日本植物病理学会報
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51 巻, 2 号
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  • VI. 菌糸融合群(AG-1∼AG-7)間の遺伝的類縁性
    国永 史朗, 横沢 菱三
    1985 年 51 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rhizoctonia solaniの菌糸融合群第1群(AG-1), AG-2, AG-3, AG-4, AG-5, AG-6およびAG-7について,これら菌糸融合群菌株間の遺伝的類縁性を検討するため,DNA-DNA再会合反応速度解析に基づきDNA塩基配列の相同性を比較した。菌糸融合群間のDNA相同性は,いずれの場合も著しく低い値であった(0∼33.7%)。 DNA相同性比較結果から,R. solaniのこれらの各菌糸融合群は,遺伝的に独立したグループであることが示唆された。
  • VII. AG-BIと他の菌糸融合群間の遺伝的類縁性
    国永 史朗, 横沢 菱三
    1985 年 51 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rhizoctonia solaniの菌糸融合群第BI群(AG-BI)と他の菌糸融合群菌株間とにおける遺伝的類縁性を検討するため,DNA-DNA再会合反応速度解析に基づきDNA塩基配列の相同性を比較した。AG-BIはAG-2と比較的高い相同性(34.0∼48.0%)を示し,またAG-3およびAG-6とでは18.7∼30.2%相同性を示したが,その他の菌糸融合群とでは,いずれの場合も著しく低い相同性を示した(0∼14.4%)。DNA相同性比較結果から,AG-BIとAG-2は相互に遺伝的に近縁なグループであることが示唆され,またAG-BIとAG-3およびAG-6の菌糸融合群間に系統発生的な関係が認められた。
  • 佐久間 勉
    1985 年 51 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴ赤星病菌Gymnosporangium yamadaeには,リンゴ品種に対する病原性から2種の生態型が確認された。エンパイヤーおよび旭に大型病斑を形成し,しゅう子腔を多数形成する菌系をレース1,両品種に感染を起すが病斑上に柄子器を1∼2個形成するのみで止る菌系をレース2とした。これら2種のレースをそれぞれカイズカイブキに接種して保存し,2年後に形成された冬胞子堆より冬胞子を採取し生態型判別品種に接種した場合に,2年前と同じ反応を示した。
    あかねおよびウースター・ペアメンは圃場観察で発病している例は無かったが,これら品種の鉢植え若木に好適条件下で病原菌を接種した場合に,供試17菌株すべてで発病した。ただし,病斑は小さく,病斑上に形成されるしゅう子腔の数も平均3∼4個と少かった。
  • 西東 力
    1985 年 51 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1982年9月から翌年6月にかけて,静岡県でカーネーションが下葉から枯れ上るとともに維管束部が褐変して萎ちょう枯死する未知の細菌病が発生した。罹病株の病状は緩慢に進行し,枯死に至るまでに最低6か月を要する点に特徴がある。また,分離細菌の接種個体には特異的な萎縮症状が観察された。病原細菌の主要な細菌学的諸性質はErwinia chrysanthemiと一致した。また,本菌の炭水化物利用性はE. chrysanthemiの6種のpathovarsのうち,pv. dianthicolaのそれと一致した。さらに,カーネーションに対する病原性などから,本菌をErwinia chrysanthemi pv. dianthicolaと同定した。本菌によるカーネーションの病害はわが国では未報告であり,病名をカーネーション立枯細菌病としたい。
  • 松原 旭, 小島 誠, 河野 伸二, 成田 正明, 服部 まなみ, 上田 一郎, 四方 英四郎
    1985 年 51 巻 2 号 p. 152-158
