抄録
1. R. solani及びR. tuliparumの菌核中から抗細菌性物質をそれぞれ単離し,化学構造を調べた結果,両者は同一のピロン化合物であることが明らかになった。
2. 菌核中の抗細菌性物質は細菌類には広く拮抗を示すが,菌類に対しては菌糸生長を若干抑制するのみでほとんど拮抗を示さなかった。
3. 供試したR. solaniの第6群以外の菌核からはピロン化合物は検出されなかった。
4. 供試した第6群のうち菌核を作った菌株は全てB. subtilisとE. coliに阻止円を形成した。
以上より,菌核中の抗細菌性物質は,R. solaniの菌糸融合群では第6群だけに特異的に存在しているものと考えられる。