日本植物病理学会報
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ズッキーニ黄斑モザイクウイルスとの混合感染キュウリにおけるキュウリモザイクウイルス濃度の増大について
Pissawan POOLPOL井上 忠男
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1986 年 52 巻 1 号 p. 22-30

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抄録

キュウリモザイクウイルス(CMV)とズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)を同時にキュウリに接種すると, CMV単独感染株よりも激しい病徴が現われた。一方ZYMVによる病徴は軽減された。混合感染株と単独感染株のCMV濃度を生物検定法で調べたところ,混合感染株では単独感染株に比べてCMV濃度の増加が認められた。これに対し, ZYMVの濃度はELISA法で検定した結果,混合感染株で有意に減少していることが明らかになった。混合感染株と単独感染株でのCMVの濃度差は接種後3週間で最も大きかった。CMVの濃度増加はCMVの接種をZYMVの接種前あるいは接種後1週間あるいは2週間のいずれにした場合でも認められた。混合感染細胞の電顕観察では多量のCMV粒子の集塊が細胞質中に認められた。感染葉から単離したプロトプラストを螢光抗体法で調べた結果,混合感染葉でのCMV濃度の増加は,感染細胞当りのウイルス濃度の増加および感染細胞数の増加の両方によることが示唆された。

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