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    オオムギより分離したオオムギ黄萎ウイルスの1分離株(BYDV 805)を用い,精製方法を検討し,抗血清の作成を試みた。凍結葉を室温で長時間磨砕することにより充分にウイルスが抽出された。クロロホルムによる清澄化の後,ポリエチレングリコールによる濃縮,分画遠心2回反復としょ糖濃度勾配遠心により精製した。ウイルス収量は病葉100g当り平均44μgであった。リンタングステン酸によるネガティブ染色で精製ウイルスはpHによりその粒子形態に変化がみられた。pH 5.0では平均直径は27.3nmであり,pH 6.0では28nmで,pH 7.0では多くの粒子が崩壊した。精製ウイルス標品は典型的な核蛋白様紫外部吸収スペクトルを示し,そのA260/A280比は1.71であった。精製ウイルスを免疫原として1回の筋肉注射と4回の静脈注射により力価1,024倍の抗血清を得ることができた。本抗血清より分離したγ-グロブリンを用いた酵素結合抗体法(直接サンドウィッチ法)により粗汁液中のウイルス抗原の検出が可能となった。また,本ウイルスとジャガイモ葉巻ウイルス(PLRV)とを用い,同法により比較したところ,それぞれホモロガスな組合せでのみ反応が認められた。一方,寒天ゲル内二重拡散法では本ウイルスとPLRV,ダイズ矮化ウイルス,beet western yellows virusに対する各抗血清との間に微弱ながら陽性の反応が認められた。
  • 出芽前後の苗立枯病の発生に関与するPythium属菌
    加藤 重博, 中西 逸朗, 高日 幸義, 中神 和人
    1985 年 51 巻 2 号 p. 159-167
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    4種類の土壌(田無土壌,岩手土壌,三上-I土壌,野洲土壌)を用いてイネを箱育苗した際,出芽時に低温にあうと出芽前後の幼芽,幼根が腐敗あるいは褐変して枯死に至る苗立枯病が発生した。罹病苗からはPythium属菌が高頻度に分離され,それらはP. spinosum, P. irregulareおよびP. sylvaticumと同定された。これら3種のPythium属菌を種々の方法でイネに接種した結果,イネの幼芽,幼根に対しては強い病原性を示したが,1葉期のイネ苗に対しては病原性を示さなかった。これら3種の菌による苗立枯病の発生は,出芽揃い期までの低温と土壌pH 6の土壌で助長され,それ以後低温に遭遇しても発病が増加する傾向は認められなかった。上記の結果と比較するために,イネ以外の作物から分離されたPythium属菌(P. aphanidermatum, P. myriotylum, P. splendens, P. sylvaticum, P. ultimum, P. vexans)のイネに対する病原性を,接種実験で検討したところ,供試した全ての菌株は出芽時のイネに対して病原性を示した。
  • 育苗中・後期の苗立枯病の発生に関与するPythium属菌
    加藤 重博, 中西 逸朗, 高日 幸義, 中神 和人, 小川 正己
    1985 年 51 巻 2 号 p. 168-175
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    3種類の土壌(田無土壌,岩手土壌,三上-II土壌)を用いてイネを箱育苗した際,特に育苗中・後期に低温にあうと,2∼3葉期のイネ苗が急に萎凋して枯死する症状の苗立枯病が発生した。これらの苗立枯病罹病苗からP. graminicolaが高頻度に分離された。P. graminicola分離菌株を種々の方法でイネに接種したところ,少量の菌糸を接種した土壌にイネ種子を播種するか,あるいは2葉期のイネ苗に遊走子を接種する方法では,2∼3葉期に萎凋症状を伴う苗立枯病が発生し,箱育苗で発生した萎凋・立枯型の病徴が再現された。一方,多量の菌糸を接種した土壌にイネ種子を播種するか,あるいは催芽種子に遊走子を接種する方法では,発病が出芽前後から始まり,出芽阻害となる例も多く観察された。以上の結果から,P. graminicolaは育苗中・後期に発生する苗立枯病に関与していることが明らかとなり,また出芽前後の苗立枯病にも関与している可能性が示唆された。
  • 小金沢 碩城
    1985 年 51 巻 2 号 p. 176-182
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴさび果病罹病果から常に特異的な二種の低分子RNA (ASSARNA 1, ASSARNA 2)が検出されるが,果実以外からの検出を試みた結果,1gの樹皮からもASSARNA 1は検出可能であった。この樹皮からの検出法を用いて,フェノール抽出した核酸の感染性を調べた。罹病果から抽出した全核酸をカーボランダム法によりリンゴ実生苗に接種した結果,28か月後13本のうち1本のみからASSARNA 1が検出された。また,ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製したASSARNA 1を切り付け法により接種した結果,13か月後14本のうち8本からASSARNA 1が検出された。即ちASSARNA 1はリンゴ実生に感染し,増殖したものと推察された。既報のASSARNA 1の性状および本試験の結果はASSARNA 1がウイロイドであることを示唆しているが,ASSARNA 1がリンゴさび果病の病原体か否か,またもう一つの特異的RNAであるASSARNA 2の役割等はまだ不明である。
