日本植物病理学会報
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エンドウ褐紋病菌の生産するピサチン誘導および抑制物質
白石 友紀奥 八郎山下 雅生大内 成志
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1978 年 44 巻 5 号 p. 659-665

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抄録
エンドウ褐紋病菌,Mycosphaerella pinodesは,その分生胞子発芽液中に,エンドウに対してピサチンの蓄積を誘導する物質と抑制する物質を生産する。誘導物質は高分子,抑制物質は低分子である。抑制物質は誘導物質の活性を中和する。抑制物質をセファデックスG15を用いたゲル〓過,薄層クロマトグラフィーによって精製すると,2つの有効成分,F2とF5が得られ,これらは共にニンヒドリン反応,Lowry反応に陽性で,低分子のペプチッドであることが判明した。F2, F5で処理したエンドウ葉では,非病原菌,Erysiphe graminis hordei, Stemphylium sarcinaeformeによるピサチン生成が抑制され,特にF5にその作用が強く,50μg/mlで完全にピサチン生成を阻止し,処理葉ではS. sarcinaeformeが感染するようになる。
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