日本植物病理学会報
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キュウリモザイクウイルスおよびそのD-proteinに対する抗血清の性質
前田 孚憲井上 成信
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1985 年 51 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

ホルマリン固定したキュウリモザイクウイルスを家兎に静脈注射して得た抗血清(As-VF-IV),無固定のウイルスを筋肉注射して得た抗血清(AS-V-IM)およびCaCl2処理により調製したD-protein (Dp)を筋肉注射して得た抗血清(As-Dp-IM)に含まれる抗体の性質を調べた。
それぞれの抗血清からSephadex G-200を用いてイムノグロブリンを分離し,それらの抗体活性を調べた結果,いずれの抗血清もIgGに活性が認められた。なお,As-VF-IVではIgMにも弱い活性が検出された。
これらの抗血清をウイルス粒子(Vp)あるいはDpで吸収し,それらの抗体活性を調べた。また,これらの抗血清から,ウイルス-抗体結合物を酸性条件下で解離させることによりVpに対する抗体を,DpをリガンドとしたアフィニティクロマトグラフィーでDpに対する抗体をそれぞれ精製した。抗血清の相互吸収試験,精製抗体の反応性およびそれらを用いた吸収試験の結果から,1) As-VF-IVはVpに対する特異抗体および少量のVpとDpとに共通の抗体を含む,2) As-V-IMはVpとDpのそれぞれに特異的な抗体および両者に共通の抗体を含む,3) As-Dp-IMはDpに特異的な抗体およびVpとDpとに共通の抗体を含むことが明らかになった。
また,F(ab')2 ELISAを用いて,それぞれの抗血清に含まれるVpおよびDpに対するIgG抗体を測定することができた。

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