抄録
ポテト・シュークロース液体培地(PSB)に,灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の分生胞子を懸濁してキュウリ子葉,イチゴ葉,イチゴ花弁に接種すると,いずれの組織にも拡大型病斑を形成した。ところが蒸留水に懸濁して接種した場合,イチゴ花弁にのみ病斑を形成し,キュウリ子葉,イチゴ葉には形成しなかった。この現象を光顕レベルで観察した。その結果,PSBに懸濁した分生胞子は,第一次,第二次,両付着器を形成し,蒸留水に懸濁した分生胞子は,第一次付着器のみを形成した。しかも第二次付着器からは供試したすべての組織に侵入したが,第一次付着器からは,イチゴ花弁にのみ侵入し,キュウリ子葉には侵入しなかった。