日本植物病理学会報
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ヤマモモのこぶ病(新称)
大宜見 朝栄樋口 浩
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1981 年 47 巻 4 号 p. 443-448

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抄録

近年,沖縄県内のヤマモモにこぶ(癌腫)病の発生が観察されるようになった。本病害は静岡,福岡,三重および徳島の各県にも分布している。
本病はヤマモモの樹齢,雌雄,品種,実生,萌芽の区別なく樹幹,枝梢,葉柄等に発生し,こぶを形成する。病患部は初めいぼ状突起であるが,次第に表層部が黒褐色に変じて割裂し,表面は著しく粗造となる。その大きさは多くは指頭大であるが,まれに拳大に発達する。
こぶ組織から病原細菌を分離し,その細菌学的性状を調べたところ, Pseudomonas syringaeと2, 3の性状を除いて極めてよく一致した。この結果,本菌をPseudomonas syringae pv. myricae pv. nov.と命名し,病名を新たにヤマモモのこぶ病Bacterial gall of yamamomo (Myrica rubra S. et Z.)とし,そのpathotype strainとしてMR 1を指定する。MR 1菌株は,琉球大学農学部森林保護学教室に保存している。また,菌株保存機関のATCC (No.33544), NCPPB (No.3143)およびPDDCC (No.7118)に,それぞれ寄託した。

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