日本植物病理学会報
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Alternaria steviaeに起因するステビアの黒斑病
石破 知加子横山 竜夫谷 利一
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1982 年 48 巻 1 号 p. 44-51

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抄録

ステビア(Stevia rebaudiana)にSeptoria steviaeに起因する斑点病ど類似の病斑を認め,病斑部よりAlternaria sp. (Kagawa-a)を分離した。病斑は葉の他,茎,葉柄,総苞片にも認められ,Septoria steviaeによるものとは異なった症状を示した。本菌と,発病後期に病斑部に認められるA. alternataおよびその他2種のAlternaria属菌を用いてステビアに接種したところ,本菌にのみ病原性が認められた。本菌は無傷接種でステビアに病斑を形成するほか,分類学的に近縁種と考えられるヒヨドリバナ,フジバカマにも有傷接種で病斑を形成した。しかし,供試した他の4種のキク科植物に対しては病原性がなかった。本病害の圃場での発生には明瞭な宿主系統間差異が認められた。接種試験の結果は圃場での発病傾向と一致し,宿主株間に抵抗性系統,罹病性系統の存在が明らかとなった。罹病性系統は本菌の培養ろ液1/8希釈の処理ですみやかに黒色壊死斑を形成したが,抵抗性系統では原液の処理でのみ黒色壊死斑が形成された。したがって,培養ろ液は本病に対する抵抗性株の選抜に利用できるものと考えられる。本菌のPSA培地上における発育最適条件は25C, pH 6.0∼6.5であった。また本菌は形態的にAlternaria属既知種とは明らかに異なり,ステビアに特異的な病原性を示した。以上の結果から,本病害が未記載のAlternaria属菌によって生じる新病害であると認め,病原菌を新種として記載し,Alternaria steviae, sp. nov.と命名することを提唱した。病名はステビアの黒斑病とした。

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