日本植物病理学会報
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49 巻, 2 号
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  • 渡辺 恒雄, 吉田 充
    1983 年 49 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pythium aphanidermatumの胞子のうと遊走子の個数を定量するため素寒天培養浸漬法を考案した。この標準的な方法は,12mlの素寒天培地(WA)(9cmのシャーレ当たり)上に接種源(直径4mmのPDA培養打ち抜き)を置き,4mlの間接発芽用の浸漬液を無菌的に加え,30Cに24時間放置する。その後浸漬液を新しい液と交換してさらに5時間放置し,その液を遊走子検定用のWAプレートに移す。胞子のう数は接種源附近の3か所を選び,一視野,0.5mm2当たりの平均個数を測定し,遊走子数はWAプレート上の任意の5か所を選び,一視野,12.6mm2当たりの平均個数を測定した。浸漬液として,Petri液(PS), Wills液,土壌浸出液と蒸留水を供試したところ,胞子のう数および遊走子数は,PS処理により最も増大した。なお,胞子のう形成は30C中が最も盛んで,次いで25C, 20Cの順であった。54菌株をPSで処理したところ,全菌株が3日以内に間接発芽を行ったが,菌株によっては,処理後24時間以内に間接発芽が認められた。
  • 羽柴 輝良, 小池 賢治, 山田 昌雄
    1983 年 49 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    病斑高率と発病株率の両者から,本病による減収量を算出する方法を検討した。全体の被害度(D)は病斑高率から求めた発病株の被害度,Y=1.62X-32.4(Xは最高病斑高率)に発病株率(A)を乗ずることによってD=(1.62X-32.4)・A/100として表わされる。一方,全体の被害度と精玄米重との間には被害度が1%増すごとに3.3m2当たり8.5gの減収が認められる。すなわち,3.3m2当たりの減収量(l)は被害度(D)に8.5gを乗ずることによって算出され,10a当たりの減収量(L)と最高病斑高率(X)および発病株率(A)の間にL=(41.3X-826.2)・A/1000kgの関係が成り立つ,この関係は北陸地域における過去5か年間の結果ともほぼ一致した。
  • 景山 幸二, 宇井 格生
    1983 年 49 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    北海道立北見農業試験場の連・輪作試験圃場でインゲンおよびダイズの連作障害に関係するとされるP. myriotylumと未同定のPythium sp. (Pythiumsp. A)とについてそれらの宿主範囲および分布を検討した。P. myriotylumは,輪作区に栽培されるエンバク,テンサイ,ジャガイモ,コムギ,アカクローバのうちテンサイのみに強い病原性を示し,マメ科作物ではエンドウ,アズキ,ダイズ,インゲンに強い病原性を示したが,品種によりその程度は異なった。Pythium sp. Aは,テンサイに対し,またマメ科作物ではエンドウ2品種,ダイズ1品種,インゲン3品種に強い病原性を示した。網走支庁管内19か所および帯広1か所から生育の劣ったインゲンを採取し,根からPythium属菌を分離したところ,1か所から,P.myriotylum, 7か所からPythium sp. Aが得られた。
    北見農業試験場の連・輪作試験圃場5区,網走支庁管内17か所,伊達1か所,帯広1か所の各種作物の畑地より土壌を採取し,ライムギ苗を用いて間接分離を行った。その結果,P. myriotylumはいずれの土壌からも分離されず,Pythium sp. Aは3か所から分離された。以上の結果から,P. myriotylumPythium sp. Aは宿主範囲および分布ともに狭い種と認められる。
  • 培地上における完全時代の形成と耐性の遺伝解析への利用
    石井 英夫, 柳瀬 春夫
