日本植物病理学会報
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イネ体上および培地上に形成されたイネ紋枯病菌菌核の生存期間に影響する要因
羽柴 輝良山田 昌雄
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1981 年 47 巻 4 号 p. 464-471

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抄録
イネ体上に形成された菌核は高温および高湿度条件下においても馬鈴薯寒天培地(PSA)上に形成された菌核より発芽能力を長く保持できる性質をもっている。イネ体上に形成された菌核は空胞化細胞からなる層を外層に形成しているのに対し, PSA上に形成された菌核はその細胞層の発達が悪い。イネ体上に形成された菌核の組織中から外気中の濃度の3倍量の炭酸ガスが検出された。PSA上に形成された菌核を炭酸ガス濃度をそれぞれ変えて, 25Cで70および80%湿度条件下に保存した場合, 0.1~0.5%の炭酸ガス濃度下で菌核の発芽能力維持期間は最も長く,イネ体上に形成された菌核の場合とほぽ同等になった。以上のことから,イネ体上に形成された菌核の発芽能力維持における菌核組織の役割について検討した。
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