日本植物病理学会報
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47 巻, 2 号
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  • ピーマン葉上における分生子柄ならびに分生胞子の形成
    本間 保男, 高橋 広治, 有本 裕, 石川 武丕, 松田 泉, 見里 朝正
    1981 年 47 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ピーマン葉裏面におけるLeveillula tauricaの分生子柄の形成およびその先端に分生胞子が形成されるまでの過程を光学顕微鏡ならびに走査型電子顕微鏡下で観察した。L. tauricaはうどんこ病菌のうちでも数少い内部寄生性うどんこ病菌とされている。したがって本菌は,いったん気孔から侵入,葉組織内で増殖の後,再び気孔から外部へ分生子柄,分生胞子を突出する。しかし,本菌は外生菌糸を形成し,その上にも分生子柄ならびに分生胞子が形成され(8%), 必ずしも内部寄生性菌としての性質だけではないことが認められた。これは従来の知見では知られなかった事実である。分生子柄形成後約20時間で,分生子柄先端に第一分生胞子が形成された。第一分生胞子は舟形を呈したが,次に形成される分生胞子は円筒型で,両者の形態は著しく異なった。また分生子柄は時に分岐し,それぞれに分生胞子の形成することも認められた。分生胞子の大きさは約130×30μmであった。分生胞子は表面に多くの刺状突起を有した。このような突起は分生子柄上にも認められ,分生胞子直下から分生子柄の約3分の2のところまで形成されるが,分生子柄基部には全く認められなかった。分生胞子および分生子柄上の刺状突起は数種の外部寄生性のSphaerotheca fuliginea, Erysiphe graminis, Cystotheca lanestrisおよびOidium euonymi-japonicaeには全く見られなかったので, L. tauricaの特徴の1つであろう。分生胞子は極めて付着しやすいこと,またスライドグラス上で移動すると分生胞子の跡がまれにつくことなどから,分生胞子の表面には粘着物質が分泌されているのではないかと考えられる。
  • 一谷 多喜郎, 新須 利則
    1981 年 47 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本調査では,新ショウガの根茎腐敗病菌を連作ハウス内で追跡し,その消長と本病の発生・まん延との関係を明らかにしようとした。
    1. 種ショウガの根茎腐敗病菌による汚染度は,それが生産された年により異なっていた。
    2. あらかじめ消毒した植え付け前の畑土から,本菌は検出されなかった。
    3. 本病の初発生が種ショウガに由来すると考えられる2, 3の結果を得た。
    4. 本菌は二次感染時以降に根圏ならびに非根圏土壌中で増殖しているが,この場合検出される主な生育形態は,菌糸または胞子のう状の繁殖体であった。
    5. ハウス内における本菌はあと作物栽培中に急激に減少するが,局所的には次年度のショウガの植え付け時においても検出された。
  • 一谷 多喜郎, 新須 利則
    1981 年 47 巻 2 号 p. 158-165
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,連作ハウス周辺土壌中におけるショウガ根茎腐敗病菌P. zingiberumの分布,消長ならびに感染力について調べたものである。
    1. 調査ハウスの周辺土中には少なくとも3種のPythiumが生息しており,そのうちP. zingiberumのみがショウガに明らかな病原性を示した。周辺の汚染土からのP. zingiberumの分離率は,四季を通じて平均数パーセントであった。
    2. 常発ハウスのビニール外側付近の土壌には本菌が生存しているが,第一次伝染源としての役割は明らかでなかった。
    3. ショウガ廃棄物の捨場には本菌が生存しているが,比較的短期間に検出されなくなった。
    4. ショウガの洗い水が流入する排水溝には,本菌が長期にわたって生存しており,明らかに感染力を有していることが認められた。
  • 田中 飲二, 野中 福次
    1981 年 47 巻 2 号 p. 166-174
