日本植物病理学会報
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春まきオオムギのうどんこ病に対するadult-plant resistanceと各部器官における14CO2同化, 14C移行および14C-carbonate吸収との関係
黄 炳國Wolf-Dieter IBENTHALRudolf HEITEFUSS
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1986 年 52 巻 2 号 p. 201-208

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抄録
全生育期間を通じてうどんこ病に感受性である品種Peruvianと生育後期抵抗性を示す品種Asseを供試して,健全および罹病植物の異なる器官における14CO2同化, 14C分布および14C-carbonate吸収を比較した。第1および第4本葉期の罹病植物における14CO2同化の低下は,同程度に罹病しているにもかかわらず, AsseにおいてよりもPeruvianで大きかった。Peruvianでは下位葉3枚がうどんこ病に罹病している第3本葉によって固定された14Cは同葉にとどまり,他部位への移行はほとんど認められなかった。第4本葉期の下位3葉が罹病したAsseの健全な第4葉における14CO2同化の低下はPeruvianより少なかった。しかし,同葉から葉鞘などの他部位への14Cの移行はAsseに比べてPeruvianにおいて顕著であった。うどんこ病に罹病すると,実生苗の根による14C-carbonate吸収が低下したが,その減少はAsseよりもPeruvianにおいてより大きかった。Asseの根から吸収された14Cの罹病葉への移行割合はPeruvianの場合に比べ,より大きかった。これらの結果から,春まきオオムギではうどんこ病罹病により光合成産物および代謝産物の移行の正常なパターンが阻害され,その程度は生育後期抵抗性をもつ品種に比べて感受性品種においてより顕著であると結論された。
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