日本植物病理学会報
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50 巻, 2 号
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  • 塩見 敏樹, 杉浦 巳代治
    1984 年 50 巻 2 号 p. 149-157
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ヒメフタテンヨコバイが媒介するMLOの異同を明らかにする目的で実験を行い,以下の結果を得た。
    1 ヒメフタテンヨコバイが媒介するMLOは,多くの共通した寄主植物を持つこと,同一種の検定植物上での病徴に差異がみられないことから,極めて近縁の病原MLOと推定された。
    2 ヒメフタテンヨコバイによって自然発病株から健全ミツバへ病原MLOを伝搬させると,その伝搬率は病株の採集地に関係なく,吸汁させる病植物の種類で異なった。
    3 12分離株は,寄主範囲を基準にすると3系統に類別された。系統Iではキク科,セリ科,ユリ科など6科11種の検定植物が発病した。系統IIおよびIIIは類似した寄主範囲を持ち,系統Iによって発病した植物のほかに,アブラナ科,ナス科,マメ科などの検定植物が発病したが,系統Iによって発病したゲンノショウコは発病しなかった。また,系統IIIによってトマトは発病したが,系統IIでは発病しなかった。
  • 福本 文良, 栃原 比呂志
    1984 年 50 巻 2 号 p. 158-165
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Nepovirusに属するタバコ輪点ウイルス(TRSV)とComovirusに属するダイコンひだ葉モザイクウイルス(RMV)を主として供試し,ウイルス標品に各種添加物を加えて凍結および凍結乾燥保存を行った。
    TRSVは凍結処理により病原性およびウイルス粒子に影響が認められなかった。-20Cの凍結保存では,0.5%ペプトン添加で長期間高い病原性が維持された。TRSVは凍結乾燥処理により病原性が3%に低下し粒子内からRNAが放出されたが,1%ぶどう糖添加によって99%の病原性が維持された。無添加の凍結乾燥標品は65C, 30分で病原性が失われたが,1%ぶどう糖添加区では8時間後でも病原性が認められた。病原性の低下とウイルス粒子のしょ糖濃度勾配遠心分離沈降図にみられる変化との間には密接な関係が認められた。
    RMVは凍結処理で粒子の一部がRNAと外被蛋白に分離した。-20Cの凍結保存では0.5%ペプトン添加により長期間高い病原性が維持された。RMVは凍結乾燥でRNAの放出と粒子の崩壊が起こり,病原性は約20%に低下した。しかし,1%ぶどう糖あるいは1%ソルビトール等の添加で保護効果が認められた。無添加の凍結乾燥標品は65C,4時間保存で病原性がほとんど認められなくなったが,0.5%リジン添加区では48時間後でも病原性が認められた。
  • 上田 隆之, 奥 八郎, 富田 和男, 佐藤 一雄, 白石 友紀
    1984 年 50 巻 2 号 p. 166-175
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    マツノザイセンチュウの天然感染によって萎凋しはじめたマツより,有毒代謝産物として,葉から安息香酸とカテコールを,また,枝の材の部分より,安息香酸,8-hydroxycarvotanacetone,およびdihydroconiferyl alcoholを分離同定した。これらのうち,安息香酸を三年生アカマツ苗の茎より吸収させた場合,また,8-hydroxycarvotanacetoneを新梢から与えた場合は,病原センチュウを接種した場合と非常によく似た症状をしめした。
  • 内山 武夫, 加藤 博美, 伊藤 正子, 小笠原 長宏
    1984 年 50 巻 2 号 p. 176-188
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カルスの継代による性質の変化は良く知られた現象である。筆者等はイネカルスで継代による再分化能の低下を確認すると同時に,いもち病菌を初め数種の植物病原糸状菌を,継代回数を異にするイネカルスに接種して,それらが示す反応について調べた。
    イネカルスへ接種されたいもち病菌の侵入と生育が,誘導初期カルス(月1回の割合で継代5回までのもの:F-カルスと略す)および長期継代カルス(2年以上継代したもの:M-カルスと略す)共に認められた。しかし,イネには病原性を示さない植物病原糸状菌接種に対しF-カルスは抵抗反応を示した。
    これはF-カルスが菌の接種により胞子発芽阻害物質を生成する為と推論された。しかし,その作用は静菌的で弱かった。
    フェノール性物質の量的変化を調べたところフェニールアラニンアンモニアリアーゼ活性の増大にもかかわらず,その顕著な増加は見られなかった。また,菌の接種による酸素吸収量の変化も認められなかった。
    いもち病菌の生産する毒素であるテヌアゾン酸に対する反応は,その濃度の増加と共にカルスは生育阻害を受けるが,イネ葉上で見られるような変化をカルス上に認めることは出来なかった。
    これらの結果から,F-カルスにおいても異物拒否反応は弱く,菌の種類にかかわらずそれが有する侵入力により容易に侵害されることが明らかとなった。
  • (1). 高温度ストレスによる胞子発芽時の毒素生成の阻害
    柘植 尚志, 西村 正暘
    1984 年 50 巻 2 号 p. 189-196
