日本植物病理学会報
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台湾におけるイネ紋枯病菌,Thanatephorus cucumeris,菌核の分布と生存
呂 理〓楊 秀珠
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1985 年 51 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

1979年第一期作イネ収穫後,台湾13か所から集めた,50×50×20cmのサンプル土中に,平均156.5個(13∼561個)のイネ紋枯病菌の菌核が観察された。菌核は表土(0∼1cm)に多く分布して,乾燥土1kgにつき36個であり,1∼5, 5∼10, 10∼15および15∼20cmの深さの土層からは3.2, 3.3, 2.6および0.9個の菌核が検出された。2%素寒天培地でのこれら菌核の平均発芽率は上層から下層の順に45.4, 19, 14.8および5.5であった。1979年の第一期作水田での浮遊菌核の発芽率は14∼40%で120日のイネ生育期間には36.4%の平均発芽率を示した。イネ株から集めた菌核を土に埋めると4∼6か月後に発芽率は低下したが,一年後でもなお50∼80%の発芽率を示した。実験室内に乾燥状態で貯蔵した菌核の発芽率は,6か月後には約半減し,8∼12か月後には発芽不能になった。比較的小型の菌核(20メツシ通過後40メツシに残った菌核)数は大型の菌核数の78%であった。また小型菌核の発芽率は大型菌核のそれの半分であった。

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