  • 宇野 功, 石川 辰夫, 羽柴 輝良
    1985 年 51 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    菌核形成能をもったイネ紋枯病菌株はその形成能をもたないものの2-3倍量の環状アデニル酸(cAMP)を菌体内に蓄積していた。これらの株の培地に添加されたアデニンあるいはL-システインは菌核形成を阻害した。アデニンはアデニレートシクラーゼ活性を阻害するが,ホスホジエステラーゼ活性を阻害せず,またL-システインは両酵素に影響を及ぼさなかった。イネ紋枯菌の菌糸体内にはcAMP結合蛋白質の存在することが8-N3-cAMPを用いた測定によって示された。この蛋白質は分子量が50,000で,DEAEセファセルカラム上でcAMP依存性蛋白質キナーゼと共に溶出された。これらの結果から,分子量50,000の蛋白質はcAMP結合能をもつ蛋白質キナーゼの調節サブユニットであることが明らかになった。
  • 宇野 功, 石川 辰夫, 羽柴 輝良
    1985 年 51 巻 2 号 p. 190-198
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ紋枯病菌の菌糸細胞中では3種の蛋白質の燐酸化が環状アデニル酸(cAMP)添加によって促進された。これらの蛋白質の分子量は25,000, 32,000,および62,000であった。これらのうち,分子量62,000の蛋白質(62K蛋白質)はcAMP存在下で5分以内に燐酸化され,この燐酸化に必要なATP濃度は20μMで飽和状態になった。62K蛋白質の燐酸化におけるcAMPに対するKa値は0.1μMであった。菌核形成可能な菌糸細胞内のNAD依存性グルタミン酸脱水素活性はATPとcAMPによって阻害された。この酵素活性の阻害は20μMのATPによって飽和に達し,そのcAMPに対するKi値は0.1μMであった。これらの結果はNAD依存性グルタミン酸脱水素酵素の阻害がcAMP依存性の蛋白質キナーゼによる燐酸化によって調節されていることを示唆している。
  • 高坂 〓爾, 土沢 誠, 花上 雅美, 渡辺 実
    1985 年 51 巻 2 号 p. 199-205
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネいもち病菌はイネの白穂をおこす萎凋毒素,糖ペプチドを産生する。本物質は培養〓液より,セファデックスG-100,およびアビセルカラムクロマトグラフィーで単離することが出来た。精製毒素は15種の普通アミノ酸およびグルコース,マンノースからなり,分子量約30,000,水に易溶,耐熱性である。イネの穂部を精製毒素液に浸漬すると,62.5ppmで,24時間以内に白穂となる。このような害徴を示すイネでは大,小維管束部の道管,原生木部腔の閉塞,道管壁や木部柔組織の褐変がみられ,この異常は節網維管束で顕著である。柔組織あるいは葉肉プロトプラストに対しては毒性を示さない。本物質はレースを異にした菌株でも,また合成培地でも産生され,品種に対する活性は非特異的である。
  • II. 幅広い病原性スペクトラムを持つ1変異株のイネ葉身上における継代接種に伴う変異株の出現と優勢レースの変動
    生井 恒雄, 山中 達
    1985 年 51 巻 2 号 p. 206-211
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    幅広い病原性スペクトラムを持ち,同時に病原性の異なる菌株を分出する性質を持つイネいもち病菌の1変異株(レース337)から2菌株を供試し,3種類の真性抵抗性遺伝子を一つずつ持つ6品種のイネ葉身上で連続的に9世代目まで継代接種することにより,変異株の出現及び優勢レースの変動について検討した。
    供試した2菌株を6品種のイネ上でそれぞれ継代接種した12組合せのうち4組合せで,9世代目までに優勢レースが変動した。特に,真性抵抗性遺伝子Pi-aを持つ愛知旭及びフジミノリの2品種上では,4組合せ中3組合せで,通常野外で同品種から最も高率に分離されるレース003が出現し,母菌のレース337に代って優勢レースとなった。また,Pi-i遺伝子を持つ石狩白毛葉身上では,レース047が優勢となった組合せがみられた。しかし,Pi-i遺伝子を持つ他の品種ふくゆき,更に,Pi-k遺伝子を持つ関東51号及びクサブエ葉身上では,いずれの場合も優勢レースの変動は認められず,母菌のレース337及び137が優勢を保持した。
    これらの結果から,本実験で優勢レースが変動した組合せでは,母菌のレース337が継代接種中に多くの変異株を分出し,その中の特にイネの抵抗性遺伝子に適応した変異株が他の菌株との競合に打ち勝ち,代って優勢となったものと推察された。
