日本植物病理学会報
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51 巻, 4 号
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  • 高橋 賢司, 稲葉 忠興, 守中 正
    1985 年 51 巻 4 号 p. 399-404
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)の初生葉にインゲンマメ炭そ病菌(Colletotrichum lindemuthianum)を一次接種し,その後展開した第1複葉にインゲンマメさび病菌(Uromyces appendiculatus)を二次接種すると,さび病菌の夏胞子層の形成数の減少,夏胞子層の形成遅延・成熟遅延,夏胞子層および夏胞子層周囲の黄化部の大きさの縮小が生じた。これらの抑制効果が現われるためには,炭そ病菌の分生胞子5.0×104個/ml以上の濃度が必要であった。一対の初生葉の1枚に炭そ病菌を一次接種し,他方の1枚にさび病菌を二次接種すると夏胞子層の形成数および形成速度・成熟速度には影響がなかったが,夏胞子層および夏胞子層周囲の黄化部の大きさを抑制した。これらの現象はインゲンマメ炭そ病菌の一次接種によって,インゲンマメさび病に対する全身的な抵抗性が誘導されたためと考えられる。
  • 由崎 俊道, 佐野 輝男, 上田 一郎, 四方 英四郎
    1985 年 51 巻 4 号 p. 405-412
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ホップ矮化ウイロイドのキュウリ株(HSV-C)の感染性をinfectivity index(感染価指数)によって調べた。HSV-Cの感染性はベントナイトを加えることによって増加したが,シュウ酸ナトリウムおよび酵母のRNAはHSV-Cの感染性を増加させなかった。HSV-Cの感染性は,0.1mg/mlの濃度のタンニン酸の添加によってわずかに増加し,1.0mg/mlのタンニン酸あるいは酵母のRNAによって減少した。HSV-Cは,膵臓のRNaseによって完全に不活性化され,その不活性化はHSV-CとRNaseとの混合液にベントナイトを加えることによって著しく抑制された。HSV-Cの感染性は,アクリジンオレンジ,メチレンブルー,あるいはトルトルイジンブルーOとの混合によって,暗所ではわずかに減少したが,可視光線の照射によって不活性化された。メチレンブルーの不活性化の程度は,他の色素より強かった。これらの色素によるHSV-Cの不活性化は,HSV-Cと色素との混合液にベントナイトを加えることによって明らかに抑制された。
  • 福本 文良, 栃原 比呂志
    1985 年 51 巻 4 号 p. 413-420
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    インゲンマメ南部モザイクウイルスについて簡便で長期間安定な保存方法を確立するため,各種添加物を加えて凍結および凍結乾燥保存を行い以下の結果を得た。10mMリン酸緩衝液pH 7.0に溶解した純化ウイルスは凍結1時間の処理によってウイルス活性に変化は認められなかったが,-20Cで凍結保存した標品は活性が徐々に低下した。しかし,ペプトン,グリセリンなどを添加した標品は長期間高い活性が維持された。-70C保存では無添加の標品でも高い活性が維持された。純化ウイルス液を凍結乾燥処理すると,復水によってウイルス粒子は膨潤するようになり,ウイルス活性は無処理の16%に低下した。しかし,リジンを添加した標品では顕著な保護効果が認められ,粒子の構造の変化は少なくなり,76%の活性が維持された。凍結乾燥標品を65Cで保存すると,無添加では1日で活性が失われたが,リジンを添加した標品には7日後でも活性が認められた。
  • 安藤 勝彦, 勝屋 敬三
    1985 年 51 巻 4 号 p. 421-425
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita f. sp. tritici) race 45の夏胞子世代から人工培養した“胞子生産型コロニー(reproductive colony)”を農林16号のコムギ子苗に接種し,増殖させた後,その病原性をコムギ赤さび病菌生態型判別同遺伝質コムギ7系統を用いて調査した結果,race 45とは異なる感染型を示した。さらに,コロニーから再感染させて得た1系統を,コムギ赤さび病菌の生態型判別品種に接種し,raceを同定した結果,race 21Bであった。以上の事より,人工培養世代を経過することにより異なるraceの出現することが明らかとなった。
  • 佐藤 守, 西山 幸司, Nickolas J. PANOPOULOS
    1985 年 51 巻 4 号 p. 426-434
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas syringae pv. tabaci BR2株のPBPW1プラスミドのP. syringae pv. mori, pv. atropurpurea, pv. tabaci, pv. eriobotryae, pv. glycineaにおける接合伝達能および複製能について調査した。pBPW1は供試菌株の約40%に,10-6∼100%の移行率で接合伝達され,かつ独立したレプリコンとして安定に維持された。また,これらの菌株は,pBPW1のドナー能力を発現し,10-6∼100%の伝達率を示した。他の菌株においては,pBPW1は明らかに受容菌に移行したが,複製はされなかった。この結果は,これらの菌株においてトランスポゾン導入のための自殺的キャリアとしてpBPW1を利用できることを示している。一つの例外を除いて,トランスコンジュガントの細菌学的性質は,その野生型と同一であった。例外は,pv. atropurpurea NIAES 1309株のトランスコンジュガントであったが,その菌株の大部分はキングB培地で凝集を起こし,かつ血清学的性質に変化が生じた。これらの事実は,pBPW1が細菌凝集および抗原変異に関与する遺伝子を有することを示唆している。しかし,その遺伝子の発現は,すべての宿主において起こるのではなく,その宿主の遺伝的背景に依存しているものと推察される。
