日本植物病理学会報
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48 巻, 1 号
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  • 崔 在乙, 松山 宣明, 脇本 哲
    1982 年 48 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌の培養ろ液からエタノール沈殿によって得られた粘液多糖質はイネ幼苗を萎ちょうさせるが,濃度を同一にした場合には血清型の異なるクローン間にも活性の差は認められなかった。各クローンの粘液多糖質は血清型に関係なくいずれもアラビトール,マンノース,グルクロノラクトン,グルコースおよびグルクロン酸から成っているが,これらの含量比は血清型によって異なり,野生型(コロニー型Lw,血清型A)の粘液多糖質では変異型(コロニー型St,血清型B-II)のそれよりもアラビトール,グルコースおよびグルクロノラクトンの含量比が小であった。また血清型Aの産生する粘液多糖質は血清型B-II変異株の産生するそれに比べて高分子量のものの含量が相対的に大であった。粘液多糖質の各構成糖を用いて粘液多糖質の凝集反応抑制実験を行った結果,血清型Aの凝集反応はグルコース,マンノース,およびグルクロン酸によって著しく抑制されたが,血清型B-IおよびB-IIの場合にはグルクロン酸とグルクロノラクトンによって反応が著しく促進された。これらの結果は血清型によって主要免疫部分の構成糖に顕著な差があることを示唆するものと考えられる。
  • 土屋 健一, 崔 在乙, T.W. MEW, 脇本 哲
    1982 年 48 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    血清型の異なるイネ白葉枯病菌Q7472(血清型A), Q7502(同B-1)およびN5837(同B-II)の抗血清を用い,ともにファージ感受性で病原型の異なる同病菌PXO61およびPXO63-6の2野生型菌株,およびそれらに由来する親株,さらにニトロソグアニジン処理により誘発された種々の表現型をもつ変異株を含む計18菌株の血清学的性質を寒天ゲル内拡散法によって比較した。その結果,両親株および大部分の変異株は抗Q7472血清と1本の共通な沈降帯を形成し,血清型はAであった。PXO63-6に由来する変異株のうちファージ耐性に変異した2菌株は抗Q7472血清以外の両血清とのみ反応し,抗原性も変異していることが認められ,さらに自己凝集反応および熱処理抗原による実験結果から,両変異株の血清型はB-II型であることが明らかになった。一方,PXO61菌株の場合には親株から誘発した非病原性株からさらに病原性復帰変異株が得られたが,血清型Bへの変異は認められなかった。しかし,それぞれの菌株を超音波処理した抗原と抗PXO63-6(超音波処理)血清または抗N5837血清とを反応させると病原性復帰変異株は他の2者よりも沈降帯が1本少なく区別可能であった。また,各変異株から分離された粘液層および菌体多糖質の各抗血清に対する反応は菌株の血清型に一致した。
  • 寺中 理明, 山下 繁, 夏秋 知英, 奥田 誠一
    1982 年 48 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 1978年から1980年にかけて,宇都宮市内の水田においてイネ体上に偽子のう殻と分生子殻を認め,その分類上の所属と病原性について検討した。
    2. 偽子のう殻は大型長菱形のいもち病斑中央の淡褐色部に,分生子殻は穂枯れ部や葉の灰色部に,小黒点として認められた。
    3. 偽子のう殻は半埋没性で偏球形,径100∼120μmで黒褐色。子のうは有柄,円筒形,二重壁で側糸を有する。子のう胞子は淡黄色,紡錘形,約20×5μmで3隔膜を有する。
    4. 分生子殻は半埋没性で球形,径約150μmで黒褐色。分生子はやや曲がった棒状,無色,約25×3μmで隔膜は通常3である。分生子は単生・出芽式に形成される。
    5. いもち病斑上に認められた菌はLeptosphaeria oryzaecola Hara,穂枯れ部および葉の灰白変色部に認められた菌はSeptoria oryzae Cattaneoと同定された。
    6. 両菌は菌そうの性状が等しく,ともに培地上に同様の子のう胞子と分生子を形成したことから,同根である。
    7. 両菌は菌糸接種の結果,イネの葉および穎に病原性を示すことが確認された。
  • 佐藤 守, Brian J. STASKAWICZ, Nickolas J. PANOPOULOS
    1982 年 48 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    クワ縮葉細菌病菌Pseudomonas syringae pv. moriの各菌株は,分子量約4.5∼70メガダルトンのプラスミドを,それぞれ2∼4個,保有していた。供試17菌株は,そのプラスミドパターンから9群に分けることができた。これらプラスミドパターンとハロー毒素産生能,ファージ感受性あるいは他の性状との間には明らかな関係を認められなかった。
    供試したすべての菌株は,P. syringae pv. tabaci BR2の伝達性プラスミドpBPW1によって非伝達性プラスミドRSF1010を高頻度に受容し,かつ,それを大腸菌(受容菌)に,非常に低率ではあるが,再伝達した。このことは,本菌のプラスミドが抑制された状態で存在するか,あるいはRSF1010を低率で可動化できる固有の接合システムをもっていることを示している。
  • 石破 知加子, 横山 竜夫, 谷 利一
    1982 年 48 巻 1 号 p. 34-43
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    天然甘味料植物ステビア(Stevia rebaudiana)には7月初旬頃より,その下位葉に斑点性病害が発生し,漸次上位葉に拡がる。病斑部からはSeptoria菌(分生子殻50∼92×50∼100μm,分生子25∼63×1.5∼2.8μm, 0∼5隔壁)が検出され,表面殺菌した極小病斑部を糸状菌分離用寒天培地に置くと,常にSeptoria菌が分離された。接種試験の結果,本菌はステビアにのみ病原性を示したが,供試した他のキク科植物には感染しなかった。PSA培地上で分離初期には分生子殻を形成したが,培養後期には伸びの早い黒色のセクターおよび分生子を形成しない白色のセクターの2つのタイプに分離した。本菌のPSA培地およびステビア葉煎汁寒天培地での生育最適温度は25Cで,PSA培地上での生育最適pHはpH 5.5∼7.0の範囲であった。ステビアの栽培圃場の周辺に生育するセイタカアワダチソウおよびヒメジョオン上にそれぞれS. solidaginicolaおよびS. erigerontisに起因する斑点性病害が7月初旬より発生する。しかし,両病原菌を分離してステビア上のSeptoria菌との異同を比較したところ,S. solidaginicolaは明らかに形態的に異なっており,S. erigerontisは形態的にやや類似するが,ステビアには病原性がなく,かつ培地上の性質も明らかに異なった。以上の結果から,本病はSeptoria sp.によって生じる新病害であり,ステビアの斑点病とした。病原菌は新種として記載し,Septoria steviae, sp. nov.と命名することを提唱した。
