日本植物病理学会報
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Diaporthe citriによるカンキツ黒点病ならびに軸腐病に関する研究
第7報 カンキツの自己防衛反応における表皮細胞の役割
有本 裕本間 保男
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1987 年 53 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

カンキツ黒点病はDiaporthe citriの侵入により誘導される防衛反応の結果として形成されるものであり,病原菌は病斑内に封じ込められる。カンキツの自己防衛反応には表皮細胞が必須であり,表皮細胞を除くと病原菌の侵入をうけても自己防衛反応は起こらない。これは,自己防衛反応を誘起する因子は表皮細胞中にのみ分布しており,表皮細胞が傷をうけると活性化され,その作用で誘起されるためと考えられた。D. citriの侵入に対し,自己防衛反応を行うことができないと,病原菌は宿主内で蔓延し,ついには柄子殻や柄胞子を形成する。すなわち,自己防衛反応による防衛組織である黒点病斑は侵入病原菌の封じ込めに極めて有効である。

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