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナシ黒斑病菌の病原性発現に及ぼす高温度ストレスの効果について検討した。本菌の分生胞子を50Cの温湯中に10秒間浸漬すると,二十世紀ナシ葉に対する病原性発現が著しく阻害された。その際,胞子の発芽,発芽管の伸長および付着器の形成などは殆んど影響を受けなかった。しかし,胞子発芽時の宿主特異的毒素(AK-毒素)の生成・放出は著しく抑制されることが観察された。なお,温湯処理した分生胞子は,処理後4C下に24時間放置することにより,AK-毒素生成能力を回復し,その結果,病原性発現能力も回復した。また,風乾した分生胞子を夏季(1983年8月3日∼8月16日)に野外に放置した結果,胞子の発芽能力は殆んど影響を受けることなく,胞子の発芽時のAK-毒素生成能力および病原性が著しく低下することが見出された。以上の結果から,ナシ黒斑病菌の分生胞子に対する高温度ストレスは,胞子発芽時のAK-毒素生成に対して阻害効果を示し,その結果,病原性の低下を引き起こすものと考えられ,本菌の病原性発現における胞子発芽時のAK-毒素の重要性が示唆された。
  • I. 病害の発生ならびに病原細菌の細菌学的性質
    太田 光輝, 西山 幸司
    1984 年 50 巻 2 号 p. 197-204
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    静岡県で発生しているキク,マーガレットおよびバラ根頭がんしゅ病の発生状況を調べ,分離された病原細菌の細菌学的性質を検討した。供試細菌20菌株は70項目の細菌学的性質ならびに接種試験の結果から,Agrobacterium tumefaciensと同定された。供試細菌は細菌学的性質の違いにより2つの生理型に類別され,生理型1にはキク菌およびマーガレット菌の12菌株とバラ菌の4菌株が含まれ,生理型2にはバラ菌の他の4菌株が含まれた。生理型1と2の間には15項目の生理的性質で反応に差がみられた。代表供試4菌株のGC含量はキク菌(At C1)は58.2%,マーガレット菌(At M3)は59.0%,バラ菌は58.2% (At R7)および59.7% (At R11)であった。
  • II. 病原細菌の病原性ならびに感染ポテンシャル
    太田 光輝
    1984 年 50 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キク,マーガレットおよびバラから分離した根頭がんしゅ病菌の生理型と病原性との関連を調べるために,5種類の植物に対する病原性と感染ポテンシャルを検討した。キク菌(生理型1)およびマーガレット菌(生理型1)はキクおよびマーガレットに対して病原性が強く,バラには弱かった。バラ菌(生理型1および生理型2)はバラに対して病原性が強く,キクおよびマーガレットには弱かった。トマトとインゲンは供試菌株に対していずれも感受性であった。各植物に対する供試菌株の感染ポテンシャルには差異がみられ,マーガレット菌が最も低く,次いでキク菌,バラ菌の順であった。
  • 内記 隆, 棚橋 一雄, 景山 幸二
    1984 年 50 巻 2 号 p. 211-215
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アブラナ科野菜根こぶ病菌Plasmodiophora brassicaeによる根毛感染とこぶ形成に基づく発病度との関係を欧州判別品種と国内で広く栽培されているアブラナ科植物2属5種54品種を用いて比較検討した。一定量の根こぶ病菌(レースECD 20/31/31)を接種した土壌中における発病度はRaphanus sativusに属するダイコン,ハツカダイコンとBrassica napusに属するルタバカで低く,抵抗性を示すものが多く,他のアブラナ科植物は全て罹病性であった。染色体数2n=18とされるB. oleraceaR. sativusとの間でこぶ形成による発病度に著しい差異があり,染色体数と発病程度との間に関係はみられなかった。一方,根毛感染は全供試植物で認められたが,その程度は病原菌のレースにより,また同一種内においても亜種,品種により著しい差異が認められた。根毛感染率が高くともこぶ形成をしない抵抗性品種,根毛感染率が非常に低くても高い発病度を示す品種が存在し,根毛感染率と発病程度との間に相関は認められなかった。
  • 内記 隆, 川口 智津子, 池上 八郎
    1984 年 50 巻 2 号 p. 216-220
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アブラナ科野葉根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae Wor.)により根毛感染を起こしたハクサイ子苗をよく洗浄し,ノマルスキー微分干渉顕微鏡下で付着休眠胞子のないことを確かめたのち,殺菌土壌あるいは石英砂中に生育させた健全ハクサイ子苗に隣接して接種源として移植した。移植3日後から健全ハクサイ子苗に新たに根毛感染が認められ,根毛内の遊走子のう集団は日数とともに増加した。一方,休眠胞子接種土壌中では6日後から根毛感染がおこり,根毛内の遊走子のう集団は7日後から急激に増加し,8∼9日後には根毛感染個体を接種源とした場合より高い感染率を示した。また,石英砂中より土壌中で高い根毛感染率が得られた。さらに根毛内に遊走子のう世代を有する再感染個体をよく洗浄し,再び接種源として移植した場合にも隣接の健全ハクサイ子苗に根毛感染と遊走子のうの形成が認められた。根毛感染個体を殺菌土壌または石英砂中に移植し,その周囲にハクサイを播種または移植した場合にも新たに根毛感染が認められた。以上の結果からアブラナ科野菜根こぶ病菌の根毛感染世代に形成される第2次遊走子は新たに健全な根毛に再感染し,遊走子のうを形成することが明らかとなった。
  • 後藤 忠則, 飯塚 典男, 小餅 昭二
    1984 年 50 巻 2 号 p. 221-228