  • 桑田 博隆
    1985 年 51 巻 2 号 p. 212-218
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネの葉身にハローを伴う黄色で大型円形病斑を形成する病菌について,細菌学的性質及び寄主範囲を検討した。本細菌はグラム陰性桿菌で極毛性,普通寒天上で白色円形のコロニーを生じた。螢光色素を産生し,グルコースを酸化的に分解し,40Cで生育せず,硝酸塩を還元しなかった。レバンを産生し,タバコ過敏感反応は陽性であったが,オキシダーゼ,アルギニンジヒドロラーゼ及びジャガイモ塊茎腐敗は陰性であった。スクロースより酸を生じ,酒石酸を利用しなかった。これらの性質及び他の諸検査項目のほとんどは,Pseudomonas syringaeの性質に一致した。13科53種植物に無傷で噴霧接種し,形成された病斑組織からの病菌再分離の有無に基づいて,寄主範囲を検討した結果,本細菌はイネ,オオムギ,エンバク,インゲンにのみ病原性を有した。以上の結果に基づき,本細菌をイネに病原性をもつP. syringaeの新しいpathovarと認め,学名P. syringae pv. oryzae pv. nov.を提案した。病名はイネ科牧草の例にならい,かさ枯病と称することを提案する。
  • 酒井 隆太郎, 美濃 羊輔, 市原 耿民, 坂村 貞雄
    1985 年 51 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    テンサイじゃのめ病菌(Phoma betae Fries)はジャガイモ煎汁-蔗糖培養液中に,レタス幼根の伸長を阻害する7種類の毒素を生産する。それらは,ベタノンA,ベタノンB,ベタノンC,アフィディコリン,3-デオキシアフィディコリン,アフィディコリン-17-モノ酢酸およびアフィディコリン-3, 18-オルソ酢酸である。これら毒素の植物組織に対する活性を比較すると,宿主および非宿主植物葉に対する毒性は,ベタノンAおよびベタノンCで強く,0.18μg/5μl処理で,他の5種類の毒素は1.8μg/5μl処理で葉上に褐色斑を誘導した。またイネ幼根の伸長阻害は,ベタノンCで最も強く順にベタノンA,アフィディコリン,アフィディコリン-3, 18-オルソ酢酸,アフィディコリンモノ酢酸,3-オキシアフィディコリンおよびベタノンBで,阻害率はそれぞれ89, 73, 69, 67, 64, 59および8%である。本病原菌が化学構造の類似する毒素を生産することは,本病の病原性に対する毒素の作用機構の解明に役立つと考える。
  • 土佐 幸雄, 三瀬 和之, 獅山 慈孝
    1985 年 51 巻 2 号 p. 223-226
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    コムギうどんこ病菌Erysiphe graminis f. sp. triticiおよびオオムギうどんこ病菌E. graminis f. sp. hordeiに対するコムギ葉の抵抗反応を螢光顕微鏡で観察した。まず,抵抗性の程度の異なるコムギ5品種にf. sp. tritici菌系t4を接種したところ,螢光化パピラで侵入を阻止された胞子はいずれの品種においても12%以下と低く,強度抵抗性品種において抵抗性に重要な役割を果たしているのは表皮細胞の螢光化(過敏感反応)であった。つぎに,これらのコムギ5品種にf. sp. hordeiレースIおよびIXを接種したところ,同様にいずれの品種においても螢光化パピラで侵入を阻止された胞子は10%以下にとどまり,ほとんどの胞子が表皮細胞の螢光化で生育を阻止されていた。このようなコムギ品種のオオムギうどんこ病菌に対する葉細胞における抵抗反応とコムギうどんこ病菌に対するその抵抗反応の類似性は,「非宿主抵抗性」を考える場合に興味深い現象と考えられる。
  • 前川 啓二, 堀越 守, 古澤 巌
    1985 年 51 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    オオムギ(宿主)およびタバコ(非宿主)プロトプラストにおけるブロムモザイクウイルス(BMV)の増殖について,タバコモザイクウイルス(TMV)と比較,検討した。TMVはBMVとは逆にタバコを宿主とし,オオムギを非宿主とする。両ウイルスともプロトプラスト系ではいずれの組合せにおいても増殖できる。TMVは植物種にかかわらず同程度に増殖したが,BMVの増殖はタバコプロトプラスト中で強く抑制された。一方,TMVに感染した両プロトプラストから抽出したRNA依存RNAポリメラーゼ(RPase)は全く鋳型特異性を示さなかったのに対し,BMVに感染した両プロトプラストからのRPaseは高い鋳型特異性を示した。
  • 後藤 正夫, 西東 力, 瀧川 雄一
    1985 年 51 巻 2 号 p. 231-233