    1983 年 49 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナシ黒星病菌を各種の条件下で人工培養し,完全時代の形成を試みた。2菌株の菌糸懸濁液を混合後,ナシ葉煎汁加用Malt Extract Agar, Potato Sucrose Agar,またはナシ葉ディスク上で5C,暗黒下,約6か月間培養した結果,偽子のう殻,子のうおよび子のう胞子を形成した。子のう胞子には発芽力,病原性が認められた。次に,本菌のチオファネートメチル剤,ベノミル剤耐性の遺伝様式を知るために,自然交雑菌および人工交雑菌の子のう胞子分析を行った。ほ場より得た子のう胞子のMBC感受性を順不同四分子分析で調べた結果,耐性と感性が1:1に分離した。また,人工交雑菌のランダム子のう胞子分析の結果,強耐性菌と弱耐性菌の交雑により強耐性と弱耐性が1:1に,中等度耐性菌と弱耐性菌の交雑により中等度耐性と弱耐性が1:1に,また中等度耐性菌と感性菌の交雑により中等度耐性と感性が1:1にそれぞれ分離した。このように,親株の持つ耐性が子のう胞子に伝達されることから,耐性が遺伝子の支配を受けていることが実験的に証明された。また耐性菌の集団中には複数の耐性遺伝子が存在し,おのおのが異なる耐性程度を支配している可能性が示唆された。なお,チオファネートメチル,ベノミルおよびMBCに対する耐性は同一遺伝子に基づく交さ耐性であることが確認された。
  • 手塚 信夫, 渡辺 康正
    1983 年 49 巻 2 号 p. 160-165
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリ斑点細菌病の発病に及ぼす土壌水分の影響についてポット試験およびガラス室内試験を行った。ポット試験では,土壌水分が多いとき病斑面積率および病斑数とも多く,典型的な角型病斑を生じて激しく発病したが,土壌水分が少ないとき病斑面積率および病斑数ともに少なく,小斑点が生じてその後拡大しなかった。ガラス室内試験では,土壌水分を少なくしたときポット試験の場合ほど土壌が乾燥しなかったため小斑点を生じなかったが,土壌水分が多いほど発病が激しい傾向は一致した。土壌水分の多少は空気湿度には大きな差を生じない。したがって,土壌水分の多少が本病の発病に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。土壌水分を異にした状態でキュウリを栽培すると,土壌水分が多いときは少ないときより葉の含水量もわずかに多くなった。
  • キュウリモザイクウイルスのタバコにおける全身感染過程の追跡
    細川 大二郎, 森 寛一
    1983 年 49 巻 2 号 p. 166-172
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)をタバコの中位葉に接種し,全身への感染がおこる経過を螢光抗体法を用いて組織・細胞学的な面から追跡した。遠隔のいずれの部位においても,ウイルス抗原は最初篩部に認められ,その後そこから周囲の組織へ拡がり,全身感染のおこる状態が観察された。ウイルスが遠隔部へ移行・増殖し始めた時期には,ウイルス抗原が篩部にそって,300μmから1cmあるいはそれ以上の間隔をおいて断続的に認められた。この結果は,ウイルスが葉肉組織など通常の柔組織を拡がる場合には,ウイルス抗原の認められない細胞が中間に生じることはなかったので,ウイルスが遠隔部へ移行する際には,篩部柔細胞ではなく篩管内を,柔細胞の場合とは異なる様式で移行していることを示していると思われた。遠隔部でウイルス抗原が検出され始める時期は,接種葉より上位の茎と葉で早く,下位の茎,葉および根では遅かった。上位の葉では葉脈透化およびlaminaの退緑病徴が,組織内のウイルスの拡がりにともなって現れた。いずれの部位でもウイルス抗原は組織内全体に拡がったのち,日数が経過すると減少した。
  • 細川 大二郎, 森 寛一
    1983 年 49 巻 2 号 p. 173-183
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ペチュニアの花芽,花器官および種子内におけるTMVの増殖・分布を電顕により検討し,次の結果を得た。
    1. 栄養芽生長点が花芽生長点に分化してもその近傍組織にはウイルス粒子は認められなかった。
    2. 雄蕋では,花糸と葯が分化し,葯内で花粉母細胞から4分子を経て花粉が形成される時期頃までは,花糸および葯内ともにウイルス粒子は認められなかった。これ以後にウイルスが葯壁の細胞に集積したが,花粉のう内の花粉には開花期になってもウイルス粒子は認められなかった。
    3. 雌蕋(心皮)では,子房壁,胎座,花柱,柱頭が分化すると,間もなくウイルスの感染がこれらの器官に認められたが,胎座から胚珠へは,ウイルスの拡がりがおそく,胚珠には,胚のう母細胞から胚のうが形成される間には,ウイルス粒子は認められなかった。胚珠では開花4日後になってから珠皮の細胞にウイルスが認められた。しかし,受精後,胚と胚乳には種子が成熟してもウィルス粒子は認められなかった。