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ピーマン品種「東京ししとう」から分離されたTMV-Pに属する1分離株(P6)を,Holmesの方法に従って熱処理を繰返し,弱毒ウイルスPa18を作出した。弱毒株Pa18は,ピーマンに対し軽微な病徴を現わすだけで,かつ強毒株P6に対しほぼ完全な干渉効果を示した。この干渉効果はPa18株接種10日以後に有効となった。しかし,TMV-トマト系統(P12株),黄斑系統(PY株)およびトマト系統とトウガラシ系統の中間的な性質を有するP2株には干渉効果が完全ではなかった。弱毒株Pa18によるピーマンの病徴は長期間にわたって微弱であった。またPa18株を更に局部病斑法で分離してもピーマンの病徴が異なる分離株は現われず,本弱毒株の性質は安定していた。弱毒株Pa18は5科24種の植物に感染し,宿主範囲は強毒株と一致したが,Nicotiana megalosiphon, N. benthamianaおよびPhysalis floridanaを除いたいずれの植物もPa18株による病徴はきわめて軽微であった。圃場でのピーマンのモザイク病防除への利用を試みた結果,本弱毒株Pa18による防除効果は顕著であった。すなわち,強毒株P6接種区のピーマンの生育は無接種区よりも著しく劣ったが,弱毒株Pa18接種区は無接種区とほぼ同等であった。強毒株P6接種区の収量は無接種区よりも約36%減少したが,弱毒株Pa18接種区では無接種区とほぼ同等であった。Pa18とP6株重複接種区の収量は無接種区より約18%減少したが,強毒株P6接種区よりは21.6%も増加した。更に,強毒株P6による果実のモザイク症状は外観品質を低下させるが,弱毒株Pa18は強毒株P6による果実のモザイク症状の発現を著しく抑制した。以上のことから,本研究によって作出された弱毒株Pa18は,TMVトウガラシ系統によって起きるピーマンのモザイク病の防除に十分利用が可能で,実用性が高いと考えられた。
  • 本間 善久, 石井 正義
    1984 年 50 巻 2 号 p. 229-240
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    四国の野菜畑土壌に4∼8週間埋めておいたRhizoctonia solaniの菌糸や菌核,またはCochliobolus miyabeanusの分生胞子の細胞壁に円形模様(annular depression)および穿孔(perforation)が多数観察された。その大きさは径1.0∼5.5μmで,菌糸細胞または胞子当たり1∼7個形成された。糸状仮足を有し,500μm以上にも広がる巨大アメーバが土壌から分離され,土壌1g当たり2∼33個体であった。淡黄色,球形∼楕円体のシストを形成し,33.5(18.0-51.5)×40.1(18.0-85.0)μmであった。脱シスト時には,膜に径2.0∼10.0μmの穴を10∼20個あけて栄養体が外に出る。大きな栄養体やシスト形成時には断裂により2分するのが見られた。栄養体は菌に到達後5∼20分で菌体を包み込み,細胞壁に1∼数個の穴をあけて食菌する。食菌時間は,R. solaniの菌糸で40∼90分,C. miyabeanusの分生胞子で60∼120分であった。以上のこのことから,このアメーバは,DobellおよびOld and Darbyshireが報告したArachnula impatiens Cienk.に酷似している。
  • 村田 伸夫, 藤井 溥, 村田 仁
    1984 年 50 巻 2 号 p. 241-248
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Erwinia carotovoraE. chrysanthemi, E. amylovora,およびE. herbicolaと異なり,腸内細菌由来のF-因子やR-因子と親和性がなく,このため今まで遺伝分析手段が得られないままになっていた。このため,Mu-プロファージをRP4::Muの形でE. carotovoraに導入することにより,染色体上の遺伝子の系統間の移行を可能にしようと試みた。RP4::Mucts61(熱誘導性のMu-プロファージがRP4に結合したプラズミド)を大腸菌BE228を供与菌としてE. carotovora subsp. carotovoraの2系統,E. carotovora subsp. atroseptica, E. chrysanthemiおよびE. rubrifaciensの各1系統に導入し得た。トランスコンジュガントにおける,Mu-プロファージの熱誘導,およびトランスコンジュガントから他のErwiniaの系統へのRP::Muの移行を確認した。Mu-ファージを37Cで部分的に熱誘導し平板培養すると,約半数の集落がRP4による薬剤耐性を失う。また同様の処理により,リジン要求菌を得た。Mu-プロファージを部分的に誘導した供与菌と,Mu-プロファージをもつ受容菌の間で染色体上の遺伝子が移行するか否か調べ,E. carotovoraの供与菌-受容菌の間でリジン合成能およびストレプトマイシン耐性が,それぞれ供与菌あたり3.4×10-9∼4.2×10-7および1∼1.2×10-8の頻度で移行することを観察した。また,RP4::MuをもつE. chrysanthemiとリジン要求性のE. carotovoraの間でリジン合成能が移行することも観察した。染色体遺伝子の移行が認められたトランスコンジュガントの多くはRP4の薬剤耐性マーカーを失っていた。
  • 築尾 嘉章, 杉本 利哉
    1984 年 50 巻 2 号 p. 249-254
