日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
実験条件下におけるカンキツリクビン(citrus greening disease)の宿主域とその病徴
宮川 経邦
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 46 巻 2 号 p. 224-230

詳細
抄録

ガラス室内の条件下で,接木接種によってCitrusおよび近縁植物におけるリクビン(アジア系グリーニング病)の病徴を観察した。
CitrusおよびFortunella属幼実生または接木苗におけるリクビンの典型的な病徴は,成葉における発病初期の不規則な葉脈に沿った黄斑,さらに罹病度の進展にともなう黄化葉,ならびに節間短縮による小葉化,矮化症状の発現であった。これらの病徴は28~32Cの好適条件下においては接木接種後2~3カ月目から現われた。
供試したカンキツ品種のなかで,ポンカンおよびオーランドタンゼロの病徴がとくに顕著で検定植物としての利用価値が高い。ついでスイートオレンジ,ウンシュウミカン,シークワシャーなどであった。サワーオレンジ,グレープフルーツ,セクストンタンゼロなどのCTV-SY反応型品種はリクビンによっても黄化,矮化症状を現わすが, CTV-SYによる病徴がより顕著に現われることから,被検試料にCTV-SYが保毒されるときは検定植物としては不適当である。
カラタチは外見上無病徴か,まれに軽い黄化葉を現わしたが,これらの実生苗にポンカン,スイートナレンジなどの感受性品種を接木すれば顕著なリクビンの病徴を現わした。ミカンキジラミの好適な宿主植物であるゲツキツは接木接種によって外見上感受性を示さなかった。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top