日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
毛細管による細菌の氷核活性測定法とその応用
牧野 孝宏
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 48 巻 4 号 p. 452-457

詳細
抄録

筆者が考案したドラモンド社製毛細管を使った新しい氷核活性検定法を用いると,純水の凍結温度は,-20C以下で,物理的衝撃による影響がなかった。また毛細管内試料の温度を容易に,また正確に制御でき,しかも冷媒温度と試料温度間に差がみられなかった。氷核形成温度と毛細管容積の間には0.93以上の相関関係がみられ,容積が大きいほど高温で凍結した。本法は偏差が小さく,氷核形成温度をより正確に測定できる点で,Valiらの方法よりすぐれていた。本法によって各種植物病原細菌保存菌株を調べたところ,P. syringae(ネギ斑点細菌病菌),およびP. syringae pv. pisiに強い氷核活性が認められた。しかしCorynebacterium, Erwinia, Xanthomonas属の各細菌には,ほとんど氷核活性が認められなかった。次に植物の芽から氷核活性の高い細菌を分離する方法を検討した。サクラ,中国サルナシ,アカガシ,ビワ,イチヂクの新芽を滅菌水中に浸漬し,室内光線下で静置すると,1∼3日後に浸漬液の氷核活性が高まり,この浸漬液から平板培養法によって,容易に氷核活性の高い細菌を分離することができた。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top