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Aspergillus nigerに感染したタマネギ鱗茎組織にしゅう酸の生成とペクチン質分解酵素の活性が認められた。本菌を接種したタマネギ鱗片から,硫安塩析法, SP-Sephadexカラムクロマトグラフィー法およびSephadex G-100を用いたゲル炉過法によって,ポリガラクチュロン酸の粘度を低下させるchain-spiltingenzymeが純化され,この酵素は最初の搾汁液が有する活性に対し約22倍の比活性を示した。この純化酵素はポリアクリルアミドゲルによる電気泳動法で単一のバンドを有する蛋白として検出された。この酵素による組織崩壊は供試した7種の植物の中で,タマネギ組織にもっとも著しかった。タマネギ組織における組織崩壊度の最適pHは3.0であり,この酵素の活性は70C, 10分間加熱で失活した。接種鱗茎におけるしゅう酸含量と組織崩壊度は接種後の日数の経過とともに高まり, 10日後のしゅう酸量は生重(g)当り6.6mgに達し,組織のpHは6.5から1.9に低下した。以上の結果から, A. nigerによるタマネギ鱗茎腐敗は本菌が産生するしゅう酸とペクチン質分解酵素によって起こり,それはまず,しゅう酸によって鱗茎組織のpHが本酵素の至適pH近くまで低下し,それによって酵素活性が高められるという両者の共範作用によることが明らかとなった。
  • 7. N-ラウロイル-L-バリンのいもち病菌菌糸に対する作用
    志田 俊郎, 本間 保男, 見里 朝正
    1981 年 47 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    N-アシル-L-バリンのいもち病防除価と浸透力の強さとはよく連関した。また, N-ラウロイル-L-バリン処理によって,いもち病菌菌糸にあきらかな変形がみとめられた。N-アシル-L-バリンを,いもち病菌菌糸に作用させると, 260, 280nm吸収物質の漏出が認められ,その漏出量は防除価とよく連関した。漏出物質は数種の核酸関連物質,蛋白,アミノ酸,ブドウ糖などで,非特異的であった。さらに, N-ラウロイル-L-バリンのL-パリンを, D-バリンあるいは, DL-バリンに変えると,浸透力の強さは, L>DL≥Dの順であり,菌体内物質の漏出量も, L>DL>Dの順であった。以上の結果から, N-ラウロイル-L-バリンはいもち病菌菌糸に対して界面活性剤として作用し,菌糸表層を変性させ,菌体内物質を漏出させると考えられる。
  • 井上 成信, 宮地 邦明, 光畑 興二
    1981 年 47 巻 2 号 p. 182-188
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本報はモザイク病を発生する球根アイリスから最も普通に検出される病原ウイルスについて調べ,これをiris severe mosaic virusと同定し,その諸性状について記載したものである。
    本ウイルスは汁液接種を行った13科44種の植物のうち,球根アイリスに全身感染し, C. amaranticolor, C. quinoa,ツルナ,センニチコウに.局部感染, N. clevelandiiの接種葉に無病徴感染した。これらの植物への感染性は免疫電顕法により再確認できた。本ウイルスはモモアカアブラムシおよびワタアブラムシによって非永続的に伝搬された。汁液中での不活化温度は60~65C,希釈限度は10-3~10-4,保存限度は3~4日(20C)であった。ウイルス粒子の形態は750×13nmのひも状である。病葉のDN法試料の電顕観察では平板状または管状の細胞質内封為体が認められ,その面には線間隔約5.3nmの平行微細構造がみられた。感染植物細胞の超薄切片像で,細胞質内に散在するウイルス粒子が認められ,またpinwheel, laminated aggregates, bundleなどの細胞質内封入体が観察された。
    本ウイルスはISMVの抗血清と免疫電顕法により粒子の表面に特異抗体が付着し,反応陽性.と認められた。同試料に混入したCyMVは同抗血清と反応しなかった。また本ウイルスはIMMV, PVY, BYMVおよびTuMVの抗血清とは微凝集反応法で反応が認められなかった。
  • 野末 雅之, 冨山 宏平, 道家 紀志
    1981 年 47 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    p-クロロマーキュリ安息香酸(PCMB),高分子デキストラン結合PCMB (PMDT), 2, 4-ジニトロフェノール(DNP),アジ化ナトリウム(NaN3)は,ジャガイモ疫病感染系における過敏感細胞死を抑制するが,その細胞死の発現に不可決な過程であると考えられている宿主原形質膜と侵入菌糸表面との結合に影響をおよぼすかどうかを検討した。これらの薬剤を処理し,ジャガイモ疫病菌を接種したジャガイモ塊茎組織の光学顧激鏡観察によると,どの薬剤処理にもかかわりなく,感染細胞はテントタイプの原形質分離を起こし,宿主原形質膜が感染菌糸表面に付着することを示した。電子顕微鏡観察によっても,これらの薬剤処理にかかわらず水処理と同様に感染菌糸の表面に宿主原形質膜の付着がみられた。これらの結果は, PCMB, PMDT, DNP, NaN3は,おそらく宿主原形質膜と感染菌糸表面との結合に影響をおよぼすことなく過敏感細胞死を阻害することを示唆した。
  • 羽柴 輝良, 内山田 博士, 木村 健治
    1981 年 47 巻 2 号 p. 194-198