    4. 胚珠から種子が形成される過程で珠皮細胞内のウイルスは,原形質の消化・吸収に伴って,その粒子の形状が変化すると同時に活性が低下し,成熟した種子には,ウイルス活性はまったく見出されなかった。
    5. 開花時には柱頭,花柱の誘導組織の細胞にはウイルスが認められたが,これらの組織の細胞間隙を伸長した花粉管内にはウイルス粒子は認められなかった。
    6. 以上の結果から,TMVがペチュニアで種子伝染しない原因について考察した。
  • 本間 善久, 山下 洋子, 石井 正義
    1983 年 49 巻 2 号 p. 184-190
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ダイコン根腐病に関与するR. solaniを分離し類別する間に,既知の菌群と異なる菌群が発見された。完全時代の形態から本菌群の同定を試み,生育温度,菌糸幅,細胞核数,チアミン要求性,病原性などの諸性質を調べた。
    1. 本菌群の菌株は,香川県善通寺市の秋ダイコン畑土壌およびダイコン立枯苗から分離された他,奈良県,滋賀県,徳島県の土壌からも得られた。
    2. 菌そうは,茶褐色∼褐色を呈し,綿毛状の気中菌糸が多く,径1mm位の菌糸塊を生じた。菌糸塊は後に黒褐色の固い菌核になった。PDA上,15∼40Cで生育し,生育適温は28∼35C,生育速度は25.5∼27.0mm/24hrであった。チアミン要求性はなかった。
    3. 主軸菌糸幅は,最小6.4μm,最大9.8μmで6菌株の平均値は7.80∼8.27μmであった。菌糸細胞の核数は,最少3,最多11,4菌株の平均値は5.4∼6.0個であった。
    4. ダイコン,キュウリ,インゲン,トマト,オオムギおよびイネに対する病原性はほとんど認められなかった。
    5. 完全時代は,土壌表面に容易に形成した。担子柄は短棍棒形∼円筒形で,11.0∼27.5×6.5∼11.0μmであった。小柄は角状で,担子柄当たり(1∼)4本生じ,5.0∼18.0μmであった。小柄の先端に倒卵形∼楕円形の担子胞子を形成した。担子胞子は6.5∼13.0×4.0∼8.5μmであり,小嘴を有し,発芽して二次胞子を作ることがあった。
    6. 本菌群は,完全時代の形態からThanatephorus cucumeris (Frank) Donkと同定し,R. solaniの新しい菌糸融合群第7群(AG-7)とすることを提案する。
  • 堀野 修, Bernard H. SIWI, Siddique Ali MIAH, Twing Wah MEW
    1983 年 49 巻 2 号 p. 191-199
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    インドネシアとバングラデシュの各地から採集した白葉枯病菌を,日本とIRRIの10判別品種のイネに針接種し病原性を検定した。インドネシア産白葉枯病菌40菌株は判別品種に対する病原性の差異により9つのレースに分類された。これまでインドネシア産白葉枯病菌の約70%は日本のIII群菌と同じレースであるとみなされていたが,供試40菌株中25菌株はフィリピンのIII群菌の病原性と一致し,日本のIII群菌と異なることが明らかとなった。またインドネシア産白葉枯病菌の中には,フィリピン産白葉枯病菌のI, IV群菌,日本産白葉枯病菌のIII, V群菌とそれぞれ同じ病原性を示す菌株が混在していた。バングラデシュ産白葉枯病菌20菌株中6菌株は判別品種に対する病原性によって類別された。6菌株中4菌株は同じレースに所属し,金南風,黄玉,IRRIの5判別品種に病原性を示したが,Te-tep,早稲愛国3号,Java 14には病原性を示さなかった。2菌株は金南風,IR8, IR1545-339, DV85, Cas 209に病原性を示したが,他の判別品種には病原性を示さなかった。他のバングラデシュ産白葉枯病菌14菌株についてはTe-tep, IR20, DV85に対する病原性の有無が明らかでなかった。
  • 松山 宣明
    1983 年 49 巻 2 号 p. 200-205
