1981 年 47 巻 2 号 p. 222-227
エンドウに,親和性,非親和性および非病原性のうどんこ病菌を接種し,トレーサー法を用いてピサチンの生合成と分解について比較したところ,分解に関しては差がみられなかったが,生合成に明らかな差がみられた。エンドウ品種,アラスカの葉に親和性のErysiphe pisiを接種し, 14C-フェニールアラニンをとりこませると,接種12時間後にはピサチンに検出可能な比放射活性が認められたが,エンドウに対して非病原菌であるE. graminis f. sp. hordeiを接種すると6時間後に放射性ピサチンが検出できた。また,エンドウ品種,レジスタント・ストラターゲムの葉に,親和性のE. pisi OEP-2を接種すると, 13.5時間後にごくわずかの放射性ピサチンが検出でき,その量は18時間後までほとんど増加しなかった。これに反し、非親和性のE. pisi OEP-1を接種すると, 10.5時間後に放射性ピサチンが検出可能となり,その後急激に増加した。これらのことから,エンドウ葉がうどんこ病菌に感染したときにおこるピサチンの蓄積の様相は,その生合成系の活性化如何に支配され,分解系の違いによるものではないと考えられる。