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    外国稲1,429品種,日本稲277品種を供試し,紋枯病斑の上位進展の速度ならびに最上位病斑高,病斑高率{(最上位病斑高/草丈)×100}および被害度(吉村の方式)との関係を検討した。7月15日紋枯病菌を株内に挿入接種, 9月1~6日に上位進展を調査した。外国稲,日本稲品種とも暦日上同一調査日における上位進展は早生>中生>晩生の傾向を示し,最上位病斑高より病斑高率を用いた方がより顕著な差がみられた。被害度と病斑高率との間にはY=1.62X-32.4 (Yは被害度, Xは病斑高率),病斑高率と最上位病斑高との間にはX=0.73Z-4.13 (Zは最上位病斑高)の関係が成り立つ。病斑高率および最上位病斑高から吉村の方式による被害度の推定が可能であり,本方式は吉村の被害度算定式よりもより簡便であり,能率的である。
  • 崔 在乙, 松山 宣明, 脇本 哲
    1981 年 47 巻 2 号 p. 199-205
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌株Q7472 (血清型A), Q7502 (血清型B-I)およびN5837 (血清型B-II)の各菌株からエタノール沈澱とプロナーゼ処理によって得られた粘液層および菌体多糖質抗原の液にそれぞれの抗血清を加え,沈澱する抗体の量を吸光度(287nm)で測定した結果,菌株ごとに異なる定量曲線が得られ,各菌株の多糖質抗原は血清学的に同質ではないことが示唆された。各血清型菌株の菌液,粘液多糖質および菌体多糖質の拡散性抗原を寒天ゲル内拡散法で比較した結果,菌株によって異なる数種類の抗原を検出した。これらの抗原のうちaは血清型Aの菌株に特異的な抗原であり,蒸溜水,生理食塩水,または0.5N三塩化酢酸により抽出可能であった。本抗原は熱(100C, 1時間)に安定で,エタノールで沈澱し,プロナーゼ処理によって不活性化しなかった。a以外の抗原には血清型特異的なものは認められなかった。
  • III. 吸器・細胞間隙菌糸内部および周辺に見られる好オスミウム性顆粒の組織化学的観察
    久能 均, 竹島 均, 石崎 寛
    1981 年 47 巻 2 号 p. 206-212
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    前報の電子顕微鏡観察において,ピーマン葉内のうどんこ病菌Leveillula tauricaの吸器および細胞間隙菌糸内部と周辺に,特徴ある大型の好オスミウム性顆粒が多数観察された。電子密度および染色性から,それらの顆粒は脂肪粒またはラインゾームであろうと推定された。本研究では,これらの顆粒の出現時期と組織化学的性質が検討された。顆粒は接種後3日目頃から吸器内部および周辺に出現し, 7日目までにその数と大きさを顕著に増し,細胞間隙菌糸内にも出現した。各種の組織化学的試験の結果,この顆粒は不飽和中性脂肪の顆粒であり,ラインゾームではないことが示唆された。
  • 石黒 潔, 宇井 格生
    1981 年 47 巻 2 号 p. 213-217
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. アズキ茎疫病菌, Phytophthora vignaeの卵胞子の発芽とその要因について検討した。
    2. β-sitosterol 30mg/l加用のV8-JAに形成した卵胞子を培地と共に磨砕し,その懸濁液を繰り返し遠沈洗浄すると沈澱部は夾雑物を含まない卵胞子のみになった。
    3. 卵胞子は多くの場合蔵卵器柄を貫通して発芽し,その発芽管のほとんどは末端に遊走子のうを形成した。
    4. 培養30日目に培地上に形成していた卵胞子は培養中および発芽時に光の照射を行わなくても高率に発芽するが,培養後半あるいは発芽時に光を照射するとさらに発芽促進効果が認められた。
    5. 25Cの暗所で10日間培養したとき卵胞子はすでに形成されており,それらは低率ながら発芽能力があり, 20日目以降90日目までは高率に発芽したが, 120日目以降はほとんど発芽しなくなった。
    6. 卵胞子発芽の適温は25C付近で,菌糸伸長の適温とほぼ一致したが,卵胞子形成が最も多かったのは20C付近であった。
  • 石黒 潔, 宇井 格生
    1981 年 47 巻 2 号 p. 218-221
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. Phytophthora vignaeの卵胞子発芽に対する浸透ポテンシャル(Ψx)の影響について調べた。用いた発芽用培地は1.5%寒天培地で,浸透ポテンシャルをNaCl, KCl, glucose, mannoseで調節した。
    2. 溶質の種類に関係なく浸透ポテンシャルの低下により卵胞子の発芽率は下がり, -3.0 barsで発芽はほとんど抑制された。
    3. 浸透ポテンシャルの低下によって卵胞子の発芽までに潜伏期間が必要とは認められなかった。
    4. 発芽培地の溶質にglucoseを用いた場合,発芽した卵胞子から菌糸のみが伸長し,他の溶質では,浸透ポテンシャルの値に関係なく発芽管末端に遊走子のうを形成した。
