抄録
Xanthomonas campestris pv. citri Ku 7101株はクロロホルムまたは熱によって処理されると,自分自身に抗菌作用を示す物質を産生する。この物質は透析膜を通過し, DNase, RNase,トリプシン,プロナーゼなどの作用を受けず, 120C, 30分間の熱処理に対して安定であった。また,活性炭カラムクロマトグラフィーでは20~25%のエタノールで溶出され,その活性はアンスロン反応の強さと一致した。この活性分画を濃縮し10種以上の展開溶媒により薄層クロマトグラフィーを行うと活性を示す単一のスポットのみが検出された。この物質はナフトレゾルシノール,濃硫酸により発色し糖を含むことが示された。本物質を液体培地で増殖中のX. campestris pv. citri Ku 7101株の細胞に作用させると著しく生育を抑制し,多数のゴースト化した細胞を生じた。しかし緩衝液中で休止細胞に作用させた場合には全く影響がみられなかった。