  • 山岡 裕一, 勝屋 敬三
    1985 年 51 巻 4 号 p. 435-442
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ヤナギ属植物に寄生するMelampsora属菌5種の夏胞子世代より確立した培養菌株,Mca-1A菌株,Mco-1A菌株,Mep-1A菌株,Met-1A菌株およびMhu-2B菌株の5菌株で形成された夏胞子の発芽力と感染力を調査した。QMS-7培地上で生育した菌株(Mca-1A菌株を除く)において形成された夏胞子では,発芽および宿主植物への感染は認められなかった。それに対し,HOR培地上で生育したMco-1A菌株,Mep-1A菌株およびMet-1A菌株,およびOR培地上で生育したMhu-2B菌株において形成された夏胞子では,発芽が認められ,それら夏胞子をそれぞれの宿主植物に接種した結果,感染が認められた。Mhu-2B菌株を用いて,菌株を培養した培地に含まれるビタミン類および寒天が夏胞子の発芽力と感染力に及ぼす影響を調査した。夏胞子の発芽力と感染力に対する培地に添加したビタミン類の影響は認められなかったが,寒天の種類により夏胞子の発芽力と感染力が異なった。Difco Bacto-agar中に含まれる水溶性の物質が,菌株で形成された夏胞子の発芽力を促進すると考えられる。
  • 稲葉 忠興, 守中 正
    1985 年 51 巻 4 号 p. 443-449
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ホウレンソウべと病菌(Peronospora effusa)のヘテロタリックな4菌株を供試した。菌株K1, K2は交配型P1に,菌株M1, A1は交配型P2に属する。1菌株単独または2菌株を混合(K1とM1,またはK2とA1組合せ)してホウレンソウ子葉に接種した。2菌株の混合接種では同濃度の分生胞子懸濁液を接種前に1:1(v/v)の割合で混ぜた。1菌株単独接種では,分生胞子だけが接種3日後から形成された。混合接種では蔵卵器は接種4日後,卵胞子は接種5日後から形成されたが,分生胞子の形成は遅延・抑制された。分生胞子形成と卵胞子形成との関係をさらに詳細に検討した。すなわち,K1とM1,またはK2とA1組合せで2菌株(同濃度の分生胞子懸濁液)の混合比を100:1, 1:1, 1:100(v/v)と変えて接種した。混合比が100:1, 1:100では卵胞子形成程度は低かったが,分生胞子形成程度は高かった。これに対し,混合比が1:1では卵胞子形成程度は高かったが,分生胞子形成程度は低かった。このことから分生胞子形成と卵胞子形成との間には逆比例の関係があることが解明された。さらに,卵胞子形成部位では分生胞子が形成されず,逆に分生胞子形成部位では卵胞子が形成されないことも明らかとなった。以上の結果,2菌株の混合接種では,分生胞子が形成される以前に卵胞子が形成され,卵胞子形成部位では分生胞子が形成されないため,罹病葉で分生胞子の形成が抑制されることが判明した。
  • 岩崎 真人, 中野 正明, 新海 昭
    1985 年 51 巻 4 号 p. 450-458
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネグラッシースタントウイルス感染水稲から径6-12nmのひも状粒子を純化し,抗血清を作製した。寒天ゲル内二重拡散法によって抗血清の性状を調べたところ,感染水稲汁液,保毒トビイロウンカ磨砕液およびHibino et al. (1985)の方法で純化したfilamentous nucleoproteinと特異的に反応し,沈降線は融合した。本抗血清から精製したγ-グロブリンは,感染葉汁液の感染性を中和した。ひも状粒子は,酵素結合抗体法(ELISA)によって1個体/8mlまで希釈した獲得吸汁虫集団の磨砕液および10-5に希釈した感染葉汁液から検出され,無毒虫磨砕液および健全葉汁液から検出されなかった。純化したfilamentous nucleoproteinは,A260=1.0×10-5に希釈した場合もELISAで反応が認められた。25Cで1か月保存した媒介虫および室温で4か月保存した感染葉も陽性であったが,凍結保存および新鮮な材料と比較すると反応は低下した。獲得吸汁虫を個体別に媒介の有無とELISAでの反応を調べたところ,ともに陽性であった個体は40%, ELISAが陽性で媒介の認められなかった個体は41%,ともに陰性であった個体は19%であった。1982年に1,126頭の海外飛来トビイロウンカを供してELISAによって本ウイルスの保有の有無を検定した。陽性の反応が認められた個体は1頭(約0.1%)であった。
  • 白子 幸男, 江原 淑夫
    1985 年 51 巻 4 号 p. 459-464