  • 白根 昇, 白石 友紀, 奥 八郎, 大内 成志
    1981 年 47 巻 2 号 p. 222-227
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンドウに,親和性,非親和性および非病原性のうどんこ病菌を接種し,トレーサー法を用いてピサチンの生合成と分解について比較したところ,分解に関しては差がみられなかったが,生合成に明らかな差がみられた。エンドウ品種,アラスカの葉に親和性のErysiphe pisiを接種し, 14C-フェニールアラニンをとりこませると,接種12時間後にはピサチンに検出可能な比放射活性が認められたが,エンドウに対して非病原菌であるE. graminis f. sp. hordeiを接種すると6時間後に放射性ピサチンが検出できた。また,エンドウ品種,レジスタント・ストラターゲムの葉に,親和性のE. pisi OEP-2を接種すると, 13.5時間後にごくわずかの放射性ピサチンが検出でき,その量は18時間後までほとんど増加しなかった。これに反し、非親和性のE. pisi OEP-1を接種すると, 10.5時間後に放射性ピサチンが検出可能となり,その後急激に増加した。これらのことから,エンドウ葉がうどんこ病菌に感染したときにおこるピサチンの蓄積の様相は,その生合成系の活性化如何に支配され,分解系の違いによるものではないと考えられる。
  • 黄 耿堂, 阿久津 克己, 小林 裕美子, 厳 潤実, 渡部 忠一, 見里 朝正
    1981 年 47 巻 2 号 p. 228-233
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    蒸留水で懸濁した灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の胞子を接種源とした場合,胞子濃度がおおよそ1×105/ml以下では発病が認められない。しかし,核酸塩基プリン系化合物を2.5%以上のグルコース存在下で胞子懸濁液中に添加すると,キュウリ葉上に滴下,或いは散布した胞子は極めて容易に葉内へ侵入し病斑を形成する。添加するプリン関連化合物は通常1×10-4~10-3モルで,ヌクレオシド3リン酸や1リン酸では1×10-4モルで十分に発病を誘発するが,遊離塩基やヌクレオシド2リン酸では1×10-3モル以上を必要とする。これらの添加物による病斑形成は2~3日で観察出来る程度の病徴が伸展してくる。同じ核酸塩基であるピリミジン系化合物では全くこの作用は認められない。
  • 阿久津 克己, 小林 裕美子, 松沢 安秀, 渡部 忠一, 黄 耿堂, 見里 朝正
    1981 年 47 巻 2 号 p. 234-243
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    核酸塩基ブリン関連化合物が灰色かび病菌(Botrytis cinerea)のキュウリ葉感染に対し促進効果を示すととから,これら化合物の促進機構を形態的に検討した。プリン関連および分解化合物(ATP, ADP, cyclic AMP, AMP, IMP, adenosine, inosine, adenine, uric acid, allantoic acid, urea)をそれぞれ5%グルコースを含有する胞子懸濁液(1×105個/ml)に添加し,各々溶液濃度が1×10-3Mとなるように接種液を作成した。各接種液をキュウリ幼苗(相模半白)第1葉から採取した葉片に接種し,経時的に光顕観察した。その結果,尿素を除くプリン関連および分解化合物添加胞子懸濁液接種葉では発病が認められた。本菌は第1次付着器から伸長した菌糸先端部にmulticellular型の第2次付着器を形成し,その後角皮侵入することが観察された。発病程度ならびに第2次付着器形成は,イノシン添加胞子懸濁液接種葉で最も顕著であった。そこで次に,本菌の発病促進に対するグルコースおよびイノシンの役割について調べた。接種後16時間以内にグルコース溶液を除去し,その後同一部位にイノシン溶液を添加した場合には,病斑形成ならびに第2次付着器形成は認められなかった。しかし,接種後18時間以降にグルコース溶液を除去し,イノシン溶液を添加した場合には,病斑形成ならびに第2次付着器形成が認められ,特に接種後18~24時間以内にイノシン溶液を添加した場合には最も顕著であった。以上の結果から,グルコースは胞子の発芽,第1次付着器形成,葉上菌糸伸長に関与し,イノシンは葉上菌糸が伸長後,第2次付着器形成ならびに侵入に関与すると考えられた。
  • 崔 在乙, 松山 宣明, 脇本 哲
    1981 年 47 巻 2 号 p. 244-251
