日本植物病理学会報
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イネ紋枯病菌の菌核形成時に菌糸中で起こる蛋白質の環状アデニル酸依存性の燐酸化
宇野 功石川 辰夫羽柴 輝良
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1985 年 51 巻 2 号 p. 190-198

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抄録
イネ紋枯病菌の菌糸細胞中では3種の蛋白質の燐酸化が環状アデニル酸(cAMP)添加によって促進された。これらの蛋白質の分子量は25,000, 32,000,および62,000であった。これらのうち,分子量62,000の蛋白質(62K蛋白質)はcAMP存在下で5分以内に燐酸化され,この燐酸化に必要なATP濃度は20μMで飽和状態になった。62K蛋白質の燐酸化におけるcAMPに対するKa値は0.1μMであった。菌核形成可能な菌糸細胞内のNAD依存性グルタミン酸脱水素活性はATPとcAMPによって阻害された。この酵素活性の阻害は20μMのATPによって飽和に達し,そのcAMPに対するKi値は0.1μMであった。これらの結果はNAD依存性グルタミン酸脱水素酵素の阻害がcAMP依存性の蛋白質キナーゼによる燐酸化によって調節されていることを示唆している。
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