日本植物病理学会報
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素寒天培養浸漬法によるPythium aphanidermatumの胞子のうおよび遊走子数の定量
渡辺 恒雄吉田 充
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1983 年 49 巻 2 号 p. 137-142

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抄録

Pythium aphanidermatumの胞子のうと遊走子の個数を定量するため素寒天培養浸漬法を考案した。この標準的な方法は,12mlの素寒天培地(WA)(9cmのシャーレ当たり)上に接種源(直径4mmのPDA培養打ち抜き)を置き,4mlの間接発芽用の浸漬液を無菌的に加え,30Cに24時間放置する。その後浸漬液を新しい液と交換してさらに5時間放置し,その液を遊走子検定用のWAプレートに移す。胞子のう数は接種源附近の3か所を選び,一視野,0.5mm2当たりの平均個数を測定し,遊走子数はWAプレート上の任意の5か所を選び,一視野,12.6mm2当たりの平均個数を測定した。浸漬液として,Petri液(PS), Wills液,土壌浸出液と蒸留水を供試したところ,胞子のう数および遊走子数は,PS処理により最も増大した。なお,胞子のう形成は30C中が最も盛んで,次いで25C, 20Cの順であった。54菌株をPSで処理したところ,全菌株が3日以内に間接発芽を行ったが,菌株によっては,処理後24時間以内に間接発芽が認められた。

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