沈澱を生じ,血清反応の判定に支障のあるものもあった。一方,SDD法では非特異沈澱がウイルス検出の障害となることはSRD法に比べて少なかった。
  • 八重樫 博志
    1978 年 44 巻 5 号 p. 626-632
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    いもち病菌の病原性ならびに交配型の遺伝様式を解明するため,完全世代の利用を試みた。実験には,完全世代を良く形成するウィピングラブグラスから分離した菌株(以下ウィピングラブグラス菌)とシコクビエから分離した菌株(以下シコクビエ菌)とを供試した。ウィピングラブグラス菌(あるいはシコクビエ菌)同士の交配からは交配親株と同じ病原性のものだけが得られたが,病原性を異にするウィピングラブグラ冬菌とシコクビエ菌との交配では病原性の分離が確認された。すなわち,両菌株の交配によって得られた子のう胞子(計325)には,ウィピングラブグラスにのみ病原性を示すもの(136),シコクビエにのみ病原性を示すもの(127),両方に病原性を示すもの(26),両方に病原性を示さないもの(36)が認められた。ウィピングラブグラス(あるいはシコクビエ)に病原性を示すものと示さないものの比率がほぼ1:1であった事から,これら寄主に対する病原性はそれぞれ一個の異なる遺伝子によって支配されているものと推察される。また,非交又型のものが圧倒的に多く分離された事,一部交又型のものも得られた事から,これら二つの遺伝子は相同染色体上の異なる座に位置しているものと推察される。交配型はこれら病原性とは独立に遺伝した。これら病原性,交配型を支配している遺伝子が染色体上に位置しているという推定は,同一子のう内の8個の子のう胞子を検定した結果からも確められた。
  • 渡辺 恒雄, 橋本 光司
    1978 年 44 巻 5 号 p. 633-640
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    海老名市(神奈川県)の畑から収穫したモロコシの種子は,70%が変色し,約68%が豹紋病菌(Gloeocercospora sorghi)に感染していた。これらの種子を殺菌土壌に播くと,わずか20%が萌芽し,萌芽した子苗の約80%が発病した。また健全な種子を,畑から持ち帰った病土に播いたところ発病はしなかったが,供試した39個体のうち2個体の茎(地際部)から本菌を検出できたが,殺菌土からは検出できなかった。この菌の分生胞子は,培地の影響で大きさや隔膜数が変わった。また20∼30Cの温度で,胞子の発芽を素寒天培地上(WA)で試験したところ処理後4時間で100%発芽した。培養菌核は,処理後2∼4日めでWA上では,96%が発芽し,22%の菌核上には,直接スポロドキアの形成が見られた。本菌は,接種後2時間以内で寄主体への侵入が可能の様で,24時間後には早くも病徴が現われた。以上の実験結果から,本菌は,種子伝染し,土壌中で存在しており,植物へ感染能力を有することが明らかである。
  • 白石 友紀, 奥 八郎, 辻 義雄, 大内 成志
    1978 年 44 巻 5 号 p. 641-645
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンドウ褐紋病菌の柄胞子は500ppmのピサチン水溶液中においても発芽や発芽管伸長が阻害されず,ピサチンに対して高度の耐性を有している。しかしながら,人為的に胞子懸濁液中にピサチンを与えてエンドウに接種すると,抗菌濃度以下(50ppm)のピサチンによって,その感染が著しく阻害される。さらに,セロファンをピサチン溶液上に浮かべて,褐紋病菌胞子をセロファン上で発芽させると,その穿孔能が著しく阻害される。以上のことから,ピサチンは純寄生性の病原菌と同様に,非純寄生性症原菌に対しても感染阻害作用を有し,このことは病原菌の侵害力を不活化することにより,宿主の感染に対する防禦反応に重要な役割を果していることを示唆する。
  • 後藤 正夫
    1978 年 44 巻 5 号 p. 646-651
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アジヤ各国に起源をもつイネの30品種を用いて株腐病に対する抵抗性を検定した。Erwinia chrysanthemiのER8菌株を用いて接種試験を行った結果,細菌懸濁液散布法は発病が少く抵抗性検定には不適当であった。菌液の葉鞘注射法によると高濃度菌液(1茎当り1×107細菌)を用いた場合には品種間で発病に殆んど差はみられなかったが,低濃度菌液(2×103細菌)では明瞭な違いがみられた。菌量低下に伴う抵抗性の品種間差異は1茎当り細菌数103∼104付近で顕著になった。イネ品種の本病に対する圃場抵抗性の差はこのような低濃度細菌に対する抵抗性の差によって説明されると考えられた。抵抗性品種は日本型品種よりも印度型品種に高い頻度で見出された。
  • 松山 宣明, 諸見里 善一, 生越 明, 脇本 哲
    1978 年 44 巻 5 号 p. 652-658
