テンサイ葉腐病の病原である
Thanatephorus cucumeris(A G 2-2)の担子胞子形成,飛散および発病の経過を明らかにした。
子実体は,はじめテンサイ根腐病株の周辺土壌あるいは葉柄基部の病斑周囲などの表面に多数形成されていた。また,ジャガイモ,コムギ,ダイズおよびトウモロコシ畑でも茎葉に覆われた地表面あるいは地際部などにA G2-2の子実体が認められた。
本病の初発生は,これら部位の子実体から飛散した胞子が侵入することにはじまった。一次病斑の周辺に二次病斑が現われると,葉の裏面健全部にも子実体が形成され,これから飛散した胞子は再び葉に感染した。
二次病斑の形成葉数の増加にともなって子実体形成量も増え,空気中の胞子密度が増加した。その結果胞子感染,一次病斑形成,二次病斑の形成と拡大,および罹病葉と健全葉の接触などが次々と行われ,本病は畑全面に急激に蔓延した。
自然発生畑の空気中で捕捉された胞子数は地表面に近いほど多かったが,発病最盛期には高さ185cm,また発病圃場から70m離れた地点でも多数認められた。またその胞子のほとんどが菌糸融合群A G 2-2に属した。
テンサイ畑における子実体からの胞子の落下は21時頃より急増し,夜半すぎに最も多くなり,夜明けとともに激減した。晴れまたは曇りの昼間には,胞子の落下はほとんど認められなかった。
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