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    黄化萎縮病罹病イネから分離された2種類の小球形ウイルス(A型およびB型,日植病報49: 653-658)の核酸は,共に,ホルムアルデヒドおよびRNA分解酵素に感受性,DNA分解酵素に耐性を示し,さらにヘキスト33258およびアクリジン・オレンジによる染色性から,1本鎖RNAと判定された。純化A型ウイルス標品からは,分子量43×103および39×103の蛋白と,1.1×106, 0.7×106および0.33×106の核酸が,純化B型ウイルス標品からは,分子量41×103の蛋白と1.8×106の核酸が検出された。従って,2種類のウイルスは,粒子形態および血清学的類縁関係の他,粒子組成においても異なることが明らかとなった。
  • 岩井 久, 脇本 哲
    1985 年 51 巻 4 号 p. 465-474
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ダイズモザイクウイルス(SMV)の純化法を改良し,活性のある純化標品を得る方法を確立した。罹病葉に0.01M Na-DIECA及びクロロフォルム,ブタノール(それぞれ8%)を含む0.3Mナトリウムりん酸緩衝液(pH 7.0) 2倍容を加えて磨砕し,粗汁液をろ過後低速遠心にかけ,得られた上清に6% PEGと0.1M NaClを加えた。低速で得たPEG沈殿を0.005M Na-EDTAを含む0.05Mナトリウムりん酸緩衝液(pH 7.0)に再けん濁後,10∼30秒間,超音波で処理した。各低速遠心分離前に超音波処理を行ないながら2回の分画遠心を行ない,得られたウイルス浮遊液をしょ糖密度勾配遠心分離にかけ純化標品を得た。純化ウイルスの感染性は高く,290nmに肩を有する紫外線吸収曲線を示した。A280/A260値は0.76で,核酸含量約5.5%を示した。収量は4∼13.5mg/kg罹病葉であった。
  • 岩井 久, 伊藤 伝, 佐藤 公治, 脇本 哲
    1985 年 51 巻 4 号 p. 475-481
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    成熟程度の異なるダイズ(品種ヒュウガ)の種子中におけるSMV-B系統とSMV-D系統の分布様式を,ELISAとインゲン(品種Top Crop)を用いた生物定量法によって調査した。未熟種子の種皮及び胚からは両系統とも検出されたが,子葉からはSMV-Bが検出されたにもかかわらず,SMV-Dは検出されなかった。種子の完熟にともない,両法による検出値はともに低下し,特に,完熟種子の種皮においては両系統とも生物活性が完全に失なわれていた。ELISAは,一般に生物定量法よりも高い感度を示し,生物活性が無い完熟種子の種皮においても陽性の値を示した。両ウイルス系統間で得られた検出値は,ほぼ種子伝搬率に比例していた。未熟種子において,種皮を除いた場合に伝搬率が低下することから,種皮中のウイルスもSMVの種子伝搬に関与していることが示唆された。両系統に感染した植物から得られた種子の褐斑粒率には著しい差異が認められたが,褐斑粒率と種子伝搬率との間に相関は認められなかった。
  • 善林 六朗, 渋川 三郎, 渡辺 恒雄
    1985 年 51 巻 4 号 p. 482-485
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new disease of arrowhead plants with brown lesions in petioles occurred in Saitama prefecture. Because of the easiness of breaking-off of the diseased petioles, the growth of the plants was remarkably retarded. Pythium myriotylum was isolated very frequently from the diseased tissues and it showed pathogenicity to the petioles of arrowhead planted in artificially infested soil with the fungus, 83-193.
  • 都丸 敬一, 沢 幸男, 久保 進, 桑田 茂, 鈴木 郁男
    1985 年 51 巻 4 号 p. 486-489
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Tobacco streak virus (TSV) was isolated from Burley tobacco plants showing yellowing and veinal necrosis of leaves. Plants of 21 species from 10 genera were infected by the virus. The virus had properties of thermal inactivation point 50-55C, dilution end point 10-3-10-4 and longevity in vitro 12-24hr, and positively reacted with TSV antisera. Virus particles were isometric with 27-35nm in diameter. An isolate from symptomless dahlia plant was also identified as TSV. This is the first report of natural occurrence and isolation of TSV in Japan.