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rhizoctonia solaniは形態,病原性,生理生態的性質をそれぞれ異にする菌群を含み,その分類には議論が多い。これら菌群間の類縁関係を調べるために各菌糸融合群から合計48菌株を選び,その有用性が認められているザイモグラム比較を行った。イネ紋枯病菌,ハマスゲ葉腐病菌,サトウキビ虎斑病菌(AG-1, sasakii type, IA)はいずれも特徴的ザイモグラムZym-1を示した。しかし同じ菌糸融合群AG-1に属する英国トゲナシアカシアその他から分離の菌株(AG-1, web-blight type, IB)はZym-1と全く異なる種々のザイモグラムを示した。イグサ紋枯病菌,イネ褐色紋枯病菌,サトウダイコン葉柄からの数菌株(AG-2-2, rush type, III B)はいずれもZym-1に比較的類似したZym-2-2Aを示した。しかし同じくAG-2-2に属するサトウダイコン葉身,根部から分離の数菌株(AG-2-2, root rot type, IV)はZym-2-2Bを示した。AG-2-1に属する菌株はザイモグラムの中,下部に特徴を有するZym-2-1を示し,他と極めて異なっていた。AG-3に属するジャガイモからの分離株(AG-3, potato type, IV)はいずれも特徴あるZym-3を示した。融合群AG-4, 5群に属する菌株はそれぞれ2種類のザイモグラムを示したが,ジャガイモからの分離株によるZym-5AはZym-3に類似していた。ザイモグラム型は菌糸融合群と大略一致したが,生態型とより密接に相関する場合も認められた。これらの結果にもとづき各菌群の分類学的位置についても論議を加えた。
  • 白石 友紀, 奥 八郎, 山下 雅生, 大内 成志
    1978 年 44 巻 5 号 p. 659-665
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンドウ褐紋病菌,Mycosphaerella pinodesは,その分生胞子発芽液中に,エンドウに対してピサチンの蓄積を誘導する物質と抑制する物質を生産する。誘導物質は高分子,抑制物質は低分子である。抑制物質は誘導物質の活性を中和する。抑制物質をセファデックスG15を用いたゲル〓過,薄層クロマトグラフィーによって精製すると,2つの有効成分,F2とF5が得られ,これらは共にニンヒドリン反応,Lowry反応に陽性で,低分子のペプチッドであることが判明した。F2, F5で処理したエンドウ葉では,非病原菌,Erysiphe graminis hordei, Stemphylium sarcinaeformeによるピサチン生成が抑制され,特にF5にその作用が強く,50μg/mlで完全にピサチン生成を阻止し,処理葉ではS. sarcinaeformeが感染するようになる。
  • 斎藤 康夫, 井上 斉, 里見 綽生
    1978 年 44 巻 5 号 p. 666-669
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A disease of rice plants similar to tungro disease in symtoms occurred in Okinawa, Japan, in 1977. A virus belonging to rhabdovirus group was observed in both ultratnin sections and dip preparations from diseased plants. The virus was transmitted in a persistent manner by the green rice leafhopper, and was identified as rice transitory yellowing virus.
  • 黒崎 良男
    1978 年 44 巻 5 号 p. 670-673
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    To investigate the water permeability of the brown-discolored marginal zone, artificial lesions were prepared by means of inoculation at heat-injured spots. These lesions formed sharp brown-discolored zone which seemed to barricade the parasite. Water content of these lesions decreased rapidly even under sufficient water supply, suggesting that the brown-discolored tissue inhibits the supply of water and water soluble nutrients to the fungus enclosed in the lesion.
  • 1978 年 44 巻 5 号 p. 676a
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 44 巻 5 号 p. 676b
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 44 巻 5 号 p. 676c
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 44 巻 5 号 p. 676d
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/02/19
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