  • 石破 知加子, 横山 竜夫, 谷 利一
    1982 年 48 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ステビア(Stevia rebaudiana)にSeptoria steviaeに起因する斑点病ど類似の病斑を認め,病斑部よりAlternaria sp. (Kagawa-a)を分離した。病斑は葉の他,茎,葉柄,総苞片にも認められ,Septoria steviaeによるものとは異なった症状を示した。本菌と,発病後期に病斑部に認められるA. alternataおよびその他2種のAlternaria属菌を用いてステビアに接種したところ,本菌にのみ病原性が認められた。本菌は無傷接種でステビアに病斑を形成するほか,分類学的に近縁種と考えられるヒヨドリバナ,フジバカマにも有傷接種で病斑を形成した。しかし,供試した他の4種のキク科植物に対しては病原性がなかった。本病害の圃場での発生には明瞭な宿主系統間差異が認められた。接種試験の結果は圃場での発病傾向と一致し,宿主株間に抵抗性系統,罹病性系統の存在が明らかとなった。罹病性系統は本菌の培養ろ液1/8希釈の処理ですみやかに黒色壊死斑を形成したが,抵抗性系統では原液の処理でのみ黒色壊死斑が形成された。したがって,培養ろ液は本病に対する抵抗性株の選抜に利用できるものと考えられる。本菌のPSA培地上における発育最適条件は25C, pH 6.0∼6.5であった。また本菌は形態的にAlternaria属既知種とは明らかに異なり,ステビアに特異的な病原性を示した。以上の結果から,本病害が未記載のAlternaria属菌によって生じる新病害であると認め,病原菌を新種として記載し,Alternaria steviae, sp. nov.と命名することを提唱した。病名はステビアの黒斑病とした。
  • 酒井 隆太郎, 美濃 羊輔, 細井 恵美子
    1982 年 48 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas syringae pv. atropurpurea (Reddy and Godkin) Young et al.の生産する菌体外毒素,コロナチンによりジャガイモ塊茎切片中に誘導される肥大機構解析の一部として,セルラーゼ,ポリガラクチュロナーゼ(PG)およびポリメチルガラクチュロナーゼ(PMG)活性に対する影響を調べた。
    セルラーゼ,PGおよびPMGの最適pHはそれぞれ5.0, 4.0および5.0附近にあった。これら3つの酵素活性はコロナチン処理によりかなり増加した。Ca++によってセルラーゼ活性はほとんど影響されなかったが,PG活性はかなり阻害され,PMG活性は促進された。コロナチンによって誘導される肥大化はこれらセルラーゼ,PGおよびPMG活性の増大による細胞壁のの弛緩に一部起因するものと考えられる。
  • 千田 常明, 上北 忠之, 佐竹 慶吾, 平野 喜代人, 青木 勝道, 野口 達彦
    1982 年 48 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Fthalide (4, 5, 6, 7-tetrachlorophthalide) has an inhibitory effect on infection process of rice blast fungus, Pyricularia oryzae. The formation of penetration pegs of appressoria was investigated by scanning electron microscopy. The conidia, treated with 2μg/ml of fthalide, were inoculated on rice leaf sheaths and formed appressoria. However, the formation of penetration pegs were not observed at the bases of appressoria.
  • Pham Van KIM, 脇本 哲
    1982 年 48 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 福本 文良, 伊藤 善文, 栃原 比呂志
    1982 年 48 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In 1975, four viruses, bean yellow mosaic virus, cucumber mosaic virus, tobacco mosaic virus and tobacco ringspot virus were isolated from field-grown gladiolus plants or gladiolus bulbs sold in the market, in Japan. Bean yellow mosaic virus was the most prevalent virus, and the other viruses were isolated in the low frequency. Tobacco ringspot virus was isolated for the first time from plants in Japan.
  • 堀野 修, Twing Wah MEW, 山田 利昭
    1982 年 48 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 48 巻 1 号 p. 76-86
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 48 巻 1 号 p. 86-92
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 48 巻 1 号 p. 92-100
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 48 巻 1 号 p. 100-120
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 48 巻 1 号 p. 121-129
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 48 巻 1 号 p. 129-138
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 48 巻 1 号 p. 139
    発行日: 1982年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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