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    いもち病に対する水平抵抗性の程度と抗菌物質momilactone A, B含有量との関係を調べるため,Cartwrightらの方法によりGLCによる微量定量を試みた。OV-17カラム,213C, N2流量45ml/minの条件下で標品のmomilactone Aは保持時間Rt 26.8minを示し,momilactone BのTMS誘導体はRt 21.1minを示した。またOV-101カラム,188C, N2 45ml/minの条件下では,momilactone AはRt 16.4minを示し,momilactone B-TMSはRt 22.1minを示した。これらの結果は原報と著しく異なっていた。クロマトグラム上の各ピークについてGC-MSを行った結果,それぞれmomilactone AおよびB-TMSであることが確認された。健病イネ葉から有機溶媒により抽出しTLCにより分離した試料について,GLCにより両物質の検出を試みたが何れの試料からもmomilactone A, Bは検出されず,原報の8倍量の高濃度の試料からも全く検出されなかった。イネ葉中のmomilactone濃度はCartwrightらの報告よりも可成り低いものと考えられる。
  • 松下 亀久, 下川 英俊
    1983 年 49 巻 2 号 p. 206-213
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    付傷,化学薬品処理,またはタバコモザイクウイルス(TMV)接種をしたNicotiana glutinosa植物葉のリボヌクレアーゼの挙動について研究した。本酵素の活性は付傷により増加し16時間後にMaxに達した。TMVも酵素活性の増加をひき起こしたが,その効果は接種原の濃度に依存的であった。本酵素は,ポリアクリルアミドゲル電気泳動により,MおよびFの2アイソザイムに分離した。特に,Mは付傷により,FはTMVの接種によって,それぞれ,活性の増加が起こった。葉面の化学薬品処理において,ベントナイトおよびデキストランサルフェートはMの活性を阻害し,一方,イーストRNAおよびエオシンYはFの活性を増加させた。しかし,これらの薬品によりTMVの感染性は阻害された。TMVを接種した本植物を35Cにおいて高温処理をしたとき(このとき,全身感染が起こった),Fの活性は検出されず,新たに別のアイソザイムの出現が認められた。しかし,接種後2日間の高温処理をした植物を21Cにおいて低温処理をしたとき(このとき,局部病斑の形成が起こった),前述の新らしいアイソザイムの活性は認められなくなり,再び,Fアイソザイムの活性が現われるようになった。以上の実験結果より,TMVの感染におけるリボヌクレアーゼの役割について考察した。
  • 矢野 博, 藤井 溥, 寺門 誠致
    1983 年 49 巻 2 号 p. 214-219
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas syringae pv. lachrymans 75101株のStreptomycin (SM)耐性は,混合培養法によりInc Pl plasmid RP4を保有するPseudomonas aeruginosaに伝達された。この伝達現象はRP4を保有しないP. aeruginosaに対しては認められないことから,可動化によることが推測された。そこでSM耐性を受けとった転移組み換え体P. aeruginosa ML 4600 (RP4+SMr)からプラスミドDNAの抽出を試みたところ,43.5mdalのプラスミドDNAのみ抽出された。抽出されたプラスミドDNAを用い,P. aeruginosa M 1292あるいはEscherichia coli Cの形質転換実験を実施した。その結果,これらいずれの受容菌に対してもSM耐性とRP4の耐性マーカー(KM, TC, APC)が同時に形質転換された。また,これら形質転換体からは転移組み換え体と同様なプラスミドDNA (43.5mdal)が抽出された。これら43.5mdalプラスミドDNAはP. s. pv. lachrymansの染色体に由来するSM耐性遺伝子とRP4 (36mdal)との組み換え体かもしれない。以上の成績からP. s. pv. lachrymansに認められるSM耐性形質は同種菌のみならず,P. aeruginosaおよびE. coliへも伝達が可能であることが明らかにされた。
  • 福本 文良, 栃原 比呂志
    1983 年 49 巻 2 号 p. 220-227
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カブモザイクウイルスについて簡便で長期間安定な保存方法を確立するため,各種添加物を加えて非凍結,凍結および凍結乾燥保存を行い以下の結果を得た。
    1. 純化ウイルスに等量(v/v)のグリセリンを加えて混合し-20Cに保存する非凍結保存で高い病原性が長時間維持された。
