日本植物病理学会報
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抗血清による植物ウイルスの診断
Multi-dish tray法について
仙北 俊弘李 淳〓小島 誠四方 英四郎
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1979 年 45 巻 2 号 p. 142-146

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抄録

植物ウイルスの血清学的方法のひとつであるmicroprecipitin testの改良を試み,この改良法をmulti-dish tray法とした。反応容器として径6mmの平底の穴が横に12列,縦8列の計96並んでいる組織培養用のプラスチック製Multi-dish disposo tray (Linbro Chemical社製)を使用し,ピペットはMicro selectapette (Clay Adams社製)を用いた。抗原と抗血清を各0.025mlずつ混合し,その上に乾燥を防ぐため流動パラフィンを0.03ml滴下し反応させた後,暗視野顕微鏡を用い16倍あるいは25倍で観察した。PVX, PVY, PVS, CGMMV, RDVの5種のウイルスについて各罹病植物粗汁液,または純化ウイルス試料を用いて本法を試みた。その結果,この方法は従来の重層法と同様に,反応を容易に判読できることがわかった。Multi-dish tray法は操作が簡便で,1枚のtrayで多数の反応を試みることができ,使用する抗原,抗血清の量は極めて少量ですむ利点がある。暗視野顕微鏡を用いることにより,その反応は明瞭かつ正確に判読でき,また抗血清の力価の判定も容易である。

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