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    採種用テンサイに対する炭そ病菌の病原性について検討した。開花初期-盛期の花器の未熟な時期に感染すると,激しいときは株全体が枯死し,軽症のときでも不稔種子を多く形成し,発芽率および1,000粒重の低下をもたらした。開花後期に接種した場合は感染の程度は前者に比べると低かった。しかし種子からの検出率は80%以上で著しく高かった。
    本病の発病は採種用テンサイ系統間で差がみられ,TK-76-49/2mm-CMSはNK-169, NK-152に比べて,発病程度が高かった。本病に感染した種子を研磨精選処理を行っても,本菌を完全に除去することはできなかった。このため,種子を〓蓋,果皮および真正種子の3部分に分解して本菌の検出を試みたところ,〓蓋,果皮はもちろん,内部にある真正種子からも分離された。開花盛期のような花器の未熟な時期に本菌に感染した種子は内部の真正種子が結実していない場合が多かった。
  • 百町 満朗, 宇井 格生
    1984 年 50 巻 2 号 p. 255-262
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    テンサイほ場の土壌からRhizoctonia solaniの生育異常株の分離を試みるとともにその諸性質を調べた。
    1. テンサイ畑に人工的に菌を接種し,著しく発病した株の周辺土壌から,通常のR. solani第2群第2型の菌株と比較して初期生育の極めて遅い株(生育異常株)が,次年の春に高率に分離された。
    2. 異常株は,テンサイを8年間連作して根腐病が衰退したほ場の根腐病発病株の周辺土壌からも収穫期(10月)に分離された。
    3. 異常株は分離株により異なるが,菌糸が歪む,原形質が消失する,菌そう先端部の菌糸密度が薄い,菌核の形成が悪いなどの点で正常株と異なる。
    4. 生育異常株の菌そうの各部分から移植した菌糸の生長は,菌そうの基部に近いところ程良好であり,先端部付近では著しく劣る。
    5. 異常株をstreptomycin, ethydiumbromide, chloramphenicol, cycloheximideを加えた培地に培養しても,正常株には回復しない。
    6. 菌糸融合により異常因子の正常株への移行は認められない。また,異常株にdsRNAは存在しなかった。
    7. 異常株の病原性は,正常株に比べ著しく劣る。
    8. 異常株はいずれの菌糸融合群についても継代培養した保存菌株のなかに認められた。
  • 小林 喜六, 稲見 俊一, 中島 隆, 宇井 格生
    1984 年 50 巻 2 号 p. 263-269
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. R. solani及びR. tuliparumの菌核中から抗細菌性物質をそれぞれ単離し,化学構造を調べた結果,両者は同一のピロン化合物であることが明らかになった。
    2. 菌核中の抗細菌性物質は細菌類には広く拮抗を示すが,菌類に対しては菌糸生長を若干抑制するのみでほとんど拮抗を示さなかった。
    3. 供試したR. solaniの第6群以外の菌核からはピロン化合物は検出されなかった。
    4. 供試した第6群のうち菌核を作った菌株は全てB. subtilisE. coliに阻止円を形成した。
    以上より,菌核中の抗細菌性物質は,R. solaniの菌糸融合群では第6群だけに特異的に存在しているものと考えられる。
  • 増田 税
    1984 年 50 巻 2 号 p. 270-272
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A crude self-inhibitor of Botrytis cinerea was successfully extracted from highly concentrated spore suspension by ethylacetate (EtOAc). The inhibitory spot was shown at Rf 0.5-0.6 by the following procedure: after development with EtOAc: cyclohexane=1:1 (v/v), the thin-layer chromatogram was covered with water agar, and cellophane membrane was laid on the solid water agar, and then spores were spread over cellophane membrane. The ED50 of the crude extract determined from a plot of the percent inhibition of germination against the logarithm of concentration was 642ppm. The inhibitory activity was not lost after heating for 10min at 121C. The substance was permeable through cellophane membrane.
  • 竹内 妙子, 長井 雄治
    1984 年 50 巻 2 号 p. 273-275