    2. コカブ病葉に50mM P.B. pH 7.0を加え,磨砕した粗汁液と10mM P.B. pH 7.0に溶解した純化ウイルスでは凍結による病原性の低下は認められないが,-20Cで保存すると病原性はしだいに低下した。しかし,グリセリン,しょ糖,ペプトン等を添加すると高い病原性を長期間維持した。-70Cでの凍結保存は更に良好で,添加物を加えなくても長期間病原性を維持していた。
    3. コカブ病葉の粗汁液を凍結乾燥した場合顕著な病原性の低下は認められないが,純化ウイルスでは病原性は大幅に低下し,その原因としてウイルスの凝集が示唆された。純化ウイルス液にペプトン,しょ糖,乳糖などの添加物を加えることにより凝集が防止された。粗汁液の凍結乾燥標品を25Cに保存した場合無添加では急速に病原性が低下したが,グリシンとペプトン添加区では14か月後でも高い病原性を維持した。65Cで保存した場合は粗汁液および純化ウイルスのいずれもペプトン添加区で保護効果が顕著に認められた。また,グリシン添加区では粗汁液で保護効果が顕著であったのに対し,純化ウイルスではほとんど効果が認められなかった。凍結乾燥標品は添加物の有無にかかわらず4C保存でかなり安定であり,-20C以下で保存すると長期間病原性にほとんど変化が認められなかった。
  • 塩見 敏樹, 崔 容文, 杉浦 巳代治
    1983 年 49 巻 2 号 p. 228-238
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1979年,福井県坂井町の水田転作畑に導入したミシマサイコに萎黄・叢生症状を起す病害が発生した。
    自然発病株を電顕観察したところ篩部細胞内にMLO粒子が観察された。ツマグロヨコバイおよびヒメフタテンヨコバイを供して伝搬試験を行った結果,ヒメフタテンヨコバイが本病を伝搬した。
    本病の寄主範囲は31科117種の検定植物のうち,21科62種の植物が感染・発病した。また既報のミツバてんぐ巣病,レタス萎黄病やニンジン萎黄病の寄主範囲とくらべて,本病は広い寄生性を示した。また感染・発病した植物のうち,カブ,ダイコン,レタス,シュンギク,セルリー,ホウレンソウなど20科52種の植物からミツバ幼苗への戻し接種は陽性であり,これらの植物が本病の寄主植物になり得ることが判った。
    以上のことから,本病害は本邦未記載であり,ミシマサイコ萎黄病(Sickle hare' ear yellows)と呼称することを提案する。
  • 生越 明, 宇井 格生
    1983 年 49 巻 2 号 p. 239-245
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    一圃場内に存在するRhizoctonia solani Kühn菌糸融合群のクローンをジャガイモ,テンサイ,水稲の各圃場について調べた。ジャガイモでは3圃場で採取した塊茎から,テンサイでは10圃場の採集土壌から,水稲では1圃場の罹病桿からR. solaniを分離した。分離されたR. solaniは,ジャガイモではAG-3,テンサイではAG-2-2,水稲ではAG-1がほとんどであった。分離菌株を相互に培地上で菌糸融合させ,S reactionを示すものは同じクローン,K reactionを示すものは異なるクローンと判定した。ジャガイモの1塊茎からのAG-3分離株相互の菌糸融合は,ほとんどがS reactionであり,1クローンによって占められていた。同一圃場の異なる塊茎からの分離株間ではほとんどが,異なる圃場の分離株間ではすべてがK reactionを示し,それぞれ異なるクローンであった。テンサイでは,1地点からのAG-2-2分離株相互の菌糸融合は,ほとんどがS reactionであったが,1圃場内でも異なった地点からの分離株間では,ほとんどがK reactionを示した。同一地域内でも圃場が異なれば,すべてK reactionであった。水稲では,同一桿上の多数病斑からえたAG-1分離株間では,ほとんどがS reactionを示したが,近隣の稲株からの分離菌株間ではK reactionが多くなり,離れた稲株の菌株はほとんどがK reactionを示した。11アールの本水田には41クローンが存在した。水稲では同一クローンの分布は限られている場合が多かったが,なかには非常に離れた所にまで分布しているものもあった。以上の結果から,一つの圃場はそこに生育する作物に病原性を有する特定の菌糸融合群によって占められること,一つの圃場内の菌糸融合群には多数のクローンが存在すること,また1クローンの圃場内の分布範囲は非常に限られていることが判明した。