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌をPSA培地で継代培養し,多数の集落変異株を得た。これらの集落変異株は集落の大きさおよび形状によってLh型, Ld型, Lwh型, St型およびSm型に分けられ,野生型Lwとは肉眼的に容易に区別することができた。小型集落型のSt型およびSm型は継代培養期間が長くなるにつれて増加したが, 10日毎に継代した場合, 2か月後までは出現しなかった。小型集落型の出現および増加率には菌株により顕著な差異が認められた。集落型と血清型のあいだには密接な関係が認められ,すべてのLw型と大部分のLh型は血清型Aに, Ld型は血清型B-Iに属し,またすべてのStおよびSm型は血清型B-IIに属した。これらの血清学的な観点から, Lh, Ldなどのコロニータイプは野生型LwからStやSmへの変異過程に現われる中間変異体と考えられた。塩化カルシウム溶液中における自己凝集反応も血清型と密接な関係があり,血清型Bに属する菌株では顕著な反応が認められたが,血清型Aに属する菌株では認められなかった。
  • IV. Pi-a, Pi-k, Pi-z, Pi-iの連鎖分析
    後藤 岩三郎, 趙 永良, バルチ アフメッドアリ
    1981 年 47 巻 2 号 p. 252-254
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 酒井 進, 冨山 宏平, 道家 紀志
    1981 年 47 巻 2 号 p. 255-257
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 難波 成任, 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1981 年 47 巻 2 号 p. 258-263
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Thin sections (0.5-8.0 mm thick) were prepared from fresh tissues of plants infected with phloem-limited viruses (yellows-type viruses) or mycoplasma-like organisms (MLOs). When observed under a reflecting fluorescence microscope (RFM) (Type: Olympus BHS-RF-A), they distinctly showed a yellow fluorescence in their phloem tissues. Such a fluorescence was never found in those of healthy plants. By electron microscopy of the same materials, the fluorescence was proved to originate in necrotic phloem cells. From these results, the direct detection of fluorescing cells in phloem tissues under RFM is concluded to be suitable for the diagnosis of infections by phloem-limited viruses or MLOs. We named it “direct fluorescence detection method (DFD method)”.
  • 桑田 茂, 久保 進
    1981 年 47 巻 2 号 p. 264-268
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 荒瀬 栄, 糸井 節美
    1981 年 47 巻 2 号 p. 269-271
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 北沢 健治, 佐藤 倫造
    1981 年 47 巻 2 号 p. 272-274
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Verticillium wilt of alfalfa (Medicago sativa L.) caused by V. albo-atrum occurred in Hokkaido in 1980. Diseased plants showed both wilting and yellowing of tops. Vascular bundles were brown, but no external symptoms were observed on roots. Plants with severe damage stunted and sometimes died. This fungus was pathogenic to egg-plant, tomato, cucumber, Japanese radish, and spinach in additon to alfalfa.
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