日本植物病理学会報
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ビワがんしゅ病菌のビワ葉組織内での増殖とaucuparin生成との関係
森田 昭野中 福次牧角 啓一
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1983 年 49 巻 5 号 p. 587-592

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抄録

ビワ葉に非親和性の細菌タバコ野火病菌Pseudomonas syringae pv. tabaciを1次接種後,3日目にがんしゅ病菌Pseudomonas syringae pv. eriobotryaeの親和性B系統菌を2次接種すると,親和性細菌の増殖が阻害されて,病斑形成は14日遅れ,病斑の拡大も抑えられた。両菌の接種順序を逆にした場合にはこの現象はみられなかった。ビワに非親和性の病原細菌または非親和性がんしゅ病菌C系統菌を接種すると,その葉内には接種後24時間目からファイトアレキシンの1種であるaucuparinが生成され,3日から4日目には最高に達したが,aucuparinの蓄積に並行して,葉中の細菌の増殖が抑えられた。これに対し,親和性細菌のB系統菌では,接種後その菌量は病斑形成の認められる14日目まで漸増し,aucuparinの生成は病斑形成まではみられず,形成後急速に増加した。このことから,ビワがんしゅ病の抵抗性機作にaucuparinが関連していると考察した。

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