  • 桑田 茂, 久保 進, 山下 修一, 土居 養二
    1983 年 49 巻 2 号 p. 246-251
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 稲葉 忠興, 守中 正
    1983 年 49 巻 2 号 p. 252-255
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 富田 啓文, 山中 達
    1983 年 49 巻 2 号 p. 256-258
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    We deviced a sliced-sheath inoculation method for continuous observation of leaf sheath cells infected with Pyricularia oryzae Cavara. By this method, the aspects of intracellular hyphal growth in the same tissues were observed successively without sectioning of tissues at various times after inoculation. The growth of infection hyphae in sliced-sheath cells was less than that in non-sliced-sheath cells at 32-40hr after inoculation. It might be due to the physiological changes of sheath cells resulted by slicing tissues. The method proposed here seems to be suitable for study of rice-Pyricularia oryzae interaction.
  • 佐藤 守
    1983 年 49 巻 2 号 p. 259-261
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 沢井 功, 奥野 智且, 藤岡 等, 古屋 充宏
    1983 年 49 巻 2 号 p. 262-265
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 矢野 博, 藤井 溥
    1983 年 49 巻 2 号 p. 266-269
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 松山 宣明
    1983 年 49 巻 2 号 p. 270-273
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 生井 恒雄, 山中 達
    1983 年 49 巻 2 号 p. 274-276
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The favorable substances contained in oatmeal for sporulation of rice blast fungus, Pyricularia oryzae Cavara, were successively extracted from milled oatmeal with petroleum ether, deionized water, 0.9% sodium chloride, 70% ethanol and 0.01N HCl (pH 3-4). Number of conidia decreased remarkably on the medium prepared from the residue left after 70% ethanol extraction. It seemed that one of the favorable substances for sporulation of this fungus existed in oatmeal was prolamin, which was contained abundantly in oatmeal and extracted specifically with 70% ethanol.
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