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Mycelial growth and virulence of the dicarboximide-resistant strains of Botrytis cinerea isolated from greenhouses were compared with those of the sensitive strains after 6 month preservation at 10, 20, and 25C. The resistant strains were significantly inferior to sensitive ones in both mycelial growth on PSA media and virulence to excised kidney bean leaves. Sclerotia of the resistant strains buried in soil during summer were inferior to those of sensitive ones in viability.
  • 野田 孝人, 大内 昭
    1984 年 50 巻 2 号 p. 276-277
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In this paper, the authors report a new finding that an isolate of Xanthomonas campestris pv. oryzae became unexpectedly avirulent to a rice variety Kinmaze and some others. This isolate is the variant derived from Q6809 belonging to bacterial group III of X. campestris pv. oryzae. It was originally virulent to rice varieties belonging to Kinmaze, Kogyoku and Rantai Emas group and to IR 8, but has lost its virulence to japonica type rice varieties including Kinmaze group through successive transfers on artificial media. The virulence pattern of the variant is quite different from that of any of the already known bacterial groups.
  • 片桐 政子, 上杉 康彦
    1984 年 50 巻 2 号 p. 278-280
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 百町 満朗, 本間 善久, 宇井 格生
    1984 年 50 巻 2 号 p. 281-285
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Damping-off disease of radish seedlings declined in the soil into which normal field isolate 1271 belonging to Rhizoctonia solani AG-4 was repeatedly (3 times or more) inoculated. Diseased isolates which show abnormally slow growth were isolated from this disease declined soil. By incubating normal and diseased isolates in pair, diseased agent(s) of diseased isolate could be transferred to isolate 1271 by hyphal anastomosis, but not to other isolates of AG-4 and AG-2-2. This shows transmission of diseased agent is isolate-specific. Diseased isolates produce acidific substances, particularly oxalic acid. In comparison with that of isolate 1271, pathogenicity of diseased isolates is extremely low, though it varies from high to low. Using as inocula mixtures of isolate 1271 and diseased isolates, damping-off disease of radish seedlings decreased when inoculum of isolate 1271 was low, and cross protection could be seen among isolates.
  • 谷口 武, Emma S. DATA, Oliver J. BURDEN, 瓜谷 郁三, Marieta GORGONIO, Eden UM ...
    1984 年 50 巻 2 号 p. 286-288
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 清水 時哉, 一谷 多喜郎
    1984 年 50 巻 2 号 p. 289-293
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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