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A severe disease of unknown cause had been observed the past 15 years on bird-of-paradise (Strelitzia reginae Banks) grown under vinylhouse conditions in Izu peninsula of Shizuoka Pref., Japan. The etiological study of the disease revealed that it was bacterial wilt caused by Pseudomonas solanacearum which was first reported in Hawaii in 1963. First symptoms were curling upward of fully expanded leaves accompanied by yellow to orange discoloration. These leaves and leaf petioles gradually shriveled and finally dried up. The bacterium was virulent to Musa basjoo (diploid banana), but not to M. paradisiaca (triploid banana) and Heliconia psittacorum, indicating that it is belonged to race 1. The bacterium was characterized by a weak virulence to tomato in low temperature of 15 to 25C. Bacteriological properties of the bacterium were identical with those of biovar III.
  • 大津 善弘, 佐古 宣道, Susamto SOMOWIYARJO
    1985 年 51 巻 2 号 p. 234-237
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Zucchini yellow mosaic virus (ZYMV) was isolated from Cucurbita maxima (cv. Ebisu) cultivated in Okinawa prefecture. The isolates were mechanically transmitted to 15 plant species belonging to 5 families, causing systemic infections in all cucurbitaceous species tested, and nonpersistently transmitted by Myzus persicae and Aphis gossypii. Filamentous particles (700-800nm long) were found in both leaf extracts and purified preparations. The isolates reacted with ZYMV antiserum from Italy in immunoelectron microscopy and SDS-immunodiffusion test.
  • 吉田 幸二, 後藤 忠則, 飯塚 典男
    1985 年 51 巻 2 号 p. 238-242
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマトに感染して軽い病徴を現わすCMV-Pの分離株に,CMV-PF (fl)から単離したサテライトRNA ((fl) RNA 5)を加えることによりCMVの弱毒株を作出した。これら弱毒株を用いてトマト(福寿2号)でcross protection testを行った。2次ウイルスとして,トマトのえそ症状発現に関与するサテライトRNA ((n) RNA 5)を含みトマトにえそ症状を現わすCMV-P (n)と,サテライトRNAを含まずトマトに強いモザイク症状を現わすCMV-O (No.138)の2強毒株を用いた。弱毒株接種後12, 35, 60日目に強毒株を接種したいずれの場合も干渉効果が認められた。これらのことからサテライトRNAを加えることにより作出した弱毒株は,CMVの弱毒ウイルスとして有望と考えられた。
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