1979 年 45 巻 5 号 p. 721-726
ササゲとキュウリ葉における脂質過酸化物分解酵素の細胞内分布とCMVに感染した場合の酵素活性の変化について検討した。両植物葉では本酵素活性の大部分は原形質膜に分布しており,他に小胞体やミトコンドリア,マイクロボデー分画にも多少の分布が認められた。CMVの局部感染宿主であるササゲではCMV感染後12時間以内に本酵素の活性が急速に増大し,また,過酸化反応の指標として使用したマロンアルデヒドの量も著しく増大した。しかし,局部病斑出現以後は両者共漸減の傾向を示した。一方,これと対照的に全身感染宿主であるキュウリの場合は,感染後10日を経ても酵素活性やマロンアルデヒド含量に殆んど変化はみられなかった。