  • 荒瀬 栄, 岡 敏明
    1985 年 51 巻 4 号 p. 490-493
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ品種新2号と愛知旭の葉鞘を接種前に55Cの温湯で10秒ないし15秒処理しておくと,病原性をなくしたイネいもち病菌長69-73と研62-78の侵入率と侵入菌糸の伸展度が増加した。さらに,多くの侵入菌糸は接種24時間後には第1次侵入細胞から隣接細胞に向って伸展していた。また,あらかじめシクロヘキシミド溶液で8時間処理したイネ品種関東51号の葉鞘では5ないし10μg ml-1濃度区においていもち病菌長69-73の侵入率と侵入菌糸の伸展度が増加した。これらの感染行動は親和性レース-品種相互関係のそれに似ていた。
  • 佐藤 章夫, 吉沢 結子, 宮崎 浩, 村井 章夫
    1985 年 51 巻 4 号 p. 494-497
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモのファイトアレキシン(PA)の主要代謝経路上の化合物,ソラベチボン(1),オキシソラベチボン(2),ルビミン(3),オキシルビミン(4),リシチン(5),リシチン-M1 (6),フィチュベリン(7),フィチュベロール(8)のうち,活性の低いことが既知の6を除くPAの抗菌性と毒性を調べた。その結果,1, 3, 5, 7は活性が高く,2, 4, 6, 8は低く,1→2, 3→4, 5→6, 7→8と親水性が増すことにより活性が低下する傾向が認められた。PAはその活性が強→弱→強→弱と変化しながら代謝され,活性の高い1, 3, 5, 7が病斑に蓄積の多い化合物であることが注目される。
  • 松山 宣明, 脇本 哲
    1985 年 51 巻 4 号 p. 498-500
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    いもち病に感染したイネ葉中には,GLC (OV-17)で検出可能な抗菌物質が形成され,抵抗的な下位葉中にとくに多量に検出されることを先に報告し,さらに量的に多く含まれる一抗菌物質,S-1,を単離精製した(1984)。本抗菌物質についてGC-MS,低分解能MS(直接導入)および高分解能MSを行った結果,いずれも分子量304を示し,分子式C20H32O2が推定された。本物質はTLC上でanisaldehyde試薬により赤紫色に,SbCl5試薬により青色に,vanillin試薬により紫色に発色し,低級テルペノイド系物質と予想されるが,化学構造については現在検討中である。なお,本物質はOryzalexin A, B, C (Akatsuka et al., 1983)とは分子量において明らかに異っている。
  • 白根 昇, 渡辺 吉八
    1985 年 51 巻 4 号 p. 501-505
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ポテト・シュークロース液体培地(PSB)に,灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の分生胞子を懸濁してキュウリ子葉,イチゴ葉,イチゴ花弁に接種すると,いずれの組織にも拡大型病斑を形成した。ところが蒸留水に懸濁して接種した場合,イチゴ花弁にのみ病斑を形成し,キュウリ子葉,イチゴ葉には形成しなかった。この現象を光顕レベルで観察した。その結果,PSBに懸濁した分生胞子は,第一次,第二次,両付着器を形成し,蒸留水に懸濁した分生胞子は,第一次付着器のみを形成した。しかも第二次付着器からは供試したすべての組織に侵入したが,第一次付着器からは,イチゴ花弁にのみ侵入し,キュウリ子葉には侵入しなかった。
  • 上運天 博, 山口 純一郎, 脇本 哲
    1985 年 51 巻 4 号 p. 506-508
    発行日: 1985/10/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネもみ枯細菌病菌は継代培養中に容易にその病原性を失うことが知られており,病原性とプラスミドとの関連性を検討した。幼苗と籾に病原性を示す5菌株と継代保存中に両者に対する病原性を失った5菌株からアルカリ法によりプラスミドを分離し,0.7%アガロースゲル電気泳動によりそのパターンを比較した。その結果,全供試菌株はそれぞれ分子量約8-135 Mdalのプラスミドを2∼6個有していたが,それらのプラスミドパターンは菌株毎に異っており,病原性との関連性は認められなかった。また,N7501菌株とそれから病原性を失ったN7501-av菌株のプラスミドパターンは全く同一であった。これらの結果から,イネもみ枯細菌病菌の病原性発現に対してプラスミドは直接的には関与していないものと考えられる。さらに大型プラスミドをも検討したが,その存在は認められなかった。
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