日本植物病理学会報
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2種類の間接ELISA法によるズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)の検出
Susamto SOMOWIYARJO佐古 宣道野中 福次
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1986 年 52 巻 4 号 p. 653-659

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抄録
本研究では,ウサギから作製した抗体の他に,ニワトリとウズラの卵黄から採取した抗γ-グロブリンを中間抗体として用いる間接ELISA法によって, ZYMVの検出試験を行った。その結果,ウサギ抗体を処理し,次にウズラ抗体を処理した場合,その検出限界は純化ウイルスで10~50ng/ml,罹病葉汁液では104~105倍希釈で,ウサギ抗体を処理しなかった区と差はみられなかった。中間抗体としてニワトリ抗体を用いて,ウサギ抗体処理区と無処理区の比較を行ったところ,罹病葉汁液ではそれぞれ105~106倍, 106~107倍希釈まで検出可能であったが,純化ウイルスでは両区とも5~10ng/mlであった。供試した各種の抗体処理のうちでは,ウサギ抗体を処理せずにニワトリ抗体を処理した時に,健全葉汁液による非特異反応が最も高かった。ウサギ抗体を処理しないでウズラ抗体のみを処理する間接ELISA法は,その検出限界が低いが,比較的簡便であり,圃場試料の診断法にも有用であろう。ウズラは本ウイルスだけでなく,他のウイルスの本法による検出に必要な抗体を作製する動物として